複雑・ファジー小説
- Re: イエスタデイ・ワンスモア【オリキャラ募集中】 ( No.288 )
- 日時: 2016/10/15 18:38
- 名前: 翌檜 (ID: n1ZeCGPc)
トウは髪型を整える。
「行き先なんて無い。オレはきままに列車に乗って行きたい所に行くだけだぜ?そこの姉ちゃん!」
トウは電車で女性をナンパする。
「着物なんて最高だな。悪い様にはしねえ。一緒に行こうぜ?」
「私は暁 紅乃。赤色が大好きでしてよ」
育ちが良さそうな暁を見たトウは口説く。
「オレが全てを守ってやるよ」
暁はトウを見て呟く。
「私を囚われの籠から救ってくれるの?」
「ああ、籠と言う小さな世界を飛びだそうぜ!」
暁は話す。
「随分と興奮してましてよ?」
「そんな事ないぜ?俺はいつでも自由な心構えを持っている!」
「貴方は猿夢をご存じでして?」
「猿夢?分からねえな?」
「猿夢とは電車内のアナウンスの度に乗客が拷問のごとく殺されていく事を指すのですわよ」
突如、電車の電気が消える。トウは構える。
「……何の冗談だ?ジョークにしてももう少し笑えるのにしてくれよ」
「何を心配してるんですか。猿夢は夢ですわよ。実際に起こる訳が無くてよ?」
すると、車掌が笑いながらこちらに来る。
「貴方は何処で降りるんですか?」
「何処でって行き先なんて決めて無い」
暁は話す。
「それじゃ私は東京へ向かいたいですわ」
「東京?おいおい……此処は何処だ?」
車掌は話す。
「此処は行きたい所に連れて行く事が出来る列車です。まさに、夢のような列車ですね!」
「猿夢?」
「同じ夢でも、猿夢は悪夢ですよ。私が提供しているのは素晴らしい夢です」
暁は別の車両に行く。トウは止める。
「暁……何処へ行く。東京はまだだぜ?って状況分からないけどな」
暁は車両の扉を開けると、其処は明治時代のような景色が現れる。
「連れて行くとは言いましたが、電車で移動する訳ではございません。電車が夢の世界を再現させるんです」
「そんな事があり得るのか?」
「ええ、それより貴方はどうしますか?」
「オレは行き先は決めないぜ。それより、元の列車に戻れるのか?オレはどうやらこういうイベントを知らねえで乗ったみたいでよ。普通の列車に……」
「別に用事も無いなら是非寄って下さいよ。値段もタダですし」
「まあ暇だから試してみるか。と言うか、中々変わったイベントだな。電車業界が儲かってるからか?バイクにしか興味が無いから分からなかったぜ」
「では、どうします?行き先を何処にします?あ、行き先はこちらのカタログから選んで下さい。お勧めは、第二次世界大戦を体感できる、開戦記念日とかですね」
「俺は何も決めねぇで進むぜ」
「つまり?」
「行き先を決めないまま、車両の扉を開けるんだよ。どうせスタッフが準備してる最中だろうけどな」
「んー……」
トウは扉を拳で殴り破壊する。扉の外には大量の死体が転がっていた。
「おいおい、これは……」
「丸中空港をモデルにしたお化け屋敷です。リアリティを上げるため、腐臭等を実際に噴出させています。こういうのが苦手な場合は」
トウは死体を見る。
「本物だろ、これ。……警察に連絡しねえと」
トウはスマホを見る。すると、スマホの画面にバグが発生する。
「こ、これは……」
「今無き青い星の呪いですかね」
「はあ?なんだそれ?」
「これもイベントです。そんなに騒がないで下さい」
「そうか……」
「Apartと言うゲームを中心に様々なジャンルで活動してる会社が創ったみたいなんですよ。この電車のイベントもですね」
「……?」
「日本語に訳すると分かりますよ。さて、他にもレッドウィンドミストガブァーンと言う会社や元祖と言う会社とact(アクト)と言う会社とか。この二つは合併したらしいですけど。それと、マロンティストと言う会社。シャンゼリゼと言う会社が……。
勿論、今まで協力して頂いた人達にも非常に感謝しきれないほどしています。私も未熟ですけどね。これからもこの列車を走り続けますよ」
「何で一社員のお前限定なんだ?」
「其処は私が未熟だからです」
「言ってる事の意味が……」
車掌はトウに呟く。
「私はこの世界が好きなんです。何処へでも行けるこの世界が。まるで、劇場のように広がる世界」
「劇場?」
車掌は何か看板を書く。
「この世界なら私は何度でもやり直せます。そう、イエスタデイ・ワンスモア」
「……」
「この為なら私はいくらでも生贄を捧げる事が出来ます」
死体から暁が狂気的な目でトウを襲う。
車掌は帽子を取る。
「貴様は……モスカ大使……」
「……この列車に終点は無いさ。此処でゴミの様に扱われて死んでいくが良い」
この世界は、暁が創った世界。電車の中に大きな鳥かごで囲まれている。
「此処が囚われの籠。つまり、猿夢ですわよ」
「暁っ……」
「勿論、夢ですから目覚めれば全て無かった事にされていますわ。だから、身体の強い貴方でいくら実験しても構わないですわよね?」
「止めろおおおおおおおおおおおおお!!!」
十一【物語と人生】の回 完
次回 終 【バルス】の回