複雑・ファジー小説
- Re: イエスタデイ・ワンスモア【オリキャラ募集中】 ( No.291 )
- 日時: 2016/10/18 17:44
- 名前: 翌檜 (ID: n1ZeCGPc)
第十八幕 火葬場
終電の電車の中の座席で一人の男性はスマホをいじっていた。スマホの画面には複数の人間が会話をしていた。
「ふう……」
(チャットなんて今、需要はほぼ無いけど6年前から常連だから……。まあ常連はもう俺だけしかいないけど)
過疎化したチャットの中にはフェンネル、12歳、女性。ミスターH、23歳、男性。マーチ、年齢不詳、性別不詳。ろくでなし、高校生、男性。そして、アイロニー、20歳、男性。電車の中にいる彼である。チャットの名前は仮装パーティー。チャットで会話と言う事は仮面を付けて話しているのと同じと言う理由。
チャット内の会話は『』。直、チャットの再現として会話内に名前を記入。
ろくでなし『勉強マジうぜー』
フェンネル『そうなんですか?』
ろくでなし『中学は良いけど高校マジやばいw』
ミスターH『すまない。このチャットから退室するよ。用事があってね』
アイロニー『乙ー』
アイロニーは考える。
(用事か……幼女アニメのDVDでも借りるのかね?)
マーチ『アイロニー、他の常連は何処に行ったんだろうな』
アイロニー『急にどうした?wwwww』
フェンネル『そうですよ。常連さんが此処にいらっしゃるんですよね』
アイロニー『随分前だよw俺が高校生の時くらいにもう、皆無料通話アプリとかに移行したねww』
マーチ『・・・今度、常連だった友達を連れて来てくれ』
画面の向こう側には、一人の少女がスマホでチャットを行っていた。終電の時間なので、少女にとっては夜更かし。ハンドルネームはフェンネル。本名、茴香 百子(ういきょう ももこ)。9歳。チャット内では年齢詐称をしている。
(チャットしてるとじかんがはやくかんじる.........)
親戚は突如、茴香の部屋に入る。
「……寝ろ」
親戚は部屋を去る。茴香は両親を交通事故で早くも亡くし親戚に引き取られた少女。事故のショックで塞ぎがちになり親戚との関係もギクシャクしており常に孤独を抱えていた。
彼女が唯一孤独を忘れられたのはチャットであった。
capture 1 化物
ミスターHはコンクリートに囲まれた火葬場にいた。
「我が部下、袴田。君の遺骨は遺書通り私が海に撒いておこう」
ミスターH。本名不明。と言うのも彼は裏世界の人間。
「ハロハロ〜、私はナツ! Hさんの部下だよ」
「Hさん?それにしても火葬場なのにどうしてそんな露出が高い格好を……」
「すまないね。しかしこちらも疑問がある。しかし何故こんな時間に納骨をしなければならないんだ」
「えっ……」
火葬場の人間は困り顔をして謝り他の関係者の元へ質問する。しかしミスターHとナツは分かっていた。
「裏社会の人間がまともに火葬なんてしないよ〜」
「まあこの事を知っているのは火葬場の管理者と責任者のみだけどね」
ミスターHは缶コーヒーを購入。
「ナツ、君は何が良いかな?」
「私はこの隕石マークのコーヒーだね〜」
「ナツは隕石が好きだったね。私は君のおヘソが好き。変わった者が好き、つまり似た者同士と言う訳だ」
「そうかもねっ。でもスケールの大きさは明らかに違っちゃうけど?」
ナツは無料通話アプリをする。
「誰としてるのかな?」
「顔本と言うサービスでで友達になった人達だよ〜」
「そうかね」
「特にこの、柏木って高校生が凄いね〜。本名まで言ってきちゃうんだもん」
「下手すればストーカーになりそうな馬鹿だな」
ミスターHとナツはその後、納骨する。そして火葬場を出る。
「すっかり遅くなったね。今夜は私の所で泊りたまえよ」
「あれれ?袴田さんが死んでから随分と積極的だね」
「そんな事は無いよ、君が欲求不満になってるだけじゃないのかな?」
「そうかな〜?」
すると火葬場から煙が上がる。
「また誰か裏世界の人間が死んだんだろう。夜では黒煙は見えないで済むからね」
「まあ、どうでもいいけどね〜。あ、ちょっとトイレに行って来るよ。車で待っててね!」
ナツは火葬場に戻りトイレに向かおうとする。すると、死んだはずの袴田が火葬場の廊下を彷徨っていた。
「あれれ?……?」
袴田は誰かと見つめ合っていた。袴田は喜んでいる。
「んー?幻覚?私薬物はやってないんだけどな〜」
すると、袴田はナツに気付き、全力でナツに向かう。ナツはマシンガンを用意し袴田を撃つ。しかし銃弾は袴田の身体を通り抜け壁に着弾する。
「あ、あれ……?」
ナツは笑顔を引きつる。袴田は激怒し、ナツに寄る。ナツはミスターHの元へ走る。
「銃弾が効かないなんて私、夢を見てるのかな?」
袴田は消える。袴田と話していた一人の女性は何も言わずに去る。
ミスターHはナツの話を聞く。
「それはトイレの中で考え付いた小説かね?」
「違うって!は、袴田がいたんだよ!」
「ナツらしくないでは無いか。全く、チャットをしてる最中だと言うのに。それで?袴田がいなくなってから私が本当にうれしいと思っているのかね?」
「どう言う意味?」
「例え、袴田が君の盗撮写真を大量に持っていたからって私は袴田に嫉妬する訳が無いじゃないか。むしろ、嫉妬してたのは彼だったと思うしね」
「んー、全然違う」
「……それじゃ君は薬物を?それなら私は君に大きく絶望するね」
「違うよ、私は健康!」
「皆の想いが袴田を蘇らした?な訳無いか……。少年漫画の見過ぎかね。まあ良いんだけど」
ミスターHは車を走らせる。そして誰もいない信号で止まる。
「社会のルールは誰もいなくても守らないとな」
「変態なのに?」
「其処は変態のルールがあるんだよ」
突如、ナツは叫ぶ。車の目の前に袴田がいた。ナツはショットガンを袴田に撃つ。しかし銃弾は袴田を通り抜ける。
「ね?ね?だから言ったでしょ?」
「それより、さっきの銃弾で警察に通報されただろう。逃げるぞ」
袴田は車の中にいつの間にか、おりミスターHに話す。
「……こ、ろ……す」
ミスターHは袴田を片手で殴るが袴田の身体を透き通る。
「お、れ……には効かない」
ナツは銃を乱射する。
「ナツ!あ、危ないっ!あぶっ」
袴田はナツの方へ寄る。
「君も、私と一緒に……」
すると、大きな砂嵐がミスターHの車等に衝突する。袴田は消える。
「何で砂嵐が……」
「今日風強いですからどっかの砂場から来たんだと思うよ?」
袴田は再び出現。
「どうして私を避けるんだ。見てくれ!私は」
ミスターHは、車から兵器を出す。
「はっは!この兵器は通称、スカート&トップスめくり砲!周りの空気を吸い込み、発射させる銃弾いらずの大砲なのだよ!」
「……勝てる訳ないよ!」
「だが使える武器がこれしかないのだよ!」
ミスターHは武器を起動させる。すると袴田は妙に怯え、そして袴田の身体がどんどん消えていく。
「どうしてだ!どうして私を殺すんだ!」
「お前はもう死んでいる」
「こんな時に何を?」
ミスターHとナツは車に乗り込む。
「何だったのかな……さっきの?」
「終わったのは確かだ……。まあ、悪い夢を見ていたのだろう。それか、無自覚に薬物を摂取していた可能性がある。今は、私の取引先を……」
「つまり、Hさんを侮辱した組織があるんだね!私達を幻覚で惑わせようなんて!」
ミスターHはチャットをする。
(しかし、奇妙な体験をしたのに妙に不思議と言う感じがしない。袴田は結局何だったのか。まあ、誰かの悪質な悪戯には変わりない。私は……)
ミスターH『今日も何も無い素晴らしい一日だったよ。では私は眠ろう』
「毎日続く私の日常が崩れなければ良い」
capture1 化物 完
次回、capture2 相違
ろくでなし『あー、明日、学校かよ。マジ嫌だわ。毎日楽しんでるミスターHが羨ましい。まあ、別にサボっても良いんだけどね』
フェンネル『駄目ですよ、ちゃんと学校に行かないと』
ろくでなし『事務教育って羨ましいわーどうせ、フェンネルも青春とかしてんだろ?俺なんて』