複雑・ファジー小説

Re: イエスタデイ・ワンスモア【オリキャラ募集中】 ( No.316 )
日時: 2016/10/29 14:06
名前: 翌檜 (ID: n1ZeCGPc)

オーナーはいくつかの光の玉をテーブルに並べる。一つ目の光の玉をマシロが持つ。

「其処には家族があった」

虫朱は目の前で父親が母親を殴る所を見る。

「親父……」

「黙れ!このカスが!」

虫朱は中学生にして両親の離婚を経験する。

「……」

虫朱はさらにどちらの両親にも引き取られる事無く、孤独に生きる事になった。

消えた光の玉を見ながらマシロは玉をテーブルに置く。

二つ目の光の玉をエデルが持つ。

「そ、其処には……約束があった」

虫朱は荒れていた。花を踏みつけ未来に絶望を撃ちまくり、過去を恨む。そんな時にある少女に出会う。

「何だ、お前?」

「そこの不良君よ!私が悩みを聞いてあげよう」

「……うるせぇよ」

「過去よりも未来を。謝罪よりも約束を」

「……」

「話せば少しは気分が晴れるでしょ」

「黙れ、消えろ」

消えた光の玉をエデルがテーブルに置く。

三つ目の光の玉をパーウェル・幅重が持つ。

「其処には後悔があった」

虫朱は一人だった。

「俺は後悔なんてしない。俺は俺の生き方をする。クソ親の人生なんて」

少女は虫朱に近づく。

「後悔してよ。貴方は間違った事をしてるのよ!」

「誰にだよ」

「自分によ」

「……適当な事ばかり言いやがって……」

「俺は死んでも後悔しないぞ!これまでもこれからもな」

消えた光の玉をパーウェルは置く。

四つ目の光の玉を織戸が持つ。

「其処には希望があった」

虫朱は少女の墓に向かう。

「……チンピラに殺されたんだろ?」

少女の親は睨みつけながら話す。

「はい、貴方の様な……」

「……優しい人だったよ」

「貴方はチンピラの仲間ですか?」

「……どうなんでしょう」

「ふざけるな!貴様の様な人のせいで……娘は……」

消えた光の玉を織戸は置く。

オーナーは四つの消えた光の玉を見る。

「……」

オーナーは虫朱の前にいた。

「これが虫朱の過去」

「……はい」

「虫朱は少女と同じ様に人々の悩みを解決させている」

「ええ、少しでも少女が望んだ様にする為に。そして少しでも私の様な人物が出ない様に。もう、消してはならない光の玉を私は全て消してしまってますから。消えた光はもう取り戻す事は出来ませんし」

「……」

すると、オーナーは花を持ってやってくる。

「その花は……ダンギク」

「花言葉は忘れ得ぬ思い」

すると、少女の両親が店の中へ入って来る。

「……」

「私が呼ばせたのよ。懸命に更生してるって」

「きっと美里(みさと)も喜んでいるでしょう」

「あの少女の名前だね」

「こんな自分でも……まだやり直せますか?」

虫朱は泣き崩れる。

そして光の玉は再び光り、玉から綺麗な花を咲かせる。

少女の両親は虫朱に何かを語り始める。





此処は宿り木。皆の心の拠り所。

宿り木 完