複雑・ファジー小説

Re: イエスタデイ・ワンスモア【オリキャラ募集中】 ( No.342 )
日時: 2016/11/09 16:22
名前: 翌檜 (ID: n1ZeCGPc)

香坂は考える。

「丹が最後に言った言葉……」

一方、アンノウンでは大神、宇佐美、田淵等が元に戻っていた。

「戻ったぞ!」

「やったー!何で元に戻れたんだろ?」

田淵は滓雅の元へ行く。滓雅はグレイを殴っていた。

「滓雅……」

「.....虚さんは....何をしたんですか?」

「……俺は何も知らねえよ。確かめたいなら、虚の会社、エイトハンドレッドに暗殺者として入社すれば良いじゃねえか」

「....」

「はっはっは……。霊犀なら全て知ってるかもな」

「結香.....」

「この世に呪いなんてねぇんだよ!!!」

グレイは笑う。

「全て、生者から生まれた闇によって起こった事件だ。屍は屍だ。幽霊にもゾンビにもなりはしねぇよ!」

「.....」

「全ては……」

グレイは倒れる。

その後、香坂達はアンノウンへ帰る。そして香坂と霊犀は海が見える崖へ行く。

「俺は刑務所に行って今までの罪を償う。後は丹の……」

霊犀は内臓の肝の部分を手で触れると身体から木が生える。

「……霊犀?」

「甲・大歳」

「え?」

「....」

「……身体から木が……」

「私等の天淵一族とその分家、霜月一族、霊犀一族、滓雅一族等はこの様な常識を越えた能力を持っているの。

私は五行思想の力を操り、あたかも呪いの様に貴方を追い詰めていた....ごめんなさい」

「……つまりグレイに頼んだ黒幕は霊犀だったのか?それに常識を越えた能力って超能力って事?」

「グレイも私も共犯者です。ただ、グレイは操られていただけ....超能力は私が生まれてから使える様になってるのよ」

「ちょっと待って……何も分からないんだけど……。呪いって何だったんだ?何で俺なのか、そして目的も何も……」

すると、霊犀の元へ虚がやって来る。

「まさか……」

「そうなんよ、黒幕は僕なんや。君に呪いまがいな超能力でグレイを使って脅したのはね....」

「……何で俺だけにそんな事したんだよ」

「別に君だけやあらへんよ?丹も君と闘った全ての暗殺候補生のリーダーに、呪われたって嘘ついたんよ。グレイとか何も知らない看守を催眠させてね」

「……」

「そして僕の部下である、霊犀や他の天淵一族、霜月一族があたかも呪いかの様に超能力で遊んだんや」

「それじゃ呪いは……」

「呪いなんて元々無かったんやよ。全ては僕の策略や」

「な、何でそんな事をしたんだよ!他の奴等を呪いと勘違いさせて……こんな茶番を……」

「茶番や無いよ。君以外の施設は皆、呪われて死んだんやから」

「……まさか、殺したのか?」

「せや、天淵一族や分家の超能力は強力やったけど誰も扱えなかった。だから、今まで僕等の一族の超能力が繁栄しなかったんよ。

でも、小林財閥の技術で超能力を抑えて扱える様に出来たんよ。薬をずっと服用せなあかんけどね。服用しないと超能力が暴走して自分を殺してまうからの」

「……霊犀、何でこんな事に協力を……」

「虚さんは....私の中では良い人だよ」

「彼女は置いといて、質問の返答をせなあかんね。

何でこんな事をしたのか?こんな事とは、君や丹君、その他の皆に呪いと称し超能力で縛りつけた事やね。

それは自分が呪われたくないと言う信念で必死になるやろ?ああ、勿論呪いを信じない奴も現実逃避した奴もおったね。そんな奴は今頃、僕の部下に殺されているね。

必死になって必死になって呪われたくないからさらに人を殺す。そして僕は人の道徳を乗り越えた優勝者を僕の最高の部下にしたかったんよ」

「つまり、選別の為に呪いって嘘をついた訳か」

「そう、でも君も優勝してなかったら呪われてたよ。君は選ばれた人間と言う事や」

「……」

「まあ当然やろか。霊犀がアンノウンに入ったからの....」

香坂は霊犀を見る。霊犀は笑顔だった。

「アンノウンの傍にある日本兵の墓地を調べろ言うただけなんやけどね。霊犀は僕の指示によっぽど嬉しかったのか。余計な事までしてくれてもうたんよ。まあ、滓雅がいたのは予想外やったけどね」

「俺の知っている霊犀はそんな事しねーよ」

「君に何が分かるん?霊犀は僕の忠実な部下や。君の知ってる霊犀は妄想と同じ」

霊犀は泣きながら笑う。

「僕を愛してくれる忠実な部下や」

虚は霊犀に聞こえないように香坂に呟く。

「超能力の暴走を止める薬が無いと霊犀は君と会えなくなるからの」

「虚……!」

虚は不敵に笑う。

「別に二人の淡い恋を引き離そうとは思ってへんのよ。君が僕の部下になれば霊犀とずっとおれる。まあ、超能力を抑制する薬があっても発現させる薬は無いから少し経済的な差は出るけどね」

香坂は霊犀を見る。

「霊犀はどう思ってるんだ?」

「い、今までの言動を見れば分かるでしょ....?」

「……それじゃ俺は虚の部下になれと?」

「.....」

「悪い話では無いやろ?」

「その為に何人、犠牲になってんだよ!何人の人生が狂ってんだよ!」

「選ばれなかった人間に慈悲はいらんよ」

その時、滓雅が現れる。

「滓雅……」

「久しぶりやね」

滓雅は香坂に呟く。

「……」

香坂は霊犀に話す。

「俺を信じてくれるのか?」

「....」

「そして虚も信じているのか……」

滓雅は話す。

「結香が貴方の命令を無視してアンノウンの施設に入ったのは、虚さんを止める為。元の優しい虚さんに戻す為だったんです」

「....?」

「簡単に言えば虚さんの目論見を阻止する為にアンノウンをわざと負けさせようとしてたのよ。アンノウンの呪いの元凶が結香の超能力だから結香が超能力を発動させなければ香坂達も死なないし、呪いが嘘って事も分かる。後から呪いの正体を言っても良いしね。まあ、虚さんも信じている結香は呪いの正体は話さないから、わざと負けるってやり方を選んだと思うけど」

「......」

「でもそうすると....優勝を目指していた香坂、優勝の後の約束の事を考えて一緒に優勝する事を決めたのよ....結香は」

「そやったら、立派な裏切りやね。霊犀....?」

「裏切って無いよ、私はただ元の虚さんに戻したかっただけ。だけど、香坂との約束も大事だよ.....全部、全部大切だよ」

虚は不敵に笑う。

「別に僕は君達の恋はどうでも良いんだよ。香坂がウチの会社に入れば良いだけの話」

「俺は霊犀と虚から逃げたい。俺は罪を償わないといけないけど」

霊犀は話す。

「私は香坂といたい。そして虚さんは今まで通り尊敬したい....だから虚さんは今やってる暴走を止めてくれる?」

虚は呟く。

「呪いで人を縛る事は止めるよ。ただ、霊犀に条件付けるけど」

「虚!」

「大丈夫....」

「僕の会社の専属暗殺者になればええ。大丈夫や、暗殺じゃなくて情報の採集とか簡単な仕事だけやから」

「暴走はしないって言ったからね?」

「しない。人の命で遊びはしないよ....後は香坂と好きにせえ」

虚は去る。

「香坂も入社すれば良かったのに」

滓雅は呟く。

「虚さんがあんな簡単に....」

虚は呟く。

「流石に霊犀を失ったら困るからの。さて、暴走は天淵一族以外の暗殺者としましょうかの....さて、自分の会社はどれまで伸びるか自分の能力はどれくらいなのか....楽しみやね。それに天淵一族の事をもっと調べないと....超能力....」

虚は物欲の為に何かをした訳ではない。自分の才能を楽しむ為に合理的に楽しんでいる。自分だけの為に楽しんでいるので脅威となる者は少ないだろう。しかし、彼の裏は深い。

霊犀は超能力を使う。

「こんな事が出来るのか……」

「そう、生まれた時から超能力が使えたのよ。何でなのかは分からないけどね.....」

「……それじゃ、俺は刑務所へ行くよ。戻ってきたら……」

「うん.....」

遥か昔、遠い遠い世界に朝日と同じ様な施設があった。

名前はともだちのいえ。

其処には、朝日から出ていた暗殺者達がいた。

日本軍の拠点で暗殺者達は薬を投与されていた。

「これで……」

そして、似田は乾の元へ帰る。