複雑・ファジー小説

Re: イエスタデイ・ワンスモア【オリキャラ募集中】 ( No.343 )
日時: 2016/11/09 18:55
名前: 翌檜 (ID: n1ZeCGPc)

似田は叫ぶ。

「僕は勝ったよ。巨人を愛する小人。全ての人生の為に!」

乾は笑う。

「良かった……良かった……これで呪いが解けるわね。皆の……」

「そうだね……」

すると、似田は乾の身体を抱きしめようとするが乾の身体が透き通る。

「え?」

「良かった……貴方が呪われなくて……」

「え?え?……まさか乾も……」

「そう、如月と同じ幽霊。だけど、私は日本兵とかには関係ない。ただ、私はすでにグレイにより香坂が来た頃には死んでいたのよ」

「……嘘だ。嘘だ嘘だ嘘だ嘘だうああああああああああああ!!!!」

似田はパニックに陥る。

「似田……私が成仏する所をちゃんと見てね……最後まで貴方の顔を見たいから」

似田は乾を見る。

「これで私の人生も貴方の人生も報われたかしら……さよなら……ありがとう……」

乾は消える。

「……」

似田は喪失感の中生きていた。

「……巨人を愛する小人。結局どんな意味なんだろう……」

死者を愛する生者。人の死の積み重ねの上に人は立つ。

死者が忘れられた時、生者達は開戦を記念する。

「……乾が幸せならそれで良いのかな……」







その後、香坂達はそれぞれの道を歩む。

役に立たない武器を提供していた岡添は無所属の暗殺者へ。

「将来、俺はお金持ちになって世話掛けた親父に恩返ししてえんだよ。……ほら、死んで恨まれたら困るからな……」

岡添は6年の歳月をかけて外の世界に出る。

結局、呪いに一切関係無かった咒は一般社会へ出る。しかし、バイトも出来ず、ホームレスになってしまう。

「……まだ、アンノウンが良かったな〜……あ、その君、聞いてよ。僕ね、暗殺者の大会で優勝したんだよ……ねえ、聞いてって……」

こちらも呪いと関連が無かった白夜は、大学に通う事になる。オカルトについての研究をしてるらしい。

「はい☆こちらの研究は☆こうなっています☆」

相変わらずである。

咲川博士とレリミューラは川宮、堕和宮、黒暗淵をアンノウンに置いて外に出る。

「何処ニ行クの?」

『ヒワノの研究室』

「.....?」

『正式には地獄門とヒワノの研究室ね。やっと調べられたわ』

川宮、堕和宮、黒暗淵はこれからのアンノウンを引っ張って行く……はず。レリミューラに拷問されていた以外の活躍は見ていないが……。

田淵は研究者の道を進む。

「超能力が遺伝的とは中々難しいですね。確かに超能力はありますが、身体から木が生える等の強力な能力が果たして人間の進化で考えられますでしょうか」

田淵は何も変わらなかった。

「一人は素晴らしいですよ。喧嘩する相手もいませんし、見たくない面を見る必要もありませんし」

丹の死体は家畜に食べられていた。茨田は呟く。

「……皆、死んだよ。呪いで……」

茨田は身体から発火し、全身火傷で死亡する。

そして、マッチョになった島田は企業の専属暗殺者になる。

「おい、島田。お前、あの殺人鬼、香坂と同じ施設だったんだろ?大丈夫だったか?」

「あいつが変わったお陰で俺も変われたよ。ふふっ……。また会いたいモンだな……」

英雄の像は何処を見ているのだろう。世界の事、国の事、国民の事。いや、違う。英雄もたった一人の夫だったのだ。こんな事を言うと世界や国が敵になってしまうだろう。だが、英雄は立ち向かう。たった一人の妻の為に。

そして夫は目を閉じる。

似田は像の下にいた。

乾さんは僕を救う為に成仏せずに、呪いから助けてくれたんだ。

「巨人を愛する小人。僕と君の合い言葉」




「これから、君と私の合い言葉だよ」

「は、はい!」

「絶対に絶対に忘れないでね?合い言葉も私も……」

「……はい!」

「うん、合い言葉……」

似田は暗殺者になる。


淡雪は就職をする。さらに淡雪は出会いを求めている様。

「……今思うと何で暗殺候補施設で恋愛なんか出来るんだろ……日常社会でこんななのに。あんな裏社会で恋なんて……羨ましい……」

イラージェスは暗殺者になる。

「待って!」

「……エイトハンドレッドの技術……常識を越えているぞ……まさか、奴が絡んでいるのか?でもあいつは暗殺者を許さないはずだ。何でこんな事を……」

「……此処で終わりよ!」

「俺はまだ死ねないんでな」

暗殺者の日常は非日常である。追われる方も追う方も。

冬紀の目の前には女性がいた。

「……や、止めて!止めてよ!」

「木村……戻って来てよ……ねぇ……」

「きゃあああああああ!!」

香坂は刑務所にいた。

俺は今までクソみたいな人生を送ってきた。左遷されたアンノウンの日々も呪いとの闘いも俺にとっては最悪な出来事だった。ただ、俺の周りには素敵な仲間と恋人がいた。それだけで俺はどんな事にも頑張れる。呪いの正体も俺にはどうでも良くて、ただ俺を待つ人がいるだけでこんなに生き甲斐があるのかと思った。今回の事件は全て、生きている人間が行った事だ。そう、霊犀が行った通り最も恐ろしいのは死者でも幽霊でもゾンビでも無い。人の心である。だが、同じ人の心から俺は変わる事が出来た。

何かを求め満たそうとする。そうやってこれからもあり続けたい。

「結局、分からなかったな……日本兵の幽霊とか悪魔とか……楽しい世界だな……良い世界だよ」

霊犀はエイトハンドレッドで活躍する。

「何で会社名800(エイト ハンドレッド)なんですか?」

「何でやろね?まあ、いずれ分かるよ」

「……そうですか」



イエスタデイ・ワンスモア4 完