複雑・ファジー小説

Re: イエスタデイ・ワンスモア【オリキャラ募集中】 ( No.35 )
日時: 2016/07/15 20:19
名前: 翌檜 (ID: n1ZeCGPc)

「君達、神荷学園の生徒ならば常に完璧な人間を目指していかなければいけない。欠点のある人間をこの学校から出してはならないのだ。

そして、今こそ示すのだ。神荷学園は普通の学校では無く、完璧な人間達が揃っている最高の学園だと言う事を」


細多喜校長は、完璧である事を生徒に押し付けていた。


自分に厳しく、他人に厳しく、自分に出来るのなら、生徒にも出来る。その為、高校生にしては過酷な要求をする事もある。(例:修学旅行を全て勉強漬けにさせる等。実際、細多喜は修学旅行を休み、学校の図書室で経験している)



細多喜は、壇上を後にする。


兎の耳をした男性の先生は細多喜に話す。


「次のスケジュールです」


先生は、手帳を見せる。


「……」


細多喜は無視をして、その場を去る。







先生は、後を追いかけようとすると、兎の耳が体育館のドアの上に壁にぶつかって転ぶ。


「うわっと、痛てっ!」



生徒達は、少し笑う。






「このドア小さいんだよな〜……」







その後、式は終了し、一旦教室に戻った後、解散する事になった。







一之瀬と五十嵐は、黒姫に話しかける。


「黒姫さん!わたし、一之瀬!宜しくね!何その人形!ユニークだね!」

「俺は五十嵐」



一人でいた黒姫は二人に話す。


「……ワタシが一人だから話に来たの?」


「違うよ!黒姫!高校デビューしたいのよ!」






他の兎の耳をした生徒は、一人で同じ本を読んでいた。



本の題名は、『月兎』。




現在、兎の耳をした人達が、独自にロケット打ち上げの開発をしている。その記録をまとめた本である。



作者の名前は、香具師剣兎。25歳で星のように輝く瞳をしており、白髪である。




黒姫はその本を見ながら呟く。


「こんなの出来る訳無い……。人間に出来なかったんだから……」




「はっはっは!兎の耳をした人間がいるなら、月にだって行けるはずさ〜!


そう、夢だよ。ロマンだよ!」



一之瀬は、黒姫の持つ気味の悪い人形を持つ。


若干、低い声で頑張る。


「そ、そうさ、こんな人形があるなら、え〜と……」


黒姫は人形を取り上げ、舌打ちをする。




五十嵐は戸惑う。


「やっぱり、無理なんだよ〜……」






すると、道ノ里が現れ、数枚のプリントを用意する。




「このプリントは保護者の方に見せて下さい。後は予習プリントも用意してきましたので、明日までに提出して下さい」




周りはザワつく。




「あの、まだ問題集とか買って無いんですけど」



「問題ありません。分からなかった所がある場合は気楽に相談して下さい。それでは、起立」




「さようなら」




そして、人々は下校をする。










黒姫は、家へ帰る。



黒姫の家は、誰もおらず一人で暮らしていた。


「さて……バイトの前に少しだけ勉強するわ」



プリントを見ると、先生オリジナルの問題が写されていた。



「あの兎先生が造る問題か……」


黒姫は面倒臭そうにシャープペンを使い問題を解く。



教科は、古文、現代文、数学、英語。



黒姫は古文の問題を見る。









一方、一之瀬と五十嵐も古文の問題を五十嵐の家で解いていた。






まず、古文の内容を口語訳、現代語訳に変える。





黒姫は驚く。


「古文の内容ってあの兎先生オリジナルストーリーなの……?」






大体、古文の内容は竹取物語や原氏物語等を引用する。しかし、道ノ里は自分で古文でストーリーを考えていた。







一之瀬と五十嵐は、現代語訳をする。




「兎が跳ねたら、月はどんどん近くなり、そして業火に包まれる燃えない廃棄物は、きっと兎に止めてくれと話すでしょう。

しかし、兎はピョンピョン飛び跳ねて続け、月の都へ宙に舞う」






黒姫は問題が分からず、現代文のプリントをやる。


「何で、オリジナルストーリーなのよ……。小説家かよ……」











一方、道ノ里は現代文担当の牛瀬うしらい先生を訪ねる。



「ちゃんと、この本を題材にしてくれましたか?」





牛瀬 将弘(うしらい まさひろ)。32歳。担当教科は現代文と古文。髪の色は、青。




「ええ、勿論ですよ!やっぱり、月と言えば兎、兎と言えば月、まあ、私はお月見の際に食べるお餅が一番ですけどね!」

「そうですね。今日の夕飯は折角なのでお餅を使う料理にします」



「あらら?ちょっと、華麗なボケをスルーしないでよ!今日から一緒の職場にナルーんだから!はっはっは!あれ?スベっちゃってブルーな気分!そんな馬鹿なと俺って……ハームフル?」






一方、地獄門と体育館で転んでいた先生は話し合っていた。


「やっぱり、古文のオリジナルストーリーは駄目だったかな?白咲 千秋君」


「駄目だよ。せめて、竹取物語でしょ〜。何、あの燃えない廃棄物とか……現代文でも出てこないよ」




白咲 千秋。20歳。長い黒髪を1つで三つ編みにしている。深い赤の眼。173cm。普段着は、黒に白のロゴが入ったTシャツにジーパン。ミサンガを左手に大量につけている。いつも、よわよわしい笑顔を見せる。担当教科は数学。


高校生とほぼ変わらない年齢の為、生徒からは早速なめられている。





白咲は兎の耳を立てる。


「まあ、僕の数学もかなりの力作なんて。何せ、香具師さんに見せたら大好評だったからね〜!」


「……ああ、あの『月兎』の作者だったっけ?

そう言えば知り合いだったのかい?」

「そうなんだよ。僕と香具師は兎の耳をした人間同士、語り合ってね」



「それじゃ、君は彼に興味を持って貰ったんだね。良かった良かった!」

「はい?」



白咲は地獄門の白衣を掴む。


地獄門は止まる。

「どうしたんだい?」


「あの……道ノ里さんって可愛いよね」


「……」

「僕は彼女の事が……」


「そうか、まあ頑張って!応援しているよ」


「どうも」




白咲は、道ノ里を見る。



道ノ里は料理BOOKを読んでいる。




「やっぱり美しいよ」






一方、地獄門は、白衣をゴミ箱へ捨てる。



「さて……」





そして、地獄門は細多喜校長の元へ行く。



「今、熱いお茶を用意しますよ!」

「結構だ。それより、あれの状況を簡潔に教えて下さい」


「カクカクジカジカだよね!」


「成程。しかし貴方も酷いですね。資金提供をするなんて。教師の給料じゃ大変でしょう?」


「カクカクジカジカ……。じゃなくて良いね?

まあ、資金提供すれば、あれ等に余計な指示が出来るからね」



「道ノ里の様子は?」


「好調だよ。ただ……」





地獄門は細多喜の耳元へ行く。




すると、地獄門は瞬時にハサミを新しい白衣から出し、細多喜の耳元へ入れる。


「……ククク。どう言うつもりだ?」



「冗談だよ。まあ、あれの場合、僕は確実に切っちゃいますけどね」



「余計な事は以後慎んで頂きたい。それでは、引き続き道ノ里……いや、アンドロイド HN-28-G5R の監視を頼むぞ」