複雑・ファジー小説
- Re: イエスタデイ・ワンスモア【オリキャラ募集中】 ( No.369 )
- 日時: 2016/11/19 15:09
- 名前: 翌檜 (ID: n1ZeCGPc)
universal unbalance zone
第一話 地球最期の二十日(はつか)
宇宙は壮大である。ただ、ひたすら無限に広がる闇は惑星と言う名の光を求める。
日常を過ごす人間達が宇宙船に写る。
「そろそろ、あの惑星の言語を学ばなくては……。未知の惑星はいつもドキドキするな……」
そう言って大量の宇宙船は地球へと目指す。
数々の異形の宇宙人は話す。
「星雲の調子はどうだ?故郷は星雲の近くにあるからな……」
「こんな未知の銀河じゃ故郷の映像なんて何年前の映像になるやら」
「しかし珍しい惑星だな。……他の惑星と交流が無い星なんて」
「そんだけ、文明が遅れてるんだな。まあ先住民なんてぶち殺せば良いだけだ」
地球だけが宇宙人の存在に気付いていない。
地球だけが宇宙に対して無限だと思っている。
一方地球に浮かぶ島国、日本の上に聳え立つ北海道の札幌。
「……あー、マジで学校だるいわー」
彼の名前は大場 幸助(おおば こうすけ)。其処ら辺にいる高校生である。
「……何でこんなにだるいんだろ。まあ良いや」
大場は一人、部屋でパンを食べる。現在彼は一人暮らしをして生活をしている。
「今年は受験だからな……一人部屋を用意してくれたのは嬉しいけど……」
大場は制服に着替え嫌そうな顔をして外に出る。大場はエレベーターのボタンを押し、エレベーターを待つ。その間に忘れ物の確認をする。そして鏡が付いているエレベーターに積極的に乗り、閉めるボタンを押した後に一階のボタンを押す。大場は髪型を整える為に鏡を見ながらクシを使う。
すると、他の階で止まり人がやってくる。大場は即座に鏡を見るのを止め、恥ずかしそうにする。
「……」
大場は一階に降り、学校に向かおうとする。此処までは普通の日常である。
「ん?何だあの浮遊物?……発光してるぞ?」
赤く光る発光体は大場の前で不時着する。衝撃は皆無で大きな穴も空いていない。
「……」
大場は動かない。すると、宇宙船から人間と同じ姿をした生命体が現れる。
「成程、酸素が充満しているのか。我々にとっては猛毒だな。全く汚い星だ」
生命体は大場を見る。
「……う、うあああああああ!!」
大場は逃げようとする。生命体は大場に向かって走る。しかし上手く走れずに転ぶ。大場は転ぶ生命体を見る。
「……」
生命体は大きく吐血し、転んだだけで死にかけていた。大場は生命体を見る。
「な、何だこいつ……めちゃくちゃ弱い……」
「成程、君にはそう見えているのか」
「え?ドッキリ?え?何これ、意味分かんないんだけど……。人間だよね?」
「成程、私は今命の危機に陥っている。助けてくれないか」
「は?え?……ん?」
「成程、状況が理解出来ないか。この惑星は他の惑星との交流を絶っていたからか」
「惑星ってあんた日本語話してるじゃないか。……ど、どう言う事?」
「成程、とりあえず助けてくれ。痛い」
「きゅ、救急車呼ぶから待ってろ」
「……地球の文化は多少学んでいたが……猛毒の惑星がゆえに惑星に住んでいる住人も下衆野郎か」
「それじゃどうすればいいんだよ!」
「君の家で治療させて欲しい。私は治癒能力を持っているからね。それに宇宙船を隠す場所にもなるかもしれない」
「……」
嫌な予感を察知した大場は即座に逃げる。しかし生命体は大場に向けて大量の光線を放つ。大場は怯える。
「何〜?今の……怖い……」
「私を助けたらこの惑星の破壊を止めよう」
「破壊?」
「言っておくがこれは交渉や取引では無い。脅迫だ。今すぐただちに宇宙船を隠す為にお前の家に連れて行け」
「わ、分かった……」
生命体は何事も無かったかの様に一人分サイズの宇宙船を運ぶ。重さは2tトラック程。
生命体と大場は自分の部屋に戻る。
「うわ……遅刻だよ。親に怒られるし……遅刻理由が宇宙人って……もう駄目人間じゃん……」
生命体は宇宙船をリビングの中央に置く。
「名前を言い忘れていたな。私の名前はこの国の言語ではハツカ。種族はンコダーイ星人」
「……これは本当なのか?俺、おかしくなったのかな?勉強のやりすぎで」
「君達だって星人だ。地球星人。我々からすればこんな星は珍しいぞ。文明の遅い惑星が」
「宇宙人なんてあり得る訳無いんだよ」
「ならこの大怪我をしながら立っている状況を説明出来るのか?」
「黙れ……そうだ、宇宙人なんていないんだよ。あのな、地球って惑星はな大量の奇跡によって生まれた惑星なんだよ。地球の位置、自転、公転、太陽との距離。全てがマッチして俺達がいるんだよ。地球、舐めるな!地球ほどの奇跡が他の惑星で起こる訳が無い!」
「地球程の奇跡が普通に起きるのが宇宙だ。君こそ宇宙を舐めているだろ。こんな惑星が生まれる前から宇宙はずっと存在している」
「……宇宙人って名乗る馬鹿に何を言っても無駄か」
「やけに強気じゃないか。現実逃避って奴か?」
「……警察呼ぼう。そうだ、何で今までそれを考えなかったのか……」
外は雨が降っていた。
すると、赤い発光体が意図的に大場の部屋の中に強引に入る。
「あーハツカー。駄目だよー、他の在住宇宙人が怒るでしょー!」
「すまない、サーメルティ。新しい星にワクワクが止まらなくてね」
「て言うか、もう先住民と交流してんのー!?」
「今度は可愛い女性が……宇宙船から……」
「あらら、中々良い人そうじゃん☆」
「メスには優しいのか。うむ参考になるな」
「……確かに、最初に落ちて来たのがサーメルティだったら警察には通報していないな……」
サーメルティはハツカに怒る。外は雷が鳴っていた。
「でも駄目だよ。移住してる宇宙人に迷惑をかけるのは!」
「ああ、それで避難勧告は出したか?」
「愚問だね〜私がそんなにサボってる様に見えた?」
「そうか、では他の惑星との戦争は避けられそうだ」
「……え?何の話をしてるの?」
「あれ?説明してないの?」
「ああ、言い忘れていたよ。
我々はこの惑星を滅ぼしにやってきた。
二十日間で全てを滅ぼす。なのでそれまでに君達は逃げるなり、戦闘に備えたり、もしくはこの二十日の間でやりたい事をやって死んでみるのも悪く無いだろ」
「ど、どうなってんだよ……はぁ?」
雷はハツカとサーメルティを照らす。すると、禍々しい星人の姿に一瞬戻る。
「光学迷彩も雷の光の影響で人間体を維持出来ていないな。改良をしなければ」
「あ、ちょっと待って。私この二十日間でこの地球の全部を観光したいから!」
「うむ、何処へ行こう。何か兵器がある所とかが良いな」
「私、この惑星の楽器の演奏を聞きたいなー!」
「……何だこれ」
こうして、地球最期の二十日間が始まる。ついでに大場とハツカとサーメルティの二十日限定の共同生活も。