複雑・ファジー小説
- Re: イエスタデイ・ワンスモア【オリキャラ募集中】 ( No.372 )
- 日時: 2016/11/22 16:35
- 名前: 翌檜 (ID: n1ZeCGPc)
第二話 地球最初の二十日
ンコダーイ星人は再び地球に向かっていた。トイサラバ星人は大場を改造手術をし始める。
「助けて!ハツカ!ハツカ!」
「大丈夫だ。安心しろ。お前をこれからトイサラバ星人と同じ形態を持つ生物兵器になるだけだ」
「……生物兵器?」
「始めろ。実験の第二段階を開始する」
サーメルティは呟く。
「二十日で破壊されなかった惑星は、次の二十日でたった一人の星人を確実に狂わせる……。キャー、怖いわー!」
トイサラバ星人達は地球に降り立つ。
「ハツカさん達は……」
「私は実験結果だけ知れれば良い」
「早く新しい星に行きたーい!どんな楽器があるのかな?」
トイサラバ星人は大場を運ぶ。
「何で俺達がこんな事を……」
「しょうがないだろ。俺達は二十日で破壊された惑星を提供してもらってるんだから」
「……石ばっかだけどな」
数日後、大場は目覚める。目の前には一人の男性がいた。
「おっ起きやがったか。オレの名前はトウ。うざったいンコダーイ星人の命令なんて聞く筋合いはないがお前が余計な事をするとオレ達がヤバい事になるから一応保護してるぜ」
「……トイサラバ星人!?此処は何処?地球は無くなったのか?」
「此処は地球。此処は俺達の隠れ家である河川敷だぜ」
大場は逃げ出す。
「お、俺はこれから何をどうすればいいんだ……」
すると、大場の顔は割れ化け物の様な形状になる。
「うああああ……な、何だこれは!?」
「お前はンコダーイ星人によって俺達と同じ性能にされたんだぜ」
「……そんな……」
大場はその場から崩れ落ちる。
「後、余計な事をするんじゃねえぞ。自由を掴み取りたいなら俺についてこい!」
「……」
大場はトウへついていく。
「これは……人間?」
「オレ達の主食は地球人だ。これは全て川で自殺した人間が」
大場は死臭と死体を見て嘔吐する。
「……これを喰えと?」
「オレ達が食べられる食事は地球人だけだぜ」
「魚とか牛肉とか色々あるだろ!どうして人間を……」
「確かに他の生命体も食えるぜ。ただ、好きなモノを食べて何が悪いんだ?俺はただ自由に肉を食べているだけだ。地球人だって他の生命体を大量に食べているだろ?」
「……」
「まさか魚と人間の価値が違うって言いたいのか?随分と主観的な考えじゃないか!オレには死んでも分からないぜ」
「……何で俺だけこんな目に……昨日まで……いや昨日も異常だったけど」
「それより人間を捕食しようじゃねえか」
「嫌だよ。俺は人間だ……!」
トウは大場の顔を裂く。
「これでも人間か?」
「俺は……」
「人間と共存したいって言っている奴もいるが捕食者と家畜が仲良くなれる訳無いんだぜ。それにお前は捕食者だ」
「……」
大場は戸惑う。
「それに地球人でありたい理由って何だ?」
「……元の生活……」
大場は過去を思い出す。
大場の目の前にはビチャビチャで切り刻まれた運動着があった。
「……同じ吸ってるだけで吐き気するわ……」
「何、見てんだよ。気持ち悪ぃな。化け物」
大場は呟く。
「そうだな、対して俺には大差が無いかもな。どいつもこいつも無責任な馬鹿ばかり。俺はそいつ等から離れたくて、レベルの見合ってない大学に受験をしたんだっけ……」
大場の顔は割れる。
「……トウ、俺は自由になるぞ」
「人生は一度きりだぜ?俺が相棒のバイクと一緒に楽しもうじゃないか!」
大場は数日後、制服の学ランを着たまま町を歩く。
「……」
大場はコンビニで溜まっていた不良達に向かう。
「んあ?お前、大場じゃねーか?何しに来た?」
「……」
大場は不良達を切り刻む。
「うああああ……。な、何してんだよ!?ってなんだよ、そのコスプレ!何のつもりだよ!」
「俺の事を化け物って笑わないのか?おい、笑えよ。あ?」
「……だ、誰か助けて!」
「大丈夫だ。お前の事はもう恨んでない。いや、もう思い出したくも無いし関わりたくも無い」
「じゃ、何で俺の所に来たんだよ!うあああああああああ!!!」
「……腹が減ったからよ。死んでも良い人間を捕食しに来たんだよ。
憎悪とかよりもよ。食欲が抑えきれないんだ。ただ、それだけだ」
大場は不良を生で食べる。
「うげっ……クズの味がするよ。ははは……」
すると、トウはその場にいた人間を拳で頭蓋骨を確実に砕く。
「全ては自由の為に!」
しかし、数分後には警察がやってくる。
「う、うああああ!化け物……!」
警察は拳銃で大場とトウを撃つ。
トウは大場を逃がす。
「顔を変形させろんだぜ」
「トウさんも一緒に……」
「一緒に逃げたら意味無いんだぜ……大丈夫、俺は自由に愛された男だぜ?」
トウは格闘術で警察に向かう。
「撃て!こ、殺せ!」
大場は逃げ出す。
「う、うああああああ!!!」
大場の思考は停止した。トウは銃弾を受けながら呟く。
「オレにあったのは食欲と自由だけだった。でもあいつと出会ってから何かが変われると思ったんだぜ。地球人も俺達と同じ様になれば共存だって出来るかもな。長い年月が掛かりそうだけどよ。次の世代がオレの子供とかがよ……オレが求めていた自由を感じてくれるかもな……」
トウは倒れる。そして交信を始める。
「オレはこの地球と……寄り……生き……」
この後、大場の行方は不明。だが、彼は人間を辞めた。人間の時に持っていた思考を捨て、食欲と自由を愛し、行動をする。
これは地球に最初に降り立ってからわずか二十日の事だった。
第二話 地球最初の二十日 完