複雑・ファジー小説

Re: イエスタデイ・ワンスモア【オリキャラ募集中】 ( No.373 )
日時: 2016/11/23 16:50
名前: 翌檜 (ID: n1ZeCGPc)

第三話 遠い星の隣人

「……この様に、悪質な化け物が我々人間を襲い始めている。なのでだ……」

「……」

「地球防衛軍を立ち上げようと考えている」

「そんな特撮じゃあるまいし……」

「……ならばこの危機を見逃せと」

「そうは言っていない。名前は……地球警備隊だ」

そして地球警備隊を結成。メンバーは窓際族の三人。

「……何でこんな事しないと駄目なんだよ」

名前は龜田かめだ。嘗ての職場では典型的な上司。上の者には犬の様に。下の者には鬼の様に。しかし、上の者のミスを押し付けられ、窓際へ。流されやすく軽い性格。

「と、とりあえず!仕事しましょう!久々に座る事以外に出来るんですから!」

名前はじん。嘗ての職場ではセクハラを強要された為に内部告発。しかし上層部に握りつぶされ窓際へ。冷静な性格。

「宇宙人は我々の敵か味方か……」

名前は貝田かいだ。嘗ての職場では上の者に口を出し過ぎた為に窓際へ。考えるのが好きな性格。

数日後、ある女性が訪れる。

「此処は地球警備隊ですか?」

「ああ、宇宙人の発見等はこちらで対処してます。何かご用件は?」

「それが最近この町、札幌で連続行方不明事件が起こっているんですよ」

「……それが宇宙人の仕業だと?」

「そうです。わ、私、見たんですもん。顔が割れて其処から化け物が出る様子を」

「……何か、酒で酔っていたとか。それとも化け物に見える程の恐怖だったとか?」

「信じてくれないんですか!?」

「いや、目撃現場には行きますよ。はい、行きまーす」

龜田と貝田と神は女性と共に宇宙人を捜索する。

「宇宙人なんて……馬鹿馬鹿しい……」

「あ、それよりスマホで特撮見ない?面白いよ」

「そうだな!」

貝田はサボらずに宇宙人を捜索する。

「宇宙人は敵か味方か……」

貝田はトウが撃たれている現場にいた。

「客観的に見ると我々が悪に見えるモノだな……」

貝田は公園へ行く。すると、顔が割れた青年がおにぎりを捕食していた。周りは逃げ出したり、警戒されていた。

「……君」

「どうしました?顔に大きな傷があるのがそんなに駄目なんですか?」

「……」

青年は口の周りからヒビが入った様な傷があった。

「我々は地球警備隊だ」

「へー、俺を宇宙人扱いして差別か。まあ慣れてるから良いよ。……何て言うと思ったか?頭湧いてんのか?地球警備隊なんて馬鹿みたいな自警団だな。消えろよ」

「ちゃんとした警察だ」

「なら警察はもう終わりだな。あ、元々終わってるか」

「……」

青年は貝田を連れて行く。

「……何をする」

「……来て欲しいんだよ。地球警備隊さんよ。本物の警察としてお前に問うぞ」

青年は古い民家に貝田を連れていく。

「何かして見ろ。撃つぞ……」

「……少し異変があるとすぐに敵と捕え排除しようとする。地球人らしいな」

「……」

青年は顔が割れ化け物のようになる。貝田は撃とうとするが手が震える。

「ほ、本当にいたのか?化け物が」

「正式には宇宙人だ。トイサラバ星人、俺の名前は大場」

「……」

「別に私は君に何もしない。ただ地球警備隊と名乗る君と話がしたいだけだ」

「……何かしたら殺すぞ」

「それはお互い様だよ。……私は君達、地球警備隊が来る事を待っていた」

「……どう言う事だ?」

大場はおにぎりを口へ放りこむ。

「私の主食は地球人だ。地球人が最も美味なのだ。好きな物を食べて何が悪い」

「……」

「私は人間を辞め、私の中で死んでも良い人間を捕食し続けた。しかし、死んでも良い人間が私の周りで消えた時に思ったのだ。

嫌いな人間を捕食する悦楽に勝る事は無いと。

つまり、さっきの行為が行えない事にストレスを感じていたんだ」

「……」

「そして私は心を取り戻してしまった。何故なら、私の中で死んでも良い人間の範囲を無理やり広げさせ、君達から見ても死刑に値しない人間さえも私は捕食してしまったからだ。

私は悩んだ。嘆いた。

人間を食べたく無い。ただ腹が減る。食欲を満たしたいと」

「な、何が言いたい」

「君に問う。君は隣人を食べる事が出来るか?」

「出来る訳無いだろ!」

「では隣人が宇宙人だったら?」

「食べる訳無いし、そんな事はあり得ない!」

「あり得ない?地球人は否定論から始める事が好きの様だな。だからこんな地球が生まれたのか。哀れだ」

「……」

「私も実際、隣人は宇宙人だったよ。では、最後の質問だ。

隣人が宇宙人だったら殺すか?」

「……」

「昨日まで普通に過ごしていた隣人が宇宙人だったら……殺しているだろうな」

貝田は妙な違和感を覚える。

「いや……殺していない」

「何故だ?」

「隣人の姿を見た事が無いからだ。隣人なんて別に興味等無い」

「それが地球警備隊の答えか。私はこの地球には何もしない。もう此処に来る事も無い。さらばだ」

夕日が二人を照らす。大場はその場を後にして夕日に向かう。

「……」

ただ美しき夕日は変わらず、地球を照らし続ける。そして大場は未来を吐き捨て、過去と共に生きる。間違っていようが。

第三話 遠い星の隣人 完