複雑・ファジー小説
- Re: イエスタデイ・ワンスモア【オリキャラ募集中】 ( No.374 )
- 日時: 2016/11/23 17:50
- 名前: 翌檜 (ID: n1ZeCGPc)
修正済みですが第三話にて、貝田が途中から龜田になってました。以後、この様な事が無いように気を付けます。
此処からは本編です。
第四話 正義の味方
龜田、神、貝田はその後様々な宇宙人を殺し、宇宙人の存在が世間に知られる事無く暗躍していた。
そんな時、新しいメンバーがやってくる。
「俺はワンスモア・Ⅰだ……」
「宜しく!此処では後輩だから雑用頼むぜ!」
「龜田。優しくしてやれよ」
「ははっ……」
一方、ある山奥では正義の味方の仮面を被った少年達が少女をボコボコに殴っていた。
「死ね!宇宙人!」
少年はビームと称して泥水を少女にかけ、笑う。
「宇宙人は早く死ねよ!」
少女はその場から逃げ出す。
「はっはっは!この村の平和は守られたのだ!」
少女の名前は一条マロン。学校や放課後等でずっと少年達とヒーローごっこをしている。
学校でも、正義の味方の仮面を被った少年達にノートを破かれ、机に花を置かれ、弁当に虫等を入れていた。
先生や学校からはあくまでもヒーローごっこをしている様に見えていた。だから、イジメでは無い。そう、イジメでは無い。イジメと言う事実は存在していない。する訳が無い。事実確認が取れていない。何も分からない。本人が何も言っていない。イジメと認識出来なかった。
そう、ただのヒーローごっこ。イジメでは無い。
「地球を侵略する宇宙人め!幽霊になってもまだ死なないのか!」
一条には家族がいなかった。いるのは叔父のみ。一条は放課後、呟く。
「誰か……」
「貴様!仲間に交信をしたな!そんな奴は電気ビリビリの刑だ!」
そう言ってヒーローはスタンガンで一条を襲う。すると、ヒーロー達は顔が割れた男性に仮面を取られる。
「う、うわ!本物の化け物だ!こいつ、本当に宇宙人かよ!」
「キモッ!逃げるぞ!」
「スタンガンを持つ子供とは……」
一条は怯える。
「……」
「俺の名前は大場。君と同じ宇宙人だ……」
「ち、違うよ……私は、地球人」
「そうなのか?……なら彼等は何故……」
「……分からない。分からないよ……」
一条はヒーローごっこでいつも宇宙人の役をされる理由で泣き始める。決して、イジメられているからではない。決して。そう、決して。そんな事実はない。有るはず無い。
「少し、広い場所で落ち着こうか」
宇宙人は一条を拉致する。少女の弱みに付け込もうとは酷く醜い宇宙人だ。
数日後、人々は一条を避ける様になる。理由は当然、隣にいる宇宙人のせいだ。
「俺も……周りから宇宙人扱いされたな」
「だって宇宙人じゃん」
「ははっ……そうだな。けどさ、それでも辛いな。マロンはもっと辛いけどな」
「……」
訳の分からない日本語を話す宇宙人は少女の心を掴もうとします。恐ろしいです。
「だから俺は地球を捨てた。俺はいつか、仲間からの迎えを待っているんだ。俺の同志が此処に来て俺を宇宙へ連れて行ってくれる。
そうしたら、俺は未来へ歩けるんだ。こんな所に未来はない」
「……私も連れて行って?」
「……君の気持ちは分かる。分かるけど……」
宇宙人は少女を拉致しようとする。もはや存在してはいけない域に来ている。なので、人々は地球警備隊に話す事にした。これで、宇宙人は死ぬ。人々に害をもたらす害虫は処分される。
「……お願いしますよ!」
「はい、分かりました!宇宙人は悪です!殺しましょう!」
貝田は呟く。
「分かり合えると思うんだが……宇宙人でも」
ワンスモア・Iは貝田を見る。
「何を考えている。宇宙人はあってはならない存在だ……」
「……」
神は呟く。
「でも、貝田さんの気持ちも分かりますよ。友好的な星人もいると思いますし」
ワンスモア・Iは話す。
「俺は宇宙人が滅ぼせばそれで良い。その後の被害や影響等どうでも良い」
「それでこの前、お前は宇宙人殲滅の為に宇宙人が多い地域にミサイル飛ばしてその地域に住んでいる地球人ごと吹き飛ばそうって上層部に直談判したんだろ。ふざけるな」
「……人類滅亡よりマシだ」
遂に正義の味方は悪の宇宙人を滅ぼす。
ヒーローの仮面を被った少年達は一条を連れる。
殺傷能力が無い武器で人々は一条を殺そうと足を折り、腕を折り、顔を潰す。これで宇宙人は大人しくなり平和が戻る。小さなヒーローが町を救ったのだ。将来の夢、地球警備隊にも入隊できそうだ。
すると、化け物、害虫、有害物質がこちらに向かって来る。
「貴様等には心が無いのか……!地球人!」
一緒にいた地球警備隊の貝田は大場に気付く。
「……大場……」
「マロン……」
「消えろ!クソ宇宙人!」
「……止めろ!龜田!」
地球警備隊のワンスモア・Iは大場を撃つ。貝田は止めようとするが止まらない。
しかし大場は化け物の状態で立ちあがりくたばらない。流石害虫。ゴキブリ
並の生命力。
「オレの知ってる正義の味方はな……お前等なんかよりもずっとカッコ良かったぞ!!!」
大場はトウを思い出しながら、一条を救おうとするが地球警備隊に射殺。大場は倒れる。一条はボロボロになりながら仲間の宇宙人に駆け寄る。
「……死んじゃ駄目だよ。う、宇宙に仲間と行かないと……行かないと……」
「うるさいな。死ねよ、宇宙人」
しかし貝田が止める。
「……宇宙人よりもお前等の方が恐ろしいよ。それにこの子は地球人だろうが宇宙人だろうが子供だ……」
貝田は一条を保護する。
こうして、悪の宇宙人は滅び正義の味方の大勝利!正義は必ず勝つ!この山にも平和が訪れたのでした。めでたし。めでたし。
第四話 正義の味方 完
貝田は呟く。
「私がもし、住民の立場だったら確実に宇宙人と呼ばれた少女には少なくとも近づかないし、差別を見逃してしまうだろう。
客観的に見られたから私も彼等の行動を止められ、彼等をクズと認定出来る。
しかし主観的に見たら私も拳銃の引き金を引いていただろう。
だが、だからと言って開き直って良い訳が無い。この出来事を通じても誰も何も変わる事はない。ただ、俺は……」
貝田は目の前で行われているヒーローごっこを正面から見る。
「……表面だけで全てを決めるつもり等は絶対にない」
トウの意思を継ぎ、宇宙人を保護すると言う愚行に走った貝田は正義のヒーローを殴りました!
きっと彼は後世に最悪の地球人として名を残すでしょう。全く彼の行動の意味が……
虚像はヒビが入れば脆い。一条は地球人と誇示し、マスコミや警察に自分が受けた被害を発表する。