複雑・ファジー小説

Re: イエスタデイ・ワンスモア【オリキャラ募集中】 ( No.375 )
日時: 2016/11/24 18:53
名前: 翌檜 (ID: n1ZeCGPc)

最終話 universal unbalance zone

「なあ、お前、将来どうするんだ?」

「知らん……。そんな先の事考えてねーよ」

「そんな先って……もうすぐ高校受験だぞ。こんな河川敷で将来語ってる場合じゃないだろ。勉強しないと」

「……あいつ、元気かな。よくイジメられてたからな」

「誰だ?」

「大場だよ」

二人の高校生は夕日に沈む川を見る。

一方、地球警備隊は神、龜田、ワンスモア・Iの三人で活動をしていた。

「まだだ……まだ、害虫は腐る程いる。絶対に潰してやる」

ワンスモア・Iも同意する。

神は悩む。

「害虫って宇宙人だけなのかな?……人間にも害虫っているよね?死んだ方が良い人間とか」

死んだ方が良い人間の葬式に二人の高校生がやってくる。

「確か……中卒だっけ?」

「そうそう、宇宙人に喰われたらしいよ」

「遺骨どうすんだよ」

「なくても葬式はするだろ……。行方不明ならしないけど死んだも同然なら……ね?」

「よく分からんが……」

「大場も多少は報われたかね。イジメた奴が死んで」

「報われたってあいつ、まだ生きてるだろ。どっかで、多分……」

すると、二人の男女が二人の高校生に話す。

「大場はもう死にました」

「……だ、誰だ、あんたは!」

「私の名前はハツカ。貴方達も可哀想ですね。こんな惑星で生まれてしまうとは」

「私はサーメルティ!別に被害を被るつもりはないよ。ただ大場と友達なだけ!」

「……大場の友達?」

「大場が死んだってどう言う事だよ。自殺?事故?他殺?」

「他殺です」

「……誰が殺したんだよ。もしかして死んでも良い人間か?」

「違う違う。この地球に殺されたんだよ。彼は」

「……」

「さあ、今まで何も選択をして来なかった見物人達よ。今、『選択』する時が来たんだ」

世界は暗転し、再び光が灯った時、二人は宇宙船に乗っていた。

「う、うあああ!何だこれは!」

「う、宇宙にいる。な、何で?え?」

「慌てるな。無重力だから無闇に暴れるとコントロール出来なくなる」

「どうなっているんだ?」

「宇宙人なら大抵の事は出来る」

「もしかしてお前達は宇宙人なのか?」

「その通り!ハツカで星を滅ぼす事から私はハツカと呼ばれている」

「……」

「いやいや、君達には何もしないよ。君達はただ、『選択』をするだけだ」

「……選択?」

「そう、希望や自由を選ぶ為の選択」

ハツカは禍々しい宇宙人になる。二人の高校生は怯える。

「未知の生物に警戒をし、悪と判断する。地球人らしいな。まあその判断は非常に正しいけどね。

此処で私に殺されるか。それとも他の選択をするか」

ハツカは二人の高校生を殺そうと追う。高校生達はその場から逃げドアを開け無重力空間で足掻き、逃げようとする。

ハツカは叫ぶ。

「この物語のエンディングを見させてもらうよ」

「何で俺がこんな事を……」

ハツカは叫ぶ。

「こんな宇宙船で逃げたって捕まるのが妥当。無駄な抵抗だと思うから、逃げ道を作ってあげよう。此処には小型の緊急脱出用の宇宙船がある。

そう赤い玉の形をした宇宙船だ。これで私は大気圏を越え、大場に会いに行った。

さあ、お前等!其処へ逃げろよ!」

「そ、其処へ逃げよう!」

「馬鹿!あんな奴の言う事なんか聞けるかよ!」

「私に従えば……君達は殺されずに済むかもしれない。従わない方が今の君達には非常にまずい状況だと思わないか?行っても地獄。戻っても地獄なら行った方が良いだろ?」

「何でこんな目に遭わないと駄目なんだよ……」

「悲劇はいつでも君達の隣で眠っているぞ!宇宙人の襲来?大災害?隕石落下?食料不足?核戦争?

ゾンビウイルス?逆襲?暴走?死神?障がい?蟻?戦争?妄想?ブラック展開?ヤンデレ?文化の摩擦?戦争の英雄談?自己啓発?怨念?居場所が無い?

そいつが起きる時、お前は何をしている。

何が出来る」

一人の高校生の選択は赤い宇宙船で地球に帰る事。

彼は自分の為に自由を掴んだ。他者を見捨て、イジメを見て見ぬふりをし都合が良い時だけ大場を想う。人はそれを偽善者と呼ぶ。

「悪人よりマシだ!何もしないヒーローよりマシだ!」

こうして、彼は今日も誰かの指示を待つ。宇宙人でも。


もう一人の高校生の選択は、宇宙船の船長室。

「俺は全てをコントロールする。ははっ……!ハツカの野郎にも想定出来なかったエンディングだろうな。俺はこの宇宙船をコントロールし地球を帰り、ハツカを晒し者に」

彼は支配欲が強かった。彼女や友達にも。大場は彼を避けた。別に彼も大場が好きでも親友でも何でもない。そう、大場が俺と対等だと思っていやがる。特別何かが出来る訳の無い奴のくせに。

「支配出来ない奴、逆らう奴は虐めてやるんだよ。そうすれば、あいつは全てを失い、追放され、自分の身分を思い知らされる。

最高の気分だよ」

ハツカは彼を見る。

「選択をしたか……」

「……ああ、それがどうした?」

「大場はお前をどう思っていたんだろうな」

「……?」

「あ、第一話の部分の大場の人物紹介の時にこう書いておこう。

『君の事は名前も顔も覚えていない。元々友達と思ったことも無い。友達になろうとも思わない。

私は君の事が嫌いだ』」

「……別にそれで?何?」

「何でも無いさ。好きにすれば良い」

ハツカはサーメルティと消える。

「……」

彼の隣には悲劇があった。復讐と言う名の悲劇が。ただ、それに気付く事は無い。何処かに救いがあると思っている。今日も彼は誰かを支配しようとし、下の者を追放しようとする。





ハツカは小説を書く。

「君ならどんな結末を望むのか。是非、考えて欲しい」

「そう言って考える人なんて、いないよん」

「しかし地球人が考えるエンディングは救いが無いなー」

「てか、あの状況で希望があるエンディングってあるんですかね?」

「私を説得させるとか?」

「演説じゃん。そんな説教とか自己満足感出過ぎでしょ。喜ぶの作者だけ〜。重い話の上に自己満足、説教とか校長先生の話かよ」

「っさて、その点を踏まえて新しい話を書こうか。いや、新しい星へ行き無理やり先住民をシナリオに参加させに。次の舞台の私の名前は何にしよう。アクセルとか、そう言うカッコイイのが良いな」



この物語は一人の身勝手な宇宙人が地球と言う雄大な土地を無理やり舞台にし、小説にした物語。

あくまでも物語ですから、二十日間で地球を滅亡する宇宙人なんて居る訳ありませんし、地球人はどう足掻いても地球人。宇宙人なんかになれません。

ヒーローは皆のヒーロー。一条みたいな少女は最初からイジメられていません。だってヒーローがそんな事するはず無いじゃないですか。これは物語です。フィクションです。

宇宙人もオカルトの部位。

地球警備隊もただの窓際族。窓際族があんな拳銃振り回せる訳ありません。

全ては小説なので安心して下さい。全てはハッピーエンドです。

これまでこの小説をお読み下さってありがとうございました!

「ありがとう!」

「やったー!」

「良かった!」

「わーい!」

最終話 universal unbalance zone 完


「こんなストーリーにすれば皆が楽しめるエンターテイナーが完成するんだろ?皆、ハッピーさ。不条理でも不完全でも無い。主人公が死ぬ訳でも無い。これで皆希望の道を歩ける。うんうん、地球は素晴らしく美しい星だよ」

ハツカとサーメルティは笑いながら次の星へ行く。