複雑・ファジー小説

Re: return world【オリキャラ募集中】 ( No.377 )
日時: 2016/11/26 16:58
名前: 翌檜 (ID: n1ZeCGPc)

セヴェルトは河川敷に向かい、Fランクの人々と会う。

「おお、ようこそ。此処は火葬市Fランカー住居地。何処も段ボールハウスだがね」

「……寝床があれば問題無いんで。しかし貴方達にこの生活は随分と大変じゃないか?だって」

セヴェルトは目の前にある高層ビルの数々を指差す。

「FランクはSSランクだろうが必ず通る道だ。何故なら君と同じ様にスタートが此処、Fランクだから。

しかし、この力だけの世界でも派閥と言うのがあってね。

派閥に入っている新人は、直ぐに何度も試合をしたがるんだよ。何故だかわかるかい?」

「……?」

「私達の様なクズを蹴散らす事で、ランクを上げられるからさ。私達の存在価値はそれくらいだと思われているんだよ」

「……ほほう」

「君はそんな事をしないよな?まあ、派閥に入っている奴が此処に来た事なんて一度も無いけどな」

「ん?俺の事新人って分かるの?」

「ああ、新人じゃ無い場合でFランクに下がる奴はブラックリストに載せられて晒されるんだ。合法的に差別をして良い身分の方々ですってね」

「君は何で此処に?」

「色んな理由があるよ……。上のランカーに逆らうとか。派閥ごとFランクに下げられるとか。一番多いのは逃亡だな」

「逃亡……」

「どんな所にでもいるんだよ。人を殺したくない奴が。怖いのか、底から隣人を愛しているのかは知らんが。そんな奴はずっと此処にいる。Fランクは皮肉が沢山詰まっている。そして差別に耐え切れなくなり人は自殺をするか、派閥に入った新人の肥やしになる。

しかし、派閥には入っていない新人を見るのも珍しい。大体、どんな馬鹿でも派閥には入ると思うがな」

「派閥に入るには?」

「それこそ、力による面接だよ。ただ、基本的に合格はする。雑魚もサイボーグや強化人間にすれば良いだけだから。

君は……何者だ?」

「セヴェルト・オースツジ。自分でも良く分からん存在だよ」

セヴェルトは段ボールで家を創る。その様子を少女が見ていた。

「かわったしんじんさんですね。でもここではねんれいはかんけいないです」

「君、親は?」

「おやは....こうつうじこでしにました。でもわたしはだいじょうぶです」

「……あ、ああ……ごめんな。名前は?」

「わたしは茴香 百子(ういきょう ももこ)。7さいです」

「あれ?そう言えば試合って何歳から出来るんだっけ?」

「20歳からで、親とその20年だけ一緒に過ごせます。その後は強制的に赤の他人と言った関係になるな」

「て事は二十歳からか」

「でもじっさいはなんさいからでもしあいにしゅつじょうしていいんですよ....わたしは7さいでこどもあつかいされてるからFランクだけど....わたしはもうおとななのにな」

「これは何歳まで出場して良いの?流石に高齢者が人殺すって……」

「ある程度の歳になったら引退出来る。んで、その後は……俺にも分からん。まあSSランクくらいだろうな。引退を考えてるのは。まず、他の奴等は引退する前に死ぬよ」

「……俺もこの試合に参加するのか……」

「それが義務であり幸せになる為だ。他者を殺して伸し上がる」

「……助け合いって言うのは無いのか?」

「そんなのないだろ……」

「そしたら、ストーリーとして、試合としてあまり盛り上がらないな。

超能力バトルで演説するなんて、フィクションの中で十分だろ?」

一方、高層ビルで一人の人間は呟く。

「社会的に必要無い人間を有効活用しているんだ。感謝して欲しいくらいだよ」

「……ああ」

「河川敷でホームレスになり腐って行くか。……それとも俺の元で一生実験台になるか。

考える必要何かないだろ。此処で生きたいなら良心を捨てろ」

「イエッサー。社長さん」

シャボン玉を静かに吹く茴香とポップコーンを片手に食べるセヴェルトはモニターを見る。

「これでしあいをみれるのよ」

「なるへそ、それじゃ……見ようか」

舞台は闘技場。雰囲気は近未来の様な感じであった。真っ白な壁に多くの観客。観客もまた戦う時が来るが今はどちらが勝つかで賭けている。

「さあ、やってきました。今回の試合はSランク、145勝21敗4引き分け。流星の怒髪天。星宮麗二!と……」

「相変わらずの二つ名だね。誰が考えているんだか」

「そして今回の相手は同じくSランク。23勝0敗0引き分け。わずか、23戦でFランクからSランクへ伸し上がった強者。彼こそが選ばれし最強の、独眼竜。誰がこいつを止めるのか!いいや、誰にも竜の行く道は止められない!

名乗りを上げろ!伊達 上戸(だて じょうと)!」

「お前が美男子として持て囃されている星宮か!」

「……」

「世の中は力。顔がイケメンだろうが雑魚は死ぬ運命にあるのだ!」

「……君は演説をしに来たのか?」

「お前は、確かAランク昇格と共に派閥から抜けたらしいからな。遠慮なく殺してやるよ!」

「お前はバックがいないと人も殺せないのか?」

「黙れ!お前は運と顔が良かっただけなんだよ。ちょっと不思議な能力を使えるからって舐めるな!俺様の能力を見て恐怖に戦くんだな!」

伊達は片目で星宮を見る。すると、星宮の両目が真っ黒になる。星宮の目は何も見えなくなる。

「……これは」

伊達は日本刀を手慣れたように振り回す。

「俺様の能力は妖術が使える事。端的に言えば魔法が使えるんだ。言った事に対して妥当な妖術が自然に起こる。

俺様が目が見えなくなると思えばお前は目が見えなくなる」

伊達は式神を大量に召喚する。

「残念だな。素敵な光景を目の前にしてお前は何も見れない!」

「僕には髪がある。それに君が出した素敵な光景に大きな価値を見出す事は出来ないね。それに盲目の人もSSランクにいるって噂だしね」

「……この状況で冷静とは驚きだ。本当に凄い。いやはや、凄いが。

俺はテレポート、治癒能力、式神召喚。そして人体影響。の妖術を持っている。

無謀と冷静は違うぞ。やせ我慢は止めろ。美男子君」

伊達は大量の刀をテレポートさせる。

「死ね」

伊達は大量の刀をテレポートさせ星宮の身体を貫く様に妖術を唱える。星宮は刀の刀身を伸ばした髪の毛で大量に巻き付ける。

「長い髪は切るべきだ。じゃないと女に間違われるぞ。か弱いな〜」

「……」

伊達は刀をテレポートさせ星宮の髪を光速で切り始める。星宮の髪は硬質化するが、刀のテレポートの対応出来ず、髪を切られる。

さらに式神が一斉に星宮に襲いかかる。

「終わりだ」

「僕は負けない。派閥に媚びた奴には絶対に」

星宮は天井に髪の毛を大きく伸ばし貫かせる。そして髪の毛を短くして天井に向かわせる。伊達は指示をしようとするが天井から伸びた髪の毛が伊達の首を絞める。刀は動かせる訳ではない為床に落とされる。

また天井から無数の竜の形をした髪の毛の束が現れる。

式神達は天井を見上げる。

「主人を無くした式神なんか僕の敵じゃない」

星宮の髪は式神を髪で噛みさらに、摩擦で自らの髪を燃やす。

「146勝21敗4引き分け。僕の前では23勝の妖術じゃ勝つ事は不可能と言っていい。式神のテレポート、治癒能力を他者、式神にも使える。式神の経験を増やす。信頼関係を築く。君のプライドが許さないのか分からないけど目だけじゃなくて口、鼻、心臓の動きを封じて窒息死。

基本的な戦闘技術が無くてSランクを名乗るなんて笑わせないでくれ。

Sはスペシャルじゃない。僕にとってはストラテジーだ。だからAランクもSSランクも僕の中では素材の強さに差があっても応用性に差は無いよ」

「……」

伊達は血泡を吹いて倒れる。

「殺しはしない。だが慈悲だと思うな。お前がいくら強くなろうが僕には適わない。僕にとっては殺す価値すら無いどうでも良い人間だ」

伊達は呟く。

「調子に乗るな。高校生。……この世界に優しさは無い。

お前は絶対に死ぬ。この世界に慈悲は無いからな!」

伊達は倒れる。