複雑・ファジー小説

Re: イエスタデイ・ワンスモア【オリキャラ募集中】 ( No.393 )
日時: 2016/12/05 18:37
名前: 翌檜 (ID: n1ZeCGPc)

第二十八章 ファンタジーデスティニー

第一話 桃太郎

むかし、むかし、ある所におじいさんとおばあさんがいました。おじいさんは山へしばかりに、おばあさんは川へせんたくに行きました。 おばあさんが川でせんたくをしていると、ドンブラコ、ドンブラコと、大きな桃が流れてきました。

「あれま〜あんなにでけえ桃がドンブラコ言いながら流れて来たべ〜」

「ドンブラコ」

おばあさんは桃を運び、おじいさんと合流して桃を斬る事にしました。

「良し、真ん中切れよ。ズバっと両断じゃ」

「でも、中からドンブラコって声が聞こえるんだべ」

「斬れェェェェ!この俺が言ってんだから良いから斬れよ!俺は侍じゃぞ!」

すると、桃は開く。桃にはなんとも愛くるしい子供がいました。

「何で……子供が……まさか、ばあさん!お前の子じゃあるまいな!

他の男と寝てやがったな!斬るぞ!」

「この歳で不倫なんて出来る訳ねえべ。勘弁してくれや。早く、託児所に預けねぇと」

「いや、こいつは……」

爺さんは子供を見る。

「こいつは俺が育てる。桃から生まれた原理なんて知らねえ。ただ、餓鬼見捨てる程、俺は腐っちゃいねえ。桃は若干腐りかけだがの〜」

爺さんは腐りかけの桃を食べながら、子供の名前を名付ける。

「お前は桃太郎だ。んー、理由は桃の木の様に立派に育って欲しいからだ。

こんな理由で良いだろ。何か名前で文句言われたらこう返して、感動させろ」

「感動出来ねえべ」

桃太郎はスクスクと育った。だが、爺さんと婆さんは……。

「ほれ、桃じゃ。美味しい桃じゃ」

「可愛いの〜。初孫じゃ。初孫じゃ」

「僕はあれ……玩具が欲しい。あの、竹トンボとかカブト虫も良いな」

威厳も道理も原理もむなしく、桃太郎は劇愛される。

そして桃太郎は反抗期に達する。

「ジジイ、ババア!何で俺の名前、桃太郎なんだよ!お陰でイジメられるようになっちまったじゃねえか!

農業しか能の無い年寄り共が」

「……」

「何だその面?もしかして、鬼退治とか言って俺を追い払おうとしてるんじゃねえだろうな?

親を名乗るならそれなりに筋通せよ。

世間じゃ俺の事を失敗作って言うらしい。

失敗作の管理はテメエ等でしろや。

この家を俺にくれよ。そしたらもう何も言わねえ。後、仕送りな?

当然だろ?親なんだから」

「ひいい……」

「貴様!親に向かってなんて口を!」

「うるせえ!ジジイ、お前が桃太郎なんて腐った桃喰いながら名前を決めたせいだろうが!

俺の名前はもう、桃太郎じゃねえよ。

雷電・V(らいでん・ブイ)。これが俺の名前だ」

「……雷電・V?親の名付けた名前を捨てて何を……」

「ジジイ。どうせ、俺を鬼退治に出かけさせ、きびだんごなんて言う味の付いてねぇ団子を持っていかせ……。

最終的に鬼に殺される事でお前等は俺の支配から抜け出そうって魂胆だろ?お前の目的は鬼退治じゃなくて俺が死ぬ事を願ってるんだろ?おー怖いね。鬼より怖いよ」

「違う!此処で暴れている鬼を純粋に、侍として……此処を守りたい。

だから鬼退治に出て欲しいんだ。分かるか?」

「鬼が此処に来るんだろ?なら俺は此処で用心棒をしてたっていい訳じゃないか」

「違う!あれだ!元凶は鬼ヶ島に行かないと駄目な奴だ!桃太郎!」

「俺の名前は雷電・Vだ。……俺はこの運命を変えるんだ!

鬼以上の恐怖を味合わせてやるよ!」

桃太郎は刀を持ち、おじいさんとおばあさんを斬りました。

「んー、ナマクラ刀じゃこの程度か。それじゃ……この世界を変えに行こうか」

桃太郎は自分の人生を読む。

「ケッ……きび団子で犬、猿、キジを仲間にするか。誰が動物仲間にすんだよ。人間欲しいよ。人間の仲間が欲しいよ。RPGでも動物だけ仲間になるなんてありえねーよ。モンスターならともかく。まあ桃から生まれる俺もいる訳で、モンスターもあり得るかもな。まあ、良い。俺は……。

この町一番の鬼殺し、なんてなる気はない。なるなら、大きく……そうだな。

この世界一番の人殺しってとこだな」

この物語は、御伽噺の運命を少しだけ変えた話。

もしも、桃太郎が自分の人生の予測が出来、超が付くほどの極悪人だったら。

コメディなので気楽に見て頂けると幸いです。

「俺の人生は空虚なモノよ。あの人生で語れるのはジジイババアに利用されてた事くらいだろ。俺に鬼退治のメリットは少しも無い。てか、引っ越せば鬼の被害から逃げられたろ。文字も書けぬ、読めぬ、農業だけが取り柄の阿呆はこれだから困る。

ならば、俺は雷電・Vとして生きるのみ。主人を探し……物語では無く、主人に従うだけ……ヒヒッ」

すると、犬が現れる。

「ファ!?俺さ、ずっとお前が来るの待ってたんだよ!雷電・Vってそんな……。この物語どうなんの!てか、最近、このイエスタデイ・ワンスモア。メタ発言が多いんだけど!前の小説で懲りろよ!オリキャラもっと出演させろよ!だから、お前の小説にオリキャラ来なくなるんだよ!」

「犬語は分かりませーん。キャンキャン吠える負け犬はいらねえよ」

雷電・Vはその場を去る。

同時に猿が現れる。

「ウキー!……お、俺なら金稼ぎに使えまっせ。猿を躍らせりゃ、金が転がり込むってもんですわ!も、雷電・V様!」

「……猿か。お前に俺の仲間が務まるか。務まるのか?」

「……へ?」

「猿を雇うくらいなら、猿を売って忍者を雇った方がまだ使い勝手があるもんだ」

「ひぇ!」

雷電・Vは猿を無視して歩く。すると、キジが現れる。

「いや……キジの方が儲かるか」

「あ、あたすは通りすがりのキジでござんして。決して仲間に」

雷電・Vはキジと団子を売り飛ばし、銭を所持する。

「……今の世を潰すには、室町幕府。つまり、足利の野郎とその配下を殺さないといけねえ。流石に俺一人じゃ無理だ。犬、猿、キジでも無理だ。鬼を討てても、足利は討てねえ。

俺自身を変えるには……んー、戦力を蓄える必要があるみたいだな。

まあ心当たりはある。銭もあり、力もある奴をよ。なあ、鬼さん」

雷電・Vは鬼の元へ行く。

「こいつは脅迫だ。鬼さんよ。殺されたくないなら、俺に従え。

この預言書は絶対だぜ?後世にもお前の見事な負けっぷりが伝えられる。

そいつは嫌だろ?」

「俺の名前は鬼じゃない.....ドゥーロだ」

鬼の一人は蝋燭を持ちながら叫ぶ。

「お前を蝋人形にしてやろうか!俺の名前は鬼神。

ドゥーロと兄弟分の盃を交わした仲。

そいつが犬と猿とキジ?キジって……。そいつ等に負ける命かよ!

我等鬼人族もなめられたモンだ。なあ?ドゥーロ」

「.....」

鬼神は棍棒を振り回す。

「相手になってやる。その刀で何が斬れる。

この物語の様に俺達を斬るか?

それとも、お前の言う通り世界を斬るか?

お前には何も斬れねえんだよ。

俺達で何も変わらなかったんだ。お前に何が出来る!」

「……人斬りだ」