複雑・ファジー小説
- Re: イエスタデイ・ワンスモア【オリキャラ募集中】 ( No.396 )
- 日時: 2016/12/06 18:15
- 名前: 翌檜 (ID: n1ZeCGPc)
第二話 浦島太郎
「おい、金持ってきたか?亀?」
「……無理ッス。無理ッス」
「あー?使えねえな、このノロマ」
「海に放りこむか?手足縛ってよ」
「良いなー、それ」
むかし、むかし、浦島太郎と言う青年の漁師がいました。
「……ふあ……眠いなー……漁なんてかったるいよ」
「よし、投げるぞ〜。今日は暑いからな〜。ハハッ」
「おい!何してんだ!動物虐待だぞ!」
「うるせーよ!お前もあれか?海に入りたいか?手足縛られて?キモいね〜」
「ちょ……あれ?逃げないの?」
「何で逃げるんだよ?何?正義の味方ぶってんの?」
「いやいや……俺、鬼退治もクマと相撲もとらないよ」
「……何言ってんだ、こいつ」
「俺はただ、淡い恋を求めているだけだ。漁師じゃ出会いが皆無!近所の婆さんしか相手いねーよ!嫌だよ!幼馴染とか妹とか姉が欲しいよ!」
「既知感を感じるぞ……。まあ置いといて。恋とか知るかよ。源氏物語読んでろ!」
「……畜生。少女漫画の様なモテモテ男子になりてーよ。アイドルになりてーよ。カッコイイ衣装きて歌、歌いてーよ」
「あいどる?しょうじょまんが?訳分からない事言いやがって」
すると、亀は俊敏な動きで少年達をボコボコにする。
「私は、1人でございます……私を作ったものは、この世にはいません……寂しいなどはございません……感情ですか?」
「亀……さん?」
「私はΛ=ηでございます。貴方様を竜宮城……いいえ、我執印家へご案内します」
「我執印家?聞いた事あるけど!」
「我執印家は旧石器時代から続く素晴らしい家系です。それゆえ、周りの一族から嫌われ、住まいを水の中としています」
「えー?嘘だー!旧石器時代って何年前か知ってて言ってんのかよ!我執印家……。嫌な予感しかしないよ……。物語もお爺ちゃんになったって言う訳分からないバッドエンドで終わってるし。
……乙姫も期待しちゃ駄目かもな。
乙姫……。嫌だな〜折角雰囲気は少女漫画のラブコメディになりそうだったのに。俺がカッコよく少女のハートをキャッチしたかったのに」
浦島太郎と亀は竜宮城に辿り着きました。
「海の中でも息出来るんだな?」
「ええ……そうでございますね」
「ん?」
浦島太郎と亀は我執印家の執事達を見る。
「ほら……ブラック展開の塊だよ〜。嫌だよ〜死にたくないよ〜」
無名名無、月丘幻虎、アグト等が出迎える。
「まんまじゃん!セットもまんまじゃん!何?桃太郎と全然展開違くない?桃太郎、あんなに裏設定とか色々書きこんでるくせに!嘘だ!」
「プリンだ。プリンを用意しろ」
「……うぐっ!ゲロならすぐに用意できる……」
「……さて、私だけの乙姫様。お客様です」
「何、さりげなく私だけとか……」
「先輩は私と運命の赤い糸で結ばれているんです........ですからずっと一緒ですよ........」
「……」
「私の名前、忘れたんですか?浜梨 美穂ですよ。私達、子供の頃ずっと遊んでいたじゃないですか?」
「愛するより愛されたい……。そっちの方かよ……」
「それでは私達は控えさせていただきます。乙姫様。浦島太郎様、ごゆっくりお楽しみ下さい」
「お楽しみって……御伽噺でこんな展開無いだろ!俺はもっとラブコメディみたいな!清純で清潔な恋愛をしたいんだ!昼ドラの様な恋愛なんて出来るか!童貞でいきなりこんな恋嫌だー!」
浜梨は浦島太郎の顔を見る。
「貴方には浦島太郎の名前は相応しくありません。私が新しく名称を考えてあげますね?絶対に気にいりますよ。
茨田 春(ばらた はる)とか?」
「名前変えられたよ……勘弁してくれ……。既知感が……」
「先輩♪昨日、先輩と肩を寄せ合って見たあの花火綺麗でしたね?本当に覚えてないんですか?その後の事も....?」
「昨日は魚釣ってたよ。水の中でどうやって花火見るんだよ。てか、幼馴染設定なら同い年だろ。先輩って……」
「私は忘れて無いですよ。先輩との青春の日々。ずっと学校で二人、過ごしてましたよね?」
「学校って何!?」
「先輩が私を体育倉庫で襲った時はもう...」
「妄想で照れるな!」
「妄想じゃありませんよ?全部私達の想い出です♪」
「……駄目だ」
「先輩は私だけのモノですよ。もうどこにもいかないで下さい。逃げたら....」
浜梨は包丁を持って浦島太郎に向ける。
「逃げないようにお仕置きしますから♪」
「出たよ……ヤンデレの代名詞……包丁……」
「可愛いですね、先輩。可愛がって上げたい.....」
「あ、もうこんな時間だ!母ちゃんに怒られちまう!俺、地上に戻らないと!」
「....お母さん?誰ですか?その女?」
「何、母親に嫉妬してるんだよ!流石に駄目だって!」
「私より大切な女なんて皆、いなくなれば良いんです。邪魔な女は皆殺しにすれば良いんです。茨田さんを惑わす女は.....ぜーんぶ消せばいいんです」
「……助けて」
海は紅色に染色する。
高らかな海は滅茶苦茶に壊され乱れる。蒼き海は其処に無く浮き上がるのは女の死体。
ぐちゃぐちゃで醜く、嫉妬の塊になっていた。
「せんぱーい、逃げたら玉手箱をあげます。玉手箱には爆弾が入っているんです。爆発すれば....」
「……」
「皆、貴方を愛せなくなります。老人になるんですからね。
でも、私はおじいちゃんになっても愛しますよ?
だから私がおばあちゃんになっても愛して下さいね?」
「は、はい!はい!……誰か助けてー桃太郎でも良いから……」
第二話 浦島太郎 完