複雑・ファジー小説
- Re: イエスタデイ・ワンスモア【オリキャラ募集中】 ( No.397 )
- 日時: 2016/12/07 15:53
- 名前: 翌檜 (ID: n1ZeCGPc)
最終話 金太郎
「……」
金太郎はおかっぱヘアーで斧を持ち、前掛けと言う昔の赤ちゃんが着そうな服でクマと相撲を取る。
たくましさと優しさを持ったまさしくリアルヒーロー。
「……暇」
金太郎は森の中、呟く。
「桃太郎とさ浦島太郎はさ、物語がちゃんとあるじゃん。僕の場合さ、日常なんだよね。
クマと遊びました。おしまい。
良いんだけどね。別に、鬼退治とか殺生良くないし、亀助けたのにバッドエンドとか。うん。僕はうん……。ね?最終的に、坂田金時って名前で大活躍するし。そうそう。
……別にこれがリアルだし。日常系だと思えば良いし。別に内容が無いけど……無くたって面白いから後世につ、続いてる訳だし……」
金太郎は竹を割る。
「出てこーい。かぐや姫出てこーい……金太郎のヒロインなんて好感度上がりまくりじゃん。だから出てこーい」
金太郎は川を見る。
「一寸法師出てこないかな。良いんだよ、照れなくても。打ち出の小槌があれば物語なんてどうでも良いんだ」
金太郎はスズメを見る。
「スズメを飼えば……駄目だ、法律で禁止されてる……。しかも舌切りじゃないと……」
金太郎は地面の穴を見る。
「……おにぎりを落とせば……いや、自分が落ちてこぶを取るって策も……てか僕、爺さんじゃないから……無理か」
金太郎は湖に斧を落とす。
「金の斧、銀の斧。御伽噺じゃなくなってるけど……」
金太郎は悩む。
「僕はこのままでいいのかな?他の皆はちゃんと自分の物語を持ってるのに。僕だけ、日常御伽噺になってるよ……。此処は振り切るか」
金太郎はクマに提案をする。
「あのさ!」
「……」
「僕ね、好きなクマランキングって言うのを考えたんだ!」
「第三位!野性のクマ。君みたいに調教されたクマなら良いんだけど……野性のクマ怖いよ」
「第二位!動物園のクマ。可愛いけど、温室育ち。堕落しすぎ。何か、相撲より、グラサンかけながらダンスしてそう。ゆとり感がある気がする?分からんけど」
「第一位!クマの赤ちゃん。可愛い、もう可愛い。やっぱ、全生命体の赤ちゃんは可愛いね」
「あ!クマキャラクターの配列とか考えるのも良いかもね!」
「やっぱ、クマのキングはくま○んでしょ。んでんで、神はプー様だね」
「え?プー様って何?あの、レジェンドプ○さんの事だよ!はちみつ大好きでお馴染の!」
彼は坂田金時になるのを自ら立候補した。
「え〜坂田金時。坂田金時。俺は必ず公約を果たす!だから坂田金時を宜しく!」
「坂田さん、政治家なんですから敬語で頼みますよ」
「……しょうがないだろ。動物としか話した事無いんだ。敬語なんて知るかよっ」
「……優しいのに動物しか友達いないから人脈ゼロって……本当に優しいって言うのは分かるけどさ……これじゃ投票入れるの動物くらいだろ」
桃太郎の鬼退治の様な物語は無い。
浦島太郎の乙姫との恋模様の様な物語は無い。
だが彼がこの中で一番。
「……眠っ」
平和である。
最終話 金太郎 完