複雑・ファジー小説

Re: イエスタデイ・ワンスモア【オリキャラ募集中】 ( No.422 )
日時: 2016/12/22 18:04
名前: 翌檜 (ID: n1ZeCGPc)

メープルはエミュと話す。

「私、誰を愛しているのか分かりません……。私は誰を好きになったんですか?私は……どうすればいいんですか?」

「みゅ?どうしたみゅ?」

「私はただ、幸せになりたかっただけなのに。私はどうして……。

私は……」

土井はどんどん落ちぶれて行った。以前よりも酷く、以前よりも笑われ、以前よりも無能と言われた。

挙句の果てには任務に失敗をして、リストラの危機に直面してしまった。

逆に大木はどんどん有名になった。以前よりも高く、以前よりも慕われ、以前よりも有能と言われた。

任務は全て成功し、直属部隊のエースと呼ばれるまでに成長した。

「俺はこの生き方しか知らないんだ。人を殺して生きる方法しか。だから、俺は祈る。身勝手だけど。祈る」

大木は呟く。

「俺は……俺だ」

すると、エデルは大木に話す。

「あ、あの……私、暗殺者辞めます!」

「……ああ、ペットショップに就職するのか?」

「……は、はい」

そう言ったエデルの顔は少し寂しそうだった。

眼鏡の奥に光る涙をエデルは想い出ごとふき取り、その場を去る。

「さ、さよなら!……楽しかったです……」

「……エデル!?」

エデルはさよならの意味すら教える事無く走って消えてしまう。

「……」

翌日、ペットショップは閉店していた。エデルからは連絡も無い。また、連絡をしてもエデルから出る事は無かった。

「何かあったか、教えてあげようか」

大木の後ろには残間がいた。

「……残間さん」

「愛とは本当に素晴らしい。そう、全ての主人公に共通しているのは愛を持っていると言う事だ。後は少しばかりの神がかった運か。

私はずっと考えていた。そんな素晴らしい愛はどうしたら感じる事が出来るのかと。運命の出会いなんて意図的に起こせる事は不可能。ナンパと言うのも良いが、ロマンチックが無い。

偶然出会えた事に意味がある。そうは思わないか?

私は愛を感じたいんだ。これは全ての人に共通すべきだろう。私はただ、少しばかりロマンチックを求めているだけ。

漫画では少しモノ足りない。現実では少しモノ足りない。

ならどうするか。

自分で物語を創るんだよ。

私はタイムリーフ系のSFラブストーリーが大好きだ。

ロマンチックで壮大で何より、まさしく運命的だ」

「……」

「私はこんなシナリオを考えた。

愛する彼女が近日死ぬ。それをタイムリーフして救う。王道だけど、こんなに感動的で運命的で壮大な愛を感じる事は無い。

スケールが大きい程、小さなモノを救うのは大変だ。其処に愛がある。愛を感じられる」

「……何を言っているんだ」

「ああ、それは非現実的だ。

だけど、非現実的な事が起こらないと物語にならないだろ?

言ったはずだ。私には、愛への渇望と少しばかりの強運があると。

私は超能力者。

時を巻き戻す能力を持つ」

「……」

「今、エデルはペットショップのロッカーに入っている。どうやら昨日私に会いたくてペットショップに来てくれてね。嬉しい程に泣いていたよ」

「……お前、まさか」

「私は悲劇のヒーロー……。君はただの噛ませ犬だ。まあ、噛ませ犬にもならないほどの奥手だったがな」


ペットショップは爆発する。

「エデルーーーー!!!!」

「安心しろ。数日後、葬式のタイミングで時を巻き戻す。そして私が彼女を救い、攻略完了。

ハッピーエンドだ」

「お前……残間!」

残間は笑う。

「さて君も良い人にしないと。君はエデルをペットショップにいる事に気付き、火の中に入り死ぬ。

ロマンチックだね。噛ませ犬では無く良い人として死ぬんだ。本望だろ」

残間は大木を掴み、火の中に投げる。

「……大丈夫。時を巻き戻せば皆、元通り。ハッピーエンドだ。

ただ、戻るのは昨日。君は私の能力を知る事も無く彼女を取られる。

まあ、妥当な女でも用意してハッピーエンド扱いにしてやろう。

それも愛だ」

残間はその場を立ち去る。

しかし、彼には誤算があった。

大木は一般人では無い事。

彼は暗殺者である事。

「私に必要なのは愛。愛があれば人は生きる事を止めない。私は何か間違った事を言っているか?」