複雑・ファジー小説

Re: イエスタデイ・ワンスモア【オリキャラ募集中】 ( No.431 )
日時: 2017/01/06 16:07
名前: 翌檜 (ID: n1ZeCGPc)

香具師と伊賀は霊獣と戦っていた。

「霊獣獣型。名前は山隠れ(やまがくれ)」

山隠れ。巨大な怪獣の様な姿をしており普段は山に擬態して眠っている事からこの名前が付いた。登山客を霊道に案内する役目にある。

「……我は神。我は人を隠し我に隠す。我は山隠れでは無い。神隠しだ。貴様等、神に逆らうのか!」

「お前が何故神隠しと呼ばれないのか分かるか?」

伊賀は目を見開いて呟く。

「……お前は何も隠してない。人もお前自身も」

山隠れ。山に擬態しているがビルだらけの都会、東京では全く無意味。さらに登山客も都心で行おうとは思ってもいない。

「隠しているのはお前の愚かさだけだ。プライドが高いって言うのは罪だな」

「……俺は神だ!都会でも俺は人を霊獣にさせる事が出来るんだ!」

「時代遅れの霊獣等、カセットと同じだ」

香具師は目を見開く。すると、目の奥に月が見える。

「今宵は実に酒が似合う月だ。だが山に隠れてしまっては実に悲しいかな。

山は地。天に昇る事等不可能。

神にはなれぬ」

そして香具師は式神を召喚する。

式神はモノに宿る。刀等の武器から杖まで。香具師は自分の目から召喚する。

目から大きな赤い月が現れ月には巨大な一つ目が出現する。

「此処が宴の場所か?」

式神、月虹つきにじ。光彩に宿る式神。代々、香具師分家の式神。目薬を30分に一回しないと目が疲れてしまう。最近老眼が進んでいて老眼鏡を買うかどうか迷っている。力はかなり強い。

香具師は月虹に指示をするが月虹は言う事を聞かない。

「式神を操りたいなら制御するくらいの実力が必要だ。式神を出してやっとじゃ先が思いやられるな」

伊賀はまだ式神を出せない。

山隠れは月虹と戦う。

「特撮っぽいな……俺がもっと力があれば霊獣同士の闘いでは無く式神と霊獣の闘いになっていただろうに」

「私達は人型を倒しましょう」

天淵一族、分家。108の傘下や分家があり非常に大規模。陰陽師部門、忍者部門等に分かれている。

しかし分家はほぼ権利が無く天淵一族に指示されるだけの存在。また、陰陽師のレベルは低い。だが、108の分家がある為勿論、埋もれた才能も存在している。だがその才能は開花する事は二度と無い。

それだけ天淵一族は権利を乱用している。

「この街は好きか?」

「……」

香具師は呟く。

「俺は好きだよ。権力に押し潰された街でも馬鹿にされていても俺の故郷だ。此処は俺達が生まれた東京だ」

香具師と伊賀は呪文を唱え霊獣を成仏させる。

「地岳一族は何をしている。東京が危機に晒される時に」

「やはり天淵一族の裏切りは大きかったですね」

「天淵一族が汚い事は分家でも知っていた。地岳一族もそれを知っていて直、同等の杯を交わしたんだろ?

この街を守る為に」

しかし理由は全く違っていた。

天淵一族と地岳一族は太古の昔、政府の直属部隊として選ばれた一族。だが天淵一族と地岳一族は自分の一族と同等に扱われる他の陰陽師一族を嫌っていた。

その争いは数年前まで東京で続いており、いくつもの時代にも影響されている。

だが、現在の地岳一族の地岳明子により互いに後継者がいない天淵一族との子孫繁栄の為、地岳一族と天淵一族と交わる事で関係を治め、尚且つ子孫を確実に陰陽師へ受け継がせる。

だが、地岳明子以外の者はそれを良しとしなかった。そして天淵一族は地岳一族を裏切り現在撲滅の対象にされている。

香具師は呟く。

「陰陽師は正義の為に存在する。人の心に宿る死んだ霊をもう一度殺す。

人間は二度死ぬ。人として霊として」

香具師を見ていた人物は呟く。

「なら、強制的に地岳一族と天淵一族で付き合う事にされるっていうのは正義の為か?それとも正義の為の犠牲か?

.....愛も職業も自由も何も選べない。

東京と何も変わらない」