複雑・ファジー小説

Re: イエスタデイ・ワンスモア【オリキャラ募集中】 ( No.57 )
日時: 2016/07/22 20:27
名前: 翌檜 (ID: n1ZeCGPc)

動画投稿サイトでは、前田の姿があった。


「どうですかね?この交差点。これがリアススクランブル交差点!なんつって!」


隣には道ノ里がふくろうの仮面を被っていた。




「そして、さらに皆様にサプライズ!」


前田は指を鳴らすと、紅白電波塔が崩壊する。



「……さて、これから良く聞いてね。今まではメディアに注目を集める為に行った予備工作。




これから起こるのが最後のエラー事件であり、最初の新しい東京の目覚めだ」







前田の顔は歪む。



「そして、我々はエラーでは無い事を証明する。超能力はちゃんとした進化だ……」
























前田は目覚める。


場所は東京ソラキ塔。





前田は目の前の人物を見る。



「お前は……」



「……」




「お前は、望月……」







望月はタバコを吸う。


「今日、東京ソラキ塔は貸し切りだ。凄いだろ?」




「何で、お前が……」




「簡単だ。……ひひっ。全て、お前に選択させる為だよ」





望月は、妻の神谷を前田に見せる。


「……望月!」




「選べ、東京か、妻か」



「……おい!何だよこれ!」






望月は、前田に寄りかかる。



「俺の能力は、記憶改ざん。これで、雷電・Vや一、地獄門、ミスターHの記憶を書き替えたんだよ。勿論、お前もな」


「何だよ。どうなってんだよ!」



「俺の名前は、望月じゃなくて、袴田だ」


「袴田は、ミスターHじゃ……」


「ちげーよ。馬鹿かお前。ミスターHはエラー事件の全ての罪を着せる為に用意した影武者だ。

俺が記憶改ざんして、あいつが袴田と言う事にした。

本当はお前がミスターHを殺してくれれば良かったんだが。地獄門が余計な事をしてくれてね。こうして、この禍々しい東京でお前と話す事になったんだ」





「記憶を改ざんだと……。そんな馬鹿な……化け物め……」




「違う、お前達が化け物なんだよ。

俺……いや、俺達こそが本来あるべき姿であり、お前等、無能力者がエラーなんだよ!」







望月は瞳孔を開いて神谷の髪を掴みながら話す。





「俺は東京に選ばれたんだ。あははははあはははは!!!



なのに、こいつ。俺よりもお前が好きとか言うんだぜ。


なあ、お前が光岡を殺したって言っても信じてくれないんだぜ?

俺の言葉を信じないで、お前を信じた」




「……何言ってんだ?」





「お前は光岡を殺したんだ。神谷を手に入れる為に」



「……」




「そして、神谷はあっさりお前に乗り換えた。

なら、俺も光岡殺せば……」




「俺は殺してない!」



「殺したんだよ!」




袴田は泣き始める。



「お前が全部壊したんだ。あの楽しかった日々を。関係を。青春を。


俺が光岡殺しておけば神谷と幸せになれたかな……。俺も神谷が好きだったんだ」







「……袴田」





前田は、光岡を殺した過去を思い出す。







「止めろ!前田!どうして……!?」





「……願い事を叶えるためだよ」















袴田は前田を殴る。




「今日は七夕だな……。天の川は見えるか?」




「あ……」



「さあ、選べ。東京か。神谷か」





袴田は神谷を塔の外へ出す。




「こいつを救えば、俺の指示で東京はエラー事件に溢れ、やがて東京は死ぬ。

逆に、こいつが死ねば、俺は東京を襲わない」




「……袴田!どうしてそんな事を!」



「自分が幸せになる為なら、人だって殺す選択肢しかしていないお前に本当の運命の選択肢って言うのを教えたくてな!」









袴田は呟く。


「それじゃ、歌を歌い終えるまでに決断してくれ」






「お、おい……!」






「しあわせならてをたたこう」



「……」



「叩けよ。リア充」




袴田は神谷を外を投げようとする。



「止めろ!」



「なら叩け。他人の幸せを奪って、自分の幸せにした屑が」






「しあわせならてをたたこう」



前田は手を叩く。



「しあわせならてをたたこう。しあわせならてをたたこう。

幸せなら態度でしめそうよ。

ほらみんなで手をたたこう」







袴田は笑う。


「決断の時だ。前田。選択肢しろ。そして後悔するんだ」




「俺は……」







すると、時は止まる。














其処には、イズと雷電・V、一、そしてミスターHがいた。








「サンシャイン(太陽)」



一は、掌に光を集める。





「雷電・V。これに電気を入れられるか?」



「はい。可能となっております」



イズは時を戻す。








ミスターHは、新聞を見せる。








「私は、14歳の美少女に関する事件を集めていてね。その14歳の美少女が殺人を犯した日の新聞に、袴田が光岡を殺害したと思われる事件が4年前の7月7日に載っていたんだよ!」




「変態もこんな時には役に立つぜ!」









袴田は叫ぶ。


「なら何故俺は此処にいる!」





「戸籍上は君は望月だ。どうせ刑務所から脱獄して能力を使ったんだろう!」





「……」







袴田は思い出す。











「この能力で邪魔者を殺すんだよ」










雷電・Vは袴田に話す。






「東京が君を変えてしまったんです。

東京は今、無知な人間達に真実を本当の姿を見せようとしています」




「本当の姿……?」





雷電・Vは東京を見る。




「東京の本当の姿。それは、人類の進化。その際のナビゲートが私とイズの存在。しかし、この進化は人類を滅ぼすはずなのに……。どうして分からないんだ……」











袴田は雷電・Vを見る。



「あ、あれ?どうして東京の過ちを知っているんだ?俺が記憶改ざんしたのに!」






袴田は発狂し、神谷を塔から落とす。



前田は袴田を殴り、神谷の元へ行く。





「神谷……」











鈍く汚ない音が遠くに聞こえる。



そして、その音が全ての終わりを告げた。









神谷は前田の隣で立つ。






「か、みや……」








「エラー事件は終わらないわ。そして……人類は無知では終われない。


だってこの世界には地球よりも素晴らしい名前があるのよ。




エラーワールドと」







神谷は血まみれになりながら、その場を去る。






神谷の目の前には、崎峰と道ノ里がいた。




「超能力が当たり前の世界を造るのよ」










「……」












後に、東京ソラキ塔の出来事は最後のエラー事件と呼ばれる。













4年前。






光岡を殺した袴田は笑っていた。





「これで神谷を俺の……あははははは!!!」









2016年。7月7日。袴田は東京の本当の姿を知る。






何故袴田で何故渋谷で何の為なのかは分からない。






「袴田君。私を救ってくれる……?」






「ああ!勿論だ!だから、早く俺にエスパーを!」










7月7日。以前から東京でこの日のみ突如超能力が使えると言う人間が多発。



国はこの事実を公表せずその人間達を確保兼実験台にする。











「今年は大変でしたね。エラー事件なんてモノが起こりましたから」



「まあサンプルが増えるのは嬉しいよ」















過ちを犯しているのは、人間か化け物か。それとも……東京か。






















第三幕 エラーワールド 完
















一人の女性が立ち入り禁止になっている渋谷のスクランブル交差点で歌う。




「またいつか〜……ふふっ」