複雑・ファジー小説
- Re: 埋もれた世界の、 ( No.2 )
- 日時: 2016/07/28 13:06
- 名前: Tomoyami (ID: Zn9JBKpx)
story1
——奥の、
[2]
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ああ、
あの日の僕は
本当に
馬鹿だった
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「よお、おはよ」
「おはよう!」
「おはよーサツメ」
少年が教室に入ると、扉の近くにいた数人が挨拶をした。
サツメと呼ばれた少年は、ほとんど聞こえない声で挨拶を返した。彼らはその事をわかっているかのように、笑顔を崩さなかった。
「なあサツメ!お前は宿題終わったか?」
サツメは首を左右に降る。
「だよなぁ!てかあの量をどうやって三日でやれってんだよ!」
「えっサツメくんも終わってないの?良かったー私もだよ!あと一ページもある!」
「あたしなんかまだ半分だぜ?!」
「まじかよ!」
サツメには彼らの会話が自慢にしか聞こえなかった。
「なぁ先生になんて言う?『できませんでした』は怖くて言えねぇぞ流石に」
「もう、あの作戦でいくしかないな...」
「いいねそれ!」
彼らの目線がサツメに向く。
「...」
サツメの死んだような目がさらに曇る。
『キーンコーンカーンコーン...』
「おーいホームルームですよー席についてー」
先生の一言で、しばらくガタガタと椅子と机が当たる音や床にこすれる音がたち、そして静かになった。
「先生!」
「なんですか柳田君?」
「今日は何の日か知ってますか?」
「...?いえ知りません。ホームルームを...」
「知らないんですか?!今日は册目君の誕生日ですよ!」
「...!!」
先生はとても驚いた顔をした。
「...そ、そうでしたか?」
「そうですよ!なので今日提出の作文の期限を伸ばしてください!」
他人が聞くと変な話だが、先生は真剣な顔をして、サツメの方を見た。
サツメは机の上で両腕を組んだまま、先生の目を見た。
「...册目君は、それでいいですか?」
サツメは、
「...はい、お願いします」
ほとんど聞こえない声で言った。
「...いいでしょう、わかりました。期限は来週に伸ばします。その時は皆さん提出してくださいね」
「はい!」
クラスのほとんどがガッツポーズをしたり、歓声を上げたりした。
『ほとんど』以外はサツメだが。
サツメは机にうっぷつした。
「...可哀想に、先生...」
先生は、サツメに弱い。
いや、学校は、の方が正しいだろう。
それは、生徒には明かされていない『サツメの正体』を、学校側はよく理解しているからだ。
—continue—
***
こんにちは、暑いですね。Tomoyamiです。
昨日の夕方にカキコ開いたら、まだエピローグしか投稿してないのに閲覧数が40超えていてびっくりしました。とても嬉しかったですありがとうございます!
だいたい1日に一つか二つのペースで投稿していきたいと思います。
これからも『埋もれた世界の、』と僕、Tomoyamiをよろしくお願いします!