複雑・ファジー小説

Re: 埋もれた世界の、 ( No.2 )
日時: 2016/07/28 13:06
名前: Tomoyami (ID: Zn9JBKpx)

story1



——奥の、



[2]



***************



ああ、




あの日の僕は




本当に








馬鹿だった



***************

「よお、おはよ」
「おはよう!」
「おはよーサツメ」

少年が教室に入ると、扉の近くにいた数人が挨拶をした。
サツメと呼ばれた少年は、ほとんど聞こえない声で挨拶を返した。彼らはその事をわかっているかのように、笑顔を崩さなかった。

「なあサツメ!お前は宿題終わったか?」

サツメは首を左右に降る。

「だよなぁ!てかあの量をどうやって三日でやれってんだよ!」
「えっサツメくんも終わってないの?良かったー私もだよ!あと一ページもある!」
「あたしなんかまだ半分だぜ?!」
「まじかよ!」

サツメには彼らの会話が自慢にしか聞こえなかった。

「なぁ先生になんて言う?『できませんでした』は怖くて言えねぇぞ流石に」
「もう、あの作戦でいくしかないな...」
「いいねそれ!」

彼らの目線がサツメに向く。

「...」

サツメの死んだような目がさらに曇る。


『キーンコーンカーンコーン...』

「おーいホームルームですよー席についてー」
先生の一言で、しばらくガタガタと椅子と机が当たる音や床にこすれる音がたち、そして静かになった。

「先生!」
「なんですか柳田君?」
「今日は何の日か知ってますか?」
「...?いえ知りません。ホームルームを...」
「知らないんですか?!今日は册目君の誕生日ですよ!」
「...!!」

先生はとても驚いた顔をした。

「...そ、そうでしたか?」
「そうですよ!なので今日提出の作文の期限を伸ばしてください!」
他人が聞くと変な話だが、先生は真剣な顔をして、サツメの方を見た。
サツメは机の上で両腕を組んだまま、先生の目を見た。
「...册目君は、それでいいですか?」


サツメは、

「...はい、お願いします」

ほとんど聞こえない声で言った。


「...いいでしょう、わかりました。期限は来週に伸ばします。その時は皆さん提出してくださいね」
「はい!」

クラスのほとんどがガッツポーズをしたり、歓声を上げたりした。

『ほとんど』以外はサツメだが。

サツメは机にうっぷつした。


「...可哀想に、先生...」





先生は、サツメに弱い。
いや、学校は、の方が正しいだろう。
それは、生徒には明かされていない『サツメの正体』を、学校側はよく理解しているからだ。



—continue—



***

こんにちは、暑いですね。Tomoyamiです。

昨日の夕方にカキコ開いたら、まだエピローグしか投稿してないのに閲覧数が40超えていてびっくりしました。とても嬉しかったですありがとうございます!

だいたい1日に一つか二つのペースで投稿していきたいと思います。

これからも『埋もれた世界の、』と僕、Tomoyamiをよろしくお願いします!