複雑・ファジー小説

Re: 埋もれた世界の、 ( No.8 )
日時: 2016/08/07 09:46
名前: Tomoyami (ID: .HplywZJ)

story1



——そこに、



[7]






「...こ、こんな技術、この世界にはないって聞いてんだけどーー...?」

男から笑顔が消える。

「まさかてめぇら......俺のカゲをぉぉぉぉォッ!!!」

「はい、有効利用させてもらいました」

サツメは薄らと作り笑顔をつくる。

「...殺す......


殺すっ!殺すっ!殺すっ!殺すっ!殺すっ!殺すっ!コロォォスぅぅうあああああああああアッ!!!!」

男の目からは涙が溢れていた。
男の周りに直径50cmほどの大きな黒い玉が無数に現れた。そして、サツメに向かって次々と飛んできた。

「よくもォッ!!」

サツメは黒い玉を避けた。
黒い玉はひとつの机に当たり、インクのように飛び散った。
机の黒く染まった部分は濁ったような煙を出しながらどんどん広がっていった。

「僕のォッ!!」

サツメは黒い玉を撃った。
撃たれた黒い玉はどろどろと溶けていく。

「カゲをォッ!!!」

サツメはまた撃った。
しかし、カチッと音がしただけで弾丸は出なかった。
「......弾切れ」
...サボらずにちゃんと弾の確認しておけばよかったなぁ
サツメはポケットから小型ナイフを取り出し、飛んできた玉を真っ二つに切った。

ナイフについた黒い玉の液体の1粒が、サツメの右腕についた。

「...あ、しまった」

「あーーっはははははははッ!!!!」
男の大きな笑い声が響いた。

「ざぁんねぇえーーんっ!!その液体はやがて心臓まで届いててめぇは死ぬだろうよォーーッ!まさかの自滅とはなぁーーっ!!あはははははっ!!」

腕についた液体は煙を出しながら広がっていく。

サツメは拳銃に弾をひとつ入れた。

「痛ぇだろォ?どうだっ!自分の体が汚染されていく感じはぁぁーーっ!!あはははっ!!」


そして、銃口を自分の腕に向けて、撃った。


「......はっ...?」
男は唖然とした。

サツメの右腕からは黒い液体と赤い液体が混ざって流れている。
やがて黒い液体は腕から完全に流れ切り、赤い液体だけとなった。

「......はい、弾丸ぶち込まれるよりは、痛かったです」

「.........」

男が有り得ないといった顔で固まっている間、サツメは隙を見て拳銃の弾の補充をせっせとした。

「...どうですか、まだ僕を殺りますか?今ならハンデ付きですよ」

サツメは男に銃口を向け、冷たい目で見つめる。

「殺られる前に殺りますが」


男は後ずさりをした。

「...な、なんだよお前......おかしいだろ......」

男の周りに黒い煙が纏う。

「......今日はもー撤収。俺は疲れたよ。......覚えてろよ、サツメ...!!」


男の姿が消えた。


「ふぅ......」

サツメは右腕を見た。血がドクドクと流れている。

「......そろそろ止血しないと流石にやばいかな...」



—continue—