複雑・ファジー小説

Re: 武装シンキ ( No.24 )
日時: 2016/08/09 03:25
名前: JD (ID: SjxNUQ9k)

【第4話 よろしくね】

作戦会議は終了したらしく、3人は部屋から出始めた。
私もここにいる理由もないのでとりあえず医務室の方に足を進める。
もしかしたら恵理が目覚めてるかもしれないし。

でも、もし目覚めてたらなんて言えばいいのかな?
おはよう?いや、ごめんなさい?
それとも……さようならなのかな。

「なーに暗い顔してんのよ」

ドンッ!と不意に後ろから押されたというか叩かれたというか。
まあ、痛いわけで。

「……痛いんだけど」

「おっと、ごめんごめん!」

この人は確か、ホーク……さん?

「あんたって普段は何してるのよ」

「え?普段?」

話の意味がよくわからないけど……。

「普段ですか……まあ、ヤンキー共の財布を漁ったりとか……」

「まてまてまてまて!!あんた年頃なのにそんな野蛮なことしてんの!?」

「え?あ、まあ……バイトもできないですし生活費が」

ホークは呆れたように溜息を吐いた後。
私の頭をぽんぽんと叩き。

「あんたにはもう辛い思いなんかさせないわよ」

どういう意味なんだろう。
辛い思い?私が?
そうなのかな……わかんないや。

だって、奴らはそうやって私から大事なものを奪ったんだもん。

「よーし!この作戦が終わったら海にでも行きましょ!きっと楽しいわよ!」

「海?」

「そそ、波がざざーんってね!プールもいいわねぇ〜どっちにしようかしらぁ」

ホークはそうぶつぶついいながら奥の方に歩いて行ってしまった。
私は医務室に入り、考える。
私のやり方が間違っていたのかな。

Re: 武装シンキ ( No.25 )
日時: 2016/08/09 11:32
名前: JD (ID: SjxNUQ9k)

私は自分が寝ていたベッドに腰を掛け考える。
これでいいのかと。
本当に協力するべきなのだろうか。

ある程度の治療を受けているのなら恵理はこのまま自然と目覚める。
それに恵理に私の秘密がばれたと言うことは私は彼女の前から消えなくてはならない。
だって、普通怖いじゃない。

自分と同じ大きさの剣を片手に召喚し暴れまわる人が友達だったなんて。
私だったら引くね。
だからと言ってかわいい系のステッキも嫌だけどね。

「どうしたらいいのかな……」

「決まってるだろ、このまま協力してくれればいいんだ」

シュッとドアが開き。
金髪……もとい、ヒカリがドアの前に立っていた。
なんでこいつはいつもこうタイミングがいいのだろうか?

もしかして……。

「ストーカー?」

「たまたまだ!」

本当かなぁ……。
イケメンで金髪でストーカーって……。

「おい、なんだよその疑いの目」

「じゃあ、私がさっきまで一緒に歩いていた人は?」

「え?誰かと歩いていたのか?君が?」

おい、なんだこいつ。
失礼すぎじゃないのか?
私はコミュ障じゃないわ。

Re: 武装シンキ ( No.26 )
日時: 2016/08/10 08:55
名前: JD (ID: SjxNUQ9k)

ヒカリは恵理が寝ているベッドのカーテンを少し開け。
彼女の寝顔を見る。
少し、申し訳なさそうな顔をしながら。

「彼女には悪いことをしたね」

彼はそう呟いた。
多分、あの場に巻き込んだことを言っているのだろう。
確かにそうだ。

恵理には悪いことをしてしまった……。
私が余計なことをして、ジェットに目を付けられてしまったのがすべての原因の一つだ。
しっかりと後始末さえしていれば……。

でも、悔やんでいても今の現状を変えられるわけじゃない。
今はヒカリに協力して治してもらうのが先決だと思う。
それがいま、私にできる最良の考えだ。

「本当にあなたに協力すれば恵理は治してもらえるんだね」

「ああ、本当だ。信じてくれ」

彼の真剣な眼差しが真っすぐと私の目を見る。
多分、この人は嘘が苦手なんだろうな。
そう思うと私は笑っていた。

いつぶりだろう。
こんなに気持ちよく笑えるのは。
なぜ笑い出したかわからないヒカリは顔を赤くしてアワアワしてるけど……まあ、それも面白いからいいか。

Re: 武装シンキ ( No.27 )
日時: 2016/08/10 09:15
名前: JD (ID: SjxNUQ9k)

とりあえず、今日一日はやることがないようなんでとりあえずこのアジトをうろついてみることにした。
他の人は武器の手入れとか付近の状況確認とかあるみたいだけど。
私はそういうこと向きのシンキでもなければ計画に不備が出るから大人しくしていろとのことだった。

「と言っても……何にもないなぁ」

色々とうろついてみたけど食堂と武器庫とかぐらいしか見るものなかったなぁ。
まあモニター室とか色々なとこで説明はされたりして暇は潰せたんだけど。
ホークさんに至っては途中であったヒカリに連れてかれちゃったし。

「つまんないなぁ……ん?」

あれは……リースさん?
とりあえずあんまり話したこともないし話してみようか。

「あの、リースさん」

「うわぁ!!!」

いや、そこまで驚くことないじゃん。

「ご、ごめん桜花!あ、そういえば何か用かい?」

「ああ、いえ。用というわけではないんですけど」

とりあえず、暇なこととチームワーク向上の為のコミュということで話したという説明をした。
そういうとリースはうんうんとうなずき。

「そうか、君も色々と考えていたんだね!」

「……まあ、否定はしませんけど」

暇というところには触れてないんだね。

「まあ、そこまで気を負うことはないと思うよ」

「なんでですか?戦闘があるんですよ」

私がそういうとリースはうーんと考えはじめ。

「君にはヒカリの護衛というか前衛を任せるわけじゃないんだ」

「どちらかというとホークと同じ後衛だな」

ホークさんと同じ後衛?
何故……私の武器は大剣なのに?
考えがわからない……。

「まあ、それほど君はこの作戦で重要な立ち位置にいるのかもしれないからそこまで気を負うことはないよ」

「君が出る前にほとんどかたをつける」

そういってリースは私の頭をぽんぽんと叩いて去っていった。

とりあえず、休もう。
明日のために……。

【第5話に続く】