複雑・ファジー小説
- Re: 武装シンキ ( No.25 )
- 日時: 2016/08/09 11:32
- 名前: JD (ID: SjxNUQ9k)
私は自分が寝ていたベッドに腰を掛け考える。
これでいいのかと。
本当に協力するべきなのだろうか。
ある程度の治療を受けているのなら恵理はこのまま自然と目覚める。
それに恵理に私の秘密がばれたと言うことは私は彼女の前から消えなくてはならない。
だって、普通怖いじゃない。
自分と同じ大きさの剣を片手に召喚し暴れまわる人が友達だったなんて。
私だったら引くね。
だからと言ってかわいい系のステッキも嫌だけどね。
「どうしたらいいのかな……」
「決まってるだろ、このまま協力してくれればいいんだ」
シュッとドアが開き。
金髪……もとい、ヒカリがドアの前に立っていた。
なんでこいつはいつもこうタイミングがいいのだろうか?
もしかして……。
「ストーカー?」
「たまたまだ!」
本当かなぁ……。
イケメンで金髪でストーカーって……。
「おい、なんだよその疑いの目」
「じゃあ、私がさっきまで一緒に歩いていた人は?」
「え?誰かと歩いていたのか?君が?」
おい、なんだこいつ。
失礼すぎじゃないのか?
私はコミュ障じゃないわ。
- Re: 武装シンキ ( No.26 )
- 日時: 2016/08/10 08:55
- 名前: JD (ID: SjxNUQ9k)
ヒカリは恵理が寝ているベッドのカーテンを少し開け。
彼女の寝顔を見る。
少し、申し訳なさそうな顔をしながら。
「彼女には悪いことをしたね」
彼はそう呟いた。
多分、あの場に巻き込んだことを言っているのだろう。
確かにそうだ。
恵理には悪いことをしてしまった……。
私が余計なことをして、ジェットに目を付けられてしまったのがすべての原因の一つだ。
しっかりと後始末さえしていれば……。
でも、悔やんでいても今の現状を変えられるわけじゃない。
今はヒカリに協力して治してもらうのが先決だと思う。
それがいま、私にできる最良の考えだ。
「本当にあなたに協力すれば恵理は治してもらえるんだね」
「ああ、本当だ。信じてくれ」
彼の真剣な眼差しが真っすぐと私の目を見る。
多分、この人は嘘が苦手なんだろうな。
そう思うと私は笑っていた。
いつぶりだろう。
こんなに気持ちよく笑えるのは。
なぜ笑い出したかわからないヒカリは顔を赤くしてアワアワしてるけど……まあ、それも面白いからいいか。
- Re: 武装シンキ ( No.27 )
- 日時: 2016/08/10 09:15
- 名前: JD (ID: SjxNUQ9k)
とりあえず、今日一日はやることがないようなんでとりあえずこのアジトをうろついてみることにした。
他の人は武器の手入れとか付近の状況確認とかあるみたいだけど。
私はそういうこと向きのシンキでもなければ計画に不備が出るから大人しくしていろとのことだった。
「と言っても……何にもないなぁ」
色々とうろついてみたけど食堂と武器庫とかぐらいしか見るものなかったなぁ。
まあモニター室とか色々なとこで説明はされたりして暇は潰せたんだけど。
ホークさんに至っては途中であったヒカリに連れてかれちゃったし。
「つまんないなぁ……ん?」
あれは……リースさん?
とりあえずあんまり話したこともないし話してみようか。
「あの、リースさん」
「うわぁ!!!」
いや、そこまで驚くことないじゃん。
「ご、ごめん桜花!あ、そういえば何か用かい?」
「ああ、いえ。用というわけではないんですけど」
とりあえず、暇なこととチームワーク向上の為のコミュということで話したという説明をした。
そういうとリースはうんうんとうなずき。
「そうか、君も色々と考えていたんだね!」
「……まあ、否定はしませんけど」
暇というところには触れてないんだね。
「まあ、そこまで気を負うことはないと思うよ」
「なんでですか?戦闘があるんですよ」
私がそういうとリースはうーんと考えはじめ。
「君にはヒカリの護衛というか前衛を任せるわけじゃないんだ」
「どちらかというとホークと同じ後衛だな」
ホークさんと同じ後衛?
何故……私の武器は大剣なのに?
考えがわからない……。
「まあ、それほど君はこの作戦で重要な立ち位置にいるのかもしれないからそこまで気を負うことはないよ」
「君が出る前にほとんどかたをつける」
そういってリースは私の頭をぽんぽんと叩いて去っていった。
とりあえず、休もう。
明日のために……。
【第5話に続く】
- Re: 武装シンキ ( No.28 )
- 日時: 2016/08/10 13:35
- 名前: JD (ID: SjxNUQ9k)
【第5話 始動】
夜 23時45分
普通ならばこの時間帯から周りは静かになり、光が消え。
あたりは暗闇になるはずだが。
この中央都市は違う。
この時間でも電気が街を照らし人を活発に動かす。
まあ、だからと言って眠くない人間なんていないとは思うけど。
「さて、諸君。作戦時間が近づいている。各々、準備は出来ているか」
ヒカリはこの作戦のリーダーを務めている。
だからこそ、部隊の中心に立って指揮をしているのだ。
でもなんか、似合わない。
「これからトパーズとの戦闘に入る。アウトローの集まりとはいえ油断してはいけない」
「何故なら、奴らもシンキを保持しているからだ」
確かに、武装シンキさえあればどんな人間でも戦闘能力は上がる。
力に左右されず己の体力と精神力を使い強力な武器を生み出す能力。
後はシンキ使いの考えるままの威力を相手にぶつけることができるという考えただけであほくさい武器だ。
だけど、そのとんでもない力は今いろんな人間が持ち。
それを間違った方法で使っている。
私はそれが許せない。
けど、それは私も同じだ。
シンキの力を使いヤンキーやアウトロー等を狙っていたんだから。
私もその間違った使い方をした一人だ。
そんな私が奴らに牙を向く理由があるのか?
言われたからやったとしか理由はない……。
いや、あるな。
恵理を狙った。
それだけで戦う理由は十分すぎる。
恵理の為にも、私は戦う。
これ以上、私の前に立ち塞がらないように根から潰してやる。
- Re: 武装シンキ ( No.29 )
- 日時: 2016/08/10 14:33
- 名前: JD (ID: SjxNUQ9k)
中央都市のほとんど隅の方にある倉庫の密集地帯。
普段は人の出入りがほとんどない隠れるに最適な場所。
そしてそこに奴らがいた。
アウトローを集めた集団トパーズ。
上では大量の金を動かしている組織ってヒカリは言っていた。
聞くにリーダーが女好きだかでほとんどの幹部が女らしい。
って、どうでもいいわ!
「よし、総員迅速に行動せよ。このアジトを制圧する」
「了解!」
武器を所有している兵士達が次々とアジトの中に入っていく。
門番を次々と陰から締め上げ、多分生きてはいると思うけど。
そのあと、素早くドアを開け施設の中に入っていく。
凄い……。
つい素直な感想が思い浮かんでしまう。
本当に映画みたいな感じだ。
「ほら、ぽけーっと見てないで行くよ。桜花」
「え?あ、うん」
ホークに後ろをポンっと叩かれてようやく自分が口を開けていたのに気づいた。
ヒカリはもう既に走り出していて、敵と戦い始めている。
それに合わせて後続の兵士も突入を始めていく。
「さあ、ここからは思う存分暴れな」
リースは右手からチェーンクロスを召喚し、それを構え敵の中に走っていく。
流石はシンキ使い……敵を薙ぎ払っていく……。
私も負けていられない。
右手に意識を集中させ、私の剣を出す。
「武装シンキ!!」
- Re: 武装シンキ ( No.30 )
- 日時: 2016/08/10 15:00
- 名前: JD (ID: SjxNUQ9k)
敵は……どこ!
あと何体?今どれだけ倒した?
何回剣を振った?
次はどこから来るの?
次はどんな武器が来るの?
だめだ、考えがまとまらない!!
「たあああぁぁぁ!!」
大剣を振り敵を薙ぎ払っていく。
これ以上の邪魔はしないで!
もう出てこないでよ!!
「はぁ……はぁ……」
汗がどんどん流れ落ちてくる。
喉の奥が砂漠のような感じにざらざらする。
なんなの……この感覚。
「どうした。もう疲れたか」
ヒカリが私に手を差し出してくる。
掴んで立ち上がれと言うことだろうか。
私は手を払いのけ。
「いらない」
そう一言、あとおまけに睨んでおいた。
ヒカリはにやっと不敵に笑みを浮かべて。
「じゃあ、行こうか桜花」
そう言いながら立ち上がり、再び前線に向かって走り出した。
私は彼の背を睨みながら走る。
敵がいくら来ようが邪魔はさせない!
恵理を助けるために、私が強くなるために!
ヒカリを追いつくために!!
ん?追いつくため?
なんでだろう……負けたからかな?
まあいいか。
- Re: 武装シンキ ( No.31 )
- 日時: 2016/08/10 15:37
- 名前: JD (ID: SjxNUQ9k)
「あーあ、見てらんない……」
突然上の階から声が聞こえてくる。
そして、ヒカリが突然大声を上げ
「総員その場から後退!!敵が降ってくるぞ!!」
ヒカリが全てを言い切ると同時にそいつは振ってきた。
両手に大きな鉄のようなグローブを付けて。
不敵に笑みを浮かべこちらを見上げる。
「おやぁ〜何人か逃しちゃいましたかー。いやー残念残念」
なんだこいつ……。
何故人を吹き飛ばして笑っていられる?
「じゃあ、続きですよぉ〜……あはははは!!」
次々とあの大きな鉄のこぶしに多くの兵士が吹き飛ばされていく。
壁には鮮血が飛び散り、兵士が地面にたたき伏せられ。
あたりはあまりにもむごい状況に変わった。
ヒカリは歯を噛み締めシンキを構え、拳を持った女に特攻する。
「なぁ〜にぃ?バカの一つ覚えかしらあ?真っ直ぐ来たって倒せるわけないじゃん!!」
女は思いっきり拳を地面に叩き付ける。
だが、ヒカリは奴のこぶしの上に乗っており。
目も留まらぬスピードで斬撃を出す……が。
「いんやー残念だったねぇーガーネットのリーダーさん」
次は眼鏡をかけた女だ。
それも奴が扱うシンキは……神機……。
自立歩行型のマシンだった。
- Re: 武装シンキ ( No.32 )
- 日時: 2016/08/10 15:48
- 名前: JD (ID: SjxNUQ9k)
ヒカリが何度も打ち込んでも自立歩行型のロボットには何も効果がない。
武器の相性が悪すぎるのだ。
ヒカリは後退を続けながらも打ち続けるが奴もその前進を止めない。
「あれれ?ガーネットのリーダーもこの程度なんだねぇ」
「もおー!私の敵を奪わないでよぉー!」
こいつ等……この状況を楽しんでる?
人を物を壊して……。
あいつらと一緒?
こいつ等があいつらと同じということは!!
ガキィン!!
「……何?こいつ」
「桜花……?」
こいつ等が私の敵!!
倒すべき、私の敵だあああ!!
ガキイィン!!
「なんかよくわかんないけどあんた、ムカつくよ!」
「桜花!!避けろ!!」
ヒカリが何か言っているけどわかんない。
聞こえない。
でも、やるべき事はわかる。
こいつ等をぶちのめせばいいんでしょ?
その為の私。
わかってるよ。
「私がお前らを叩きのめす」
【第6話に続く】