複雑・ファジー小説

Re: 武装シンキ ( No.35 )
日時: 2016/08/11 01:10
名前: JD (ID: SjxNUQ9k)

【第7話 トパーズ】

ヒカリは私の手をギュっと握りしめ。
顔を見る。
そして……

「まったく、心配をかけるなよ?」

ヒカリは私の顔を見て安心したように笑顔になる。
そして、私に背を向け歩き始めた。
どうやら本当に安心してくれたみたい。

なんだろ、なんか申し訳ない気持ちになる……。
こう、胸がぎゅってなる……ような?
あの状態だ、緊張したんだろう。

「あ、あの……ヒカリ」

「ん?なんだ?桜花」

あれ?なんで私ヒカリを止めたんだ?

「え、えっと……あの、助けてくれて……ありがと……」

「なんだそれ?まあいいや、どういたしまして!」

とりあえず、現時点あの戦闘中の間にホークとリースには先に行ってもらうように指示をしていたようで。
途中で二人と合流することに成功した。
そして、だいぶ奥に進んだところで大きな扉が見えてきた。

まるでRPGのラスボスがいそうな扉だ。

「ここにいるんですね……」

「ああ、ここだ」

ヒカリは迷いなくその扉を開いた。
奥にいたのは中年の男だった……。
男は大きなソファーの上に寝ていてグラスに注がれた紫の物を飲んでいた。

男のソファーの端には女が男に寄り添う形になっていた……。
見ていて不快な思いになる。

「ん?ああ、もう来たのか。まあ、ここまで大変だったろ?」

男は3つのグラスに紫色の飲み物を注いでいく。

「かなりの値がするものでね。どうだい?一杯」

「トパーズ派のリーダー様がここにいると聞いて来たのでお茶の席はまた今度で」

「では、何様でここに?」

ヒカリは3枚の紙をテーブルに放り投げる。
男はグラスに口を付けながら紙を一枚一枚取って内容を見ていく。
そして、男はグラスをテーブルに置いた後。

「なるほどねー。俺らが探ってるものがわかっちゃったか」

「はい、だから既にこちらで保護させていただきました」

男は首を慣らしながら

「神に近い力を持ちながらもその力の存在に気づかない子をほっとくというのかい?」

「そうです。彼女がそれに気が付くか、気が付かなければいいと思っています」

なんだろう……。
何の話なの?

「トパーズ代表、『ライトニング・レーン』殿。すぐにこの場から引いてはもらえないだろうか」

ヒカリがそういうと男は少し悩み始めた。
ある程度うーんと考えて、男は

「だめだ。これは『金』になるからなあ!あと、女だしなあ!」

「交渉決裂ですね」

ヒカリは刀を抜き構える。
男は指を慣らし、空中である物体を作り出した。
あれは大型のロボット……それも自分で操作するというものだった。

「さあ、どうぞ?いくらでもかかってきなさいよ」

Re: 武装シンキ ( No.36 )
日時: 2016/08/11 02:20
名前: JD (ID: SjxNUQ9k)

「お、おいおい……リーダー……こいつはでかすぎるぞ!!」

「並みの武器じゃ通用しないわよ!!」

確かにこれはでかすぎる……建物3階分の大きさはあるよ!?
流石に相手が悪すぎる!
だけど、ヒカリは

「俺たちが力を合わせればレーンに勝てる」

「で、でも……どうやって?」

「それはだな……」

そう言い、ヒカリは3人に耳打ちしてそれを伝えた。
しかし、この作戦……本当にいけるのかな?

「よし、全員散開!俺が囮になるから左右から攻撃だ!」

「りょ、了解!!」

私たちは言われた通りに左右に分かれて行動する。
だけど、特別攻撃をするわけではない。
ただ、移動しているだけ。

ヒカリは敵の攻撃を交わしながら、効かないとわかりながらも反撃をして注意を集める。
そしてある場所まで近づいたときリースはチェーンクロスを引っ張りロボットの足に掛ける。
そしてそのままレーンの乗ったロボットはその場で倒れる。

「なんだ、案外楽勝じゃない」

「まったく、舐められたものだね」

レーンの乗ったメカは勢いよく起き上がり腕が変形し、そこからガトリング砲が姿を現した。
そして、砲台が回転をはじめ。

「さあ、次は君たちのダンスを見せくれたまえ」

ダダダダッ!!!

轟音を慣らしながら次々と地面に大きな穴を開けていく。
3人は急いで柱に隠れて身を隠す。

「全然だめじゃない!!」

「ははっ、あの巨体なら起き上がれないかなって思ったんだがな」

よくもまあこんな時に冗談なんか言えるわよね……。

「まあ、じゃあ次は真面目な作戦だ」

Re: 武装シンキ ( No.37 )
日時: 2016/08/11 02:42
名前: JD (ID: SjxNUQ9k)

ヒカリと私でレーンのロボットにダッシュで近づいていく。
そして、ホークとリースは補佐役。
ホークの射撃の腕が披露される。

攻撃を次々と射撃で逸らしたりとこちらの動きやすいように立ち回ってくれる。
そしてリースはチェーンを巻き付けその場から動けないようにするという役割。
だが、これには相当の時間制限がある。

相手の神機の方がパワーがある為いくら神器と言えども破壊されてしまう。
そうなる前に終わらせるつもりらしい。

「ほう、チームワークと言うべきか?流石に私も4人相手はきついか」

「覚悟して!」

思いっきり大剣を振り下ろし、防御ガラスを破壊する。
そして、ヒカリの剣は突き付け。

「手加減、しましたね?」

そういう。
どうやら図星だったらしく、レーンは大きい声で笑い出した。

「ははは!気づいたか!!いやいや、失礼した」

「まさか、あんなくだらない方法に一度やられてしまったのでね」

どうやらあのコケたときだろう。
その攻撃があまりにも意表をついたらしく、どうでもよくなってしまったようだ。

「では、我々はこの一件から手を引くとしよう」

「だが、事が事なのでね。何か他にも掴んだ場合」


「またこちらに来させてもらうよ」


最後の台詞にはかなりの威圧があった。
一瞬空気がびりっとしたのも確かだ……。
こいつ、本当はもっと強い……。

「その時は武器を持たず、カップを持ってお話がしたいですね」

「ふっ、できれば私もそれを望むよ」

そう言い、レーンはこちらを見てにこっと笑った。


その後、トパーズのアジトは閉鎖。
彼らは元いた場所に引き上げたらしい。
どうやら勝負の結果はこちらの勝利。

向こうにもそれなりの被害が出ていたらしい。
まあ、幹部らしき二人をぼこぼこにしたんだ。
引き上げもするか……。

まあ、そんなこんなだけど。
結局私は……。

【第8話に続く】