複雑・ファジー小説

Re: 陰陽花伝 ( No.10 )
日時: 2016/08/18 22:50
名前: 白夜 (ID: l/9ga28M)


「さて。自己紹介が終わったから俺から質問したい事があるけどいいか?」

「ん、何?」

 晴明が私に質問したい事とは一体何だろう?

「あんた、どうして『迷妖の森』に入ったんだ?」

 迷妖の森(めいようのもり)? 森といえば、狐妖怪と出会ったあの森かな?

「え? 何かあるかなと思ったから……」

 正直に晴明の質問に答えた。すると相手は、怪訝な顔をする。

「おかしいぞ。あの森は妖力の働きで迷うし、妖怪がうじゃうじゃいるんだ。それが名前の由来になっているし」

「そうなの?」

 そんな所に入ったら間違いなく自殺行為なのね。もしかして、晴明は私があの森に入った事を疑問に思ったんだ。

「知らなかったのか。……まあいい。よし、次はお前が質問しろ」

 驚いた様にそう言うと、少し間を開けて自分の質問を終わらせる。そして、私に質問を催促した。

「じゃあ、何故あそこまでして私を陰陽師にさせようとした?」

 とても気になる所だ。あんな好条件で晴明は私を陰陽師にさせようとしたからね。

「ああ、それはあんたが陰陽師としての才能が高いからだ。それで早くあんたを見つけられたから俺が陰陽師にしよう、と思ってな。気に入ったんだよ」

 気に入られているのね、私。少し嬉しいかも。

「よし、他に質問は無いな? それじゃあまずは修行の準備!」

 晴明の問いかけに私が頷くと、相手はガバッと立ち上がって元気よく言う。修行かあ。何するのかな?

「じゃあ、これを着てくれ」

 青龍さんがいつの間にか持っていた服を晴明さんが貰い、渡してきた。白装束に赤いラインが入った物。

「何でこんなの持っているの?」

「知り合いが間違って持ってきた物をそのままにしておいたんだ。面倒くさいからな」

 何故晴明の知り合いさんは間違えたのか……。ちょっと心の苦笑いをする。

「勿論俺と青龍は別の部屋に行くよ。変態スケベ野郎になりたくないから」

 そう言ってこの和室から出て行く。よし、それじゃあ早速着替えよう。

 暫く時間をかけて、白装束を着た。うーん、赤いラインを見て思い出したんだけど、巫女服が着たいなぁ。まあ、後で言おう。とりあえず、二人にこの格好を見てもらおう。

「晴明ー、青龍さんー。着替え終わった〜!」

 別の部屋にいるであろう二人を呼ぶ。すると廊下で足音がし、襖が開いた。

「一体どんな感じか……。おお、結構似合ってるぞ!」

 私を頭のてっぺんから足のつま先まで細かく見た後、右手の親指を立てて元気よく言う。青龍さんも「ここまでこの服が似合う女性は中々いないですね」と褒めてくれた。高評価だ。嬉しい! 巫女服は今の所いいや。

「じゃあ、その新しい服で早速修行だ!」