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第六話　　動き出す影

グルセリア大陸を半分を制しているラファルム帝国に続く二大国スペンス王国。アルベスタ大陸を完全支配し確実に勢力を拡大していた。スペンス王国の元帥執務室では一人の男が報告書を読んでいた。

「なるほど今回はルギリスの勝利で終わったか・・・、まったく両軍を共倒れにしてしまおうとラファエルの兵器に細工したのに狙い通りにならなかったか」

男は笑っていると扉をノックする音が聞こえた。

「どうぞ」

男が返事をすると扉を開けて入ってきたのは金髪の髪に鳶色の瞳をして服装に軍服に制帽、軍用のトレンチコートを着込んでいる男だった。

「アルベルト元帥御用は何でしょう？」

「やぁ、ギヨーム中将。今回の進軍について軍の将軍として任命したいんだ」

進軍と言う言葉にギヨーム中将の顔が引き締まった。アルベルトは続いて言った。

「実はなルギリスが支配下に置くグルセリア大陸の港街はガラ空きなんだ・・・、そこを強襲し敵のルギリスに対してこれ以上侵攻できないようにして欲しい」

「ルギリスと戦争をすると？」

ギヨームの言葉にアルベルトは微笑むと話した。

「ラファルムと同盟を結ぶ」

「ッ！？」

長年争ってきたラファルム帝国と同盟を結ぶ事は異例だった。ラファルム帝国とスペンス王国は中世からかけて今の時代に至るまで争ってきた仇敵同士だった。それが今覆ろうとしていた。

「着々と進むルギリス軍に対してラファルム帝国の参謀が使者として来たんだだよ。ルギリスとの戦いが終わるまで同盟をしないかとね。同盟している間はそれなりに互の後ろを守る形にもなり新たに勢力を広げることができると言った」

「なるほど、最近のルギリス軍は強いです。あのラファルム軍に対して一歩も退かず更にエラス島まで奪還を果たしました。アルベルト元帥はルギリスとラファエルがどちらも消耗した時に・・・」


「一気に領土を奪う。まぁ、港街の方はラファエルに対しての同盟の手土産でしかないが問題なのはルギリスに居るあの伝説の魔術師の子孫ボールドウィン・べイル・ジャクソンがいる事かな・・・」

アルベルトはそう言って苦笑いをした。