複雑・ファジー小説

Re: ピエロ恐怖症の高校生達のサーカス ( No.12 )
日時: 2016/10/11 18:42
名前: のあ ◆chbMkOQ7W6 (ID: RQnYSNUe)

4/4 ??:??
遥瑠side

訳が分からない。

何でこいつが…ヨルがいるのか。

お姉ちゃんを殺しかけて、私の左眼も奪ったヨルが、何でここにいる?

私はヨルに、「左眼がほしければボクとは違うピエロ…ヨウを殺せ」と言われた。

お前が奪ったくせに何で別のピエロを殺さなきゃいけないんだ。そう思っていたが、理由はすぐに分かった。

その、ヨウというピエロは、私の双子の姉…4年前に睡眠状態となった、山内密葉だった。

そう、ヨルは私が好きだった姉を殺せといい、殺せなければ左眼はあげないという硬い壁を作り、私を手のひらで弄んでいたのだ。

******
どれくらいの時間がたっていたのだろう。

独の「やめろ!」という言葉で目が覚める。

正気に戻った私は、自分のつかんでいるものを見てしまう。

それは、今にも死にそうになっている友邪先輩の_首だった。

「え…。先輩?」

私は真っ先に手を放す。いったい何が起きたのか、まったく分からない。

友邪先輩は咳込みながらも真っ先に睨んでいたけど、睨みつけていたのは私ではなく、未だにステージのど真ん中に立っているピエロ…ヨルだった。

「ヨル!何で遥瑠にまで手を出すんだよ!何も悪くないのに!」

友邪先輩はヨルに向かって叫ぶ。だけどヨルはびくともしない。

「おやおや、お怒りだねぇ。僕はただ、今のことを遥瑠ちゃんは『未来予知能力』で見てるのかなぁって思って試しただけだよ。けど遥瑠ちゃんが簡単にボクの能力に引っかかったことを見ると、予知していなかったようだね。」

私は左眼の代わりに、新しい別の眼を貰った。その眼はクローバーのシルエットが書かれていて、その眼は未来を見てしまうため前髪で隠しているのだ。

そしてヨルの能力っていうのは…人間を自由に操れる能力を持つ。しかし操れる人間は一度に10人までで、しかも体力も使うと言っていたような気がする。

「ていうか、何の用。」

ずっと黙っていた天先輩が問う。先輩たちは何回かヨルにあっているようで、そんなに怯えはしなかった。でもやっぱり警戒しているように見える。

「んーまあ気まぐれかなあ。とりあえず独君と遥瑠ちゃんを君たちが暮らすシェアハウスへ導いたのはボクだっていうことを言いたかっただけ。」

「…まあそういうことだろうと思ったけどさぁ…。こんなのいちいち言わなくてもいいじゃん。」

暁先輩が呆れたように言う。

「んーそうなんだけどね。でも新人二人にも分かってもらいたくってー。」

ヨルは軽い口調で話を進める。四方八方から殺意を込められた目でみられているの動じていないのは、慣れなのか、それとも仮面の下で泣いてるのか。

「かといって全員呼ばなくても…。」

渚先輩も反論する。

「いやでもね。3人とか4人とかが一気にその場から消えたらびっくりするでしょ?それなりの僕の優しさだよ。優しさ。さて、質問はそれだけかい?」

「「「「「「…………」」」」」」

皆黙り込んでしまった。質問を考えるよりも、早く現実世界に帰りたいと思っているのだろう。

「ないね?ボク的にはもうちょっと遊びたかったんだけどなぁ…食事中悪かったね。」

ヨルが話している間に、会場の証明が消え始める。そして最後には真っ暗になり、一気にまぶしい光に包まれた。そして意識が戻る時にヨルの声が響く。

「それじゃあ、またね。」

序章 ハジマリ (完)