複雑・ファジー小説

Re: 恋の音が響き渡る 【短編集】 ( No.3 )
日時: 2016/10/12 14:40
名前: 鏡 (ID: HKLnqVHP)

・醜く愚かな・

下級天使、上級天使問わず、聞けば皆が「愚かだ」と答えるもの。それは堕天使。


私たち天使は、主様の息吹きから生まれ、主様に仕え、主様を愛す。そんな存在。


でも、堕天使は主様以外を愛してしまった愚かな天使。


天界ではいつも噂になる。

「昨日下界に行ったあの子、もう堕天したらしいわよ」


「今日も堕天した子、いるってー」


堕天使は愚かな天使。 翼には天使の象徴である白い—純白の翼。

堕天使はそんな純白な翼はない。漆黒の翼。 醜い、漆黒の翼。


「愚かな堕天使ども。 我々は主様を愛するだけで良いのに。ヒトなどを愛すから悪いのだ」











そう、言っていたのは数か月前の、下界に行く前の私。


下界に行ってから、私の背中には、愚かで醜い天使を表す漆黒の翼がある。


—愚かな堕天使ども。 我々は主様を愛するだけで良いのに。ヒトなどを愛すから悪いのだ—


数か月前の自分の言葉を思い返す。


愚かな堕天使は私。 私は主様以外を愛してしまった馬鹿で、愚かな【元】天使。


ほら、背中に生えている漆黒の翼が何よりの証拠だ。


・この作品は第13回 SS小説大会投稿作品「堕天使」を元にしての作品です・