複雑・ファジー小説
- Re: 上京したら変態に憑かれました*住人募集中* ( No.9 )
- 日時: 2016/10/20 18:38
- 名前: 雪姫 (ID: L529GKb7)
№005
「この階段今にも崩れて壊れそうだな…」
錆びて茶色く変色した階段をゆっくり落ちないように上がっていく。
前話で「ついに自分の部屋とご対面、ルンルン」って感じだったんだけど、この階段上がってるとどんどんテンション下がってくるなぁ。
「試しに」
ぴょんっと軽く跳んでみる。ぐら。
「わっやば。これだめなヤツの揺れだよっ。おすもうさんが乗ったらすぐに壊れちゃうヤツだよ。
ゾウが乗ってもだいじょばないよ」
はぁと大きなため息をついた後、またゆっくりと階段を上がっていく。
- Re: 上京したら変態に憑かれました*住人募集中* ( No.10 )
- 日時: 2016/10/22 11:48
- 名前: 雪姫 (ID: FA6b5qPu)
№005-2
「よーしどうちゃーく!」
うだうだ文句を言いつつもわたしの部屋 ニ〇五号室のドアの前に到着。
まず外観をチェク。当然みためはおんぼろでヒビの入った土の壁。蜘蛛の巣がはった窓。後で掃除しないといけないねこりゃ。
外観はアレだけど部屋の中はどうかな?どうかなー?
犯人っぽい大家さんから貰った鍵を差し込む。ガチャリと鍵の開く音。ワクワクドキドキ。
「ひらけ!ごま!
………
あ、意外とふつうの部屋だった。なーんだ」
ドアを開けたらすぐ台所として使えそうなフローリングの部屋。奥にもう一つ畳の部屋が。
「おじゃましまーす…ってわたしの部屋だからいらないんだった。まだなれないや。
ふーん。想像してたのよりはまともそう。ご近所さんに“バケモノ屋敷”とか“幽霊屋敷”とか呼ばれてたから
てっきり殺人事件の現場とかで幽霊の一人や二人いるのかと。あはは「ウフフ」え゛!?」
なに?今の?
高笑いしようとしたら逆に誰かに笑われた?…誰に?
「そそんなまさかね?わたし以外の誰かなんているわ「クスクス、アハハ」まままま」
いる!?ここにわたし以外の誰かが確実にいる!?うそっ本当に殺人事件の現場で死ぬに死にきれなかった幽霊が未だこの世を彷徨っているの??
「キャハハ」
「ここ声は押し入れから…。子供の声?女の子っぽい。
わかったわ!きっと借金だらけの両親が苦渋の果てに、子供と森心中を図ったんだわ!」
「…いやチガウよ」
「幽霊が答えた!?」
幽霊とコンタクトとれちゃった。畳の部屋の右側にもう一つある畳の部屋にある押し入れ越しに幽霊と普通に会話しちゃった。
ってゆうより、わたしの推測は違うんだ。良かったぁ。
「ぅてぜんぜんっ良くないよ!幽霊いる時点でだめじゃん!アウトだよ!
やっぱり騙されてたっ訴えないと!でも誰を?」
「独り芝居が好きな奴だなー。わびしいー」
「うるさいよ。幽霊さんには言われたくないです」
「幽霊?え?この部屋ユウレイいるの!?」
「知らなかったの!?」
「うん」
「………。部屋って言うか押し入れにかな?どちらかというと」
「押し入れに!?ドラえ●ん!?ねぇドラえも●がいるの!?」
「それは…どうだろうね?見てみないとわからないよ」
「じゃあ見て来てよ」
「えぇ〜」
「お願い!ユウレイ物件なんて聞いてないーこわいよーうえーん」
それについてはすごく同感。激しくうなずけるよ。
とりあえずふつうに話してみると、この幽霊さんは自分がもう死んで幽霊になっちゃってることを理解できてないみたいね。
声も話し方もやっぱり子供っぽいし。小さな子だから死を理解できなくて、成仏できず、暮らしてた部屋にそのまま居座り独り寂しく遊んでたってとこかな?
「うわ〜ユウレイこわいー!ドラ●もんがイイよー。四次元ポケットちょーだい」
「…成仏させてあげるのがこの子のためだよね」
「………?」
遠出のお供キャリーバックを床に置いて、ふたを開けて雑にねじ込まれた衣服や色々のものの中から“あるもの”を取り出す。
「菅本家に代々伝わる除霊グッツそのいーち “岩塩”
これで殴れば、どんな幽霊さんでも即あの世行き。スペシャル便利アイテムなの」
「ユウレイよりもこわいこと言ってない!?
あの世行きって!?それっ別にユウレイじゃなくてもっっ」
岩塩ひとつにこんなに反応するなんて。…もしかしてこの子は悪霊!?
もうすでに時遅し、闇落ちしてしまったと言うの!?
クレハの助けが間に合わず、花火のように散ってしまったエトワールのようだと言うの!?
「ぜんぜっん意味わかんなーいよー!!誰かーたすけて—!!この人危険だよー!!」
「だいじょうぶ。エト。今度はわたしが助けてあげるからっ。もうあんな悲劇は繰り返させない!」
「エトってだれ!?悲劇は今君の手でおきようとしてるよ!!」
「悪霊退散!」
「にゃぁぁぁぁっぁぁ!!?「え?」」
勢いよく押し入れのふすまを開けてみたら、そこには涙目の女の子がプルプル震えながら、怯えた目でわたしの方を見つめてる。
「ボ、ボクは「ま、いいか」え?」
「見た目がどんなであろうと、悪霊は退治。良い子の霊も退治!
わたしはエトワールの敵をうつの!ってことで悪霊退散!!死ねーー!!」
「死ねって本音ででるよ!でちゃってるよーーーぅ」
脳天めがけて岩塩の尖った先端を一発。
これが菅本家に代々伝わる大儀。お母さん直伝の技だから、威力は抜群。これで成仏しなかった霊はいな
「キュ〜」
「えぇぇぇ!!?なんでまだいるの!?」
倒したはずの悪霊は頭から大量の血を吹き出しながら伸びてる。軽くつついてい見ると、まだ息はあるみたい。気を失ってるだけみたい。
「…じゃあ証拠隠滅のためにもう一度「マテマテマ待ってーー!!」」
気を失ってるもんだと思ってた悪霊が目を覚ました!?いけないっ、憑りつかれちゃう。
「はやく除霊を「だから話を聞きなさいって!」く」
まったく…最近の若いもんは…とぶつぶつお年寄りみたいなこと言いながら、悪霊がゆっくり起き上がりわたしの目の前で座禅をくむ。
そして指でピッピッて指してここに座れって。しょうがないので言われた通りに座る。正座で。
- Re: 上京したら変態に憑かれました*住人募集中* ( No.11 )
- 日時: 2016/10/22 11:49
- 名前: 雪姫 (ID: FA6b5qPu)
№005-3
「今どきの若い奴はせっかちでかなわんよ。
人の話をぜんぜん聞かないし。一方的な思い込みで、ぼーりょくまでつかってくるし。
そーゆうのどーかと思うなー」
「………はい。すみません」
子供の見た目をした幽霊さんにかれこれ五時間くらい説教され中。
なんでこうなった?どこで選択し間違えちゃったの?
それにこの子、見た目は子供なのに内容年寄臭いんだけど。女の子なのに中身おじいちゃんなんですけど。
「きーてるの?」
「え?あ、聞いてる、聞いてますよ!?」
「…」
あぶない。あぶない。全く聞いてなかったことばれるとこだった。
「ボク読心術使えるから、バレてるけどね」
「えぇーうそっまじですか!?」
「本気と書いてマジと読むやつです」
「…てへっ」
可愛く誤魔化そうとしてみたけど、幽霊さんはほっぺをぷ〜〜って膨らませてすっごく不機嫌そう。
「やっぱり霊歴が長いから、霊としての力が強いんですか?」
「霊歴ってなに?とーいうよりもっ。そもそもの問題でボクは霊じゃないよ!」
「妖怪?」
「ウォッチ!でもないよ!」
「じゃあ、悪霊ね「だからチガウってば!!」」
ワーワー言いながら幽霊さんが暴れ出した。あーなんか実家の弟を思い出すなぁ。
わたしには年の離れた弟がいるの。末っ子だからかな?すっごく甘えぼうでわがままで、ずる賢いの。
自分の可愛さを武器にすればなんだって許されると思ってるんだから。わたしか叱ると今の幽霊さんみたいに、暴れ出だして結局わたしがお母さんに怒られるんだよねー。…懐かしいな。
「ぅ」
「落ち着いた?」
「うん」
「良かったぁ。ねぇ結局のところ貴方は何なの?」
「ふっふっふー」
待ってましたと言わんばかりに、得意げな笑みで幽霊さんは答える。
「ボクはユウレイでもヨウカイでもユーマでもウチュウジンでもなくて、貧乏“神”なのでーす!!」
「………」
「貧乏“神”なのでーす」
「いや…聞こえてるよ?」
「じゃあナゼに無反応?」
「だって」
「だってぇー?」
「貧乏神は…」
「貧乏“神”だけどね」
「…邪神じゃないーー!!やっぱり子供の皮をかぶった悪い人だったのね!!死ねい!」
「わっわっわ、やめっゴフ」
危うくまた騙されるところだったわ。お母さん。悪霊と邪神と悪い人には要注意だね。
〜↑上のやり取りを数回繰り広げた後〜
「ゼェーゼェー「ハァーハァー」」
「はやくここから立ち去るか、今すぐ死ぬかしなさい、悪霊め」
「だからボクは神さまだってばっ!それにユウレイだったらもうすでに死んでるし」
この悪霊はかなりしぶとい。何度、岩塩で殴りつけようともすぐに復活して五時間のお説教が始まってしまう。
さすが自称神さまなだけなことはあるわね。
「とゆーより、キミ。どうして神であるボクと対等に渡り合えるの?
ボソッ ボクの力が弱まってるってのもあるけど」
「え?なにか言った?」
「イッたよ!どうしてボクが見えるの?なんでボクとまともに戦えるの!?」
「なんでってそれは…」
うちが先祖代々続く陰陽師の家系だからかな。
この除霊アイテム岩塩を持ってるのもそうだけど、菅本家は昔から悪霊とか悪い妖怪なんかを退治して回る旅商人的な存在だったみたい。
今はそのお役目も廃れて昔はそうだったんだよー程度。人は腐っても血は腐ってないから、力だけは脈々と受け継がれて
「こうして貴方とふつうに会話ができるってわけだよ」
「ふーんなるほどー。菅本の名は聞いたコトあるよ。
昔は凄腕の陰陽師一家として皆から恐れられて、みんな菅本の名を聞いただけで蜘蛛の子を散らすように逃げて行くって。
まさか未だ血をとぎらせず力を受け継つでいたなんて。これは…つかえるかも」
「?」
「ねぇーねぇー。そろそろ休戦協定結ばない?」
「しない」
「もぉつかれたよー」
「んー」
それは確かに。田舎から出て来たばかりで疲れて上に、慣れない事したせいで余計に疲れた。明日筋肉痛確定だー。
今休戦協定を結ぶのがお互いのため、かな。上手く言いくるめられたら、冥界へお帰りいただけるかもだし。
「(全部聞こえてんだけどな…)じゃあ、仲直りの証にこれあげる!」
「何これ?ブレスレット?わぁ可愛い」
シンプルに銀のブレスレット。ワンポイントに天使の羽が付いたハートがついてる。
どこかの美男子高校生がこんなの付けて、魔法少年してなかった?気のせい?
「きのせい。きーのせーい」
「そうだよね。ありがとう、びんちゃん」
「びんちゃん?」
「そう貧乏神だからびんちゃん。わたしはしほりだよ。仲直りの握手」
「あくしゅ?」
「そう。握手をしたらわたしたちはもう友達よ」
「ちーほ!ちーほよろしくなの!」
ブレスレットを右手につけて、手を差し出す。びんちゃんも嬉しそうに左手を差し出してあく
『この装備は呪われています。外せません』
「は?」
びんちゃんと握手をしたらブレスレットから、機械音声が流れた。
何?呪われた?呪われた装備?教会に行かないといけないの??
『これより貴女さまの魔力を吸収させていただきます』
「まりょ…うっ」
体に力が入らない!?立ってることさえもできない。わたしはその場にしゃがみ込んだ。
これはまるで力が吸い取られてるよう?どうゆうこと…なの?
「あー、ダイジョウブだよ。初回だから多めに吸い取ってるけど、次からはちょびっとずつだから。違和感ないから」
「まずこれの説明をして、悪霊!」
「ふぅん。これはキミの魔力。つまり力を吸収しボクに供給するアイテムだよ。
ボク今カラカラでさ、キミのゆう通りに出雲の国に帰りたくても力がないから帰れないんだ。
だからさぁ、ボクが帰れるようになるまで力をちょーだい」
「ふ、ふざけないで!なんでわたしが貴方なんかのためにそんなことしないといけないのよ!」
「トモダチだから?」
「っ!?」
こんな奴と友達になんてなるんじゃなかった!!
悪霊はやっぱり悪だ!大悪党だ!!
「貴方なんて大っ嫌い!!」
「あっそ。ボクはお姉ちゃんのことスキだよ?
これからここで一緒に暮らすんだから、仲良くしようね。ね?」
こうしてわたしは悪霊に呪われてしまった。
悪霊の言ったとおり、次の日からはブレスレットに力を吸い取られ体に全く力が入らない、なんてことにはならなかった。
今までと変わらすふつうに日常生活を送ることができた。
悪霊も特になにか悪さをしてくるわけでももなく、ふつうに日常に溶け込み今ではルームメイトとして居座ってる。
力が前回複するまでって言ってたけど、いつまでわたしは呪われ続けるんだろう?
——呪われたブレスレット ルート
∽あとがき∽
登場:黒い人
貧乏神
黒「あれ…?おっかしなー書いてたら自分が空想してたのと全然ちがう話になっちゃった。どうして?」
貧「コッチが聞きたいよ!」
黒「びんさん怖いっすねー。闇落ち?」
貧「したつもりはナイけどね。落ちてたとしたらキミがおとしたんでショ?」
黒「崖の上から?」
貧「ポニョ?」
黒貧「………」
黒「このお話は別ルートってことで勘弁してくだせぇ」
貧「せーきるーとはまだ別にあるアル」
黒「たぶん」
黒貧「んっじゃ、まったね〜〜〜☆」