複雑・ファジー小説
- Re: 目覚めた場所は異世界でした。 ( No.5 )
- 日時: 2016/10/29 20:34
- 名前: 蒼衣 (ID: mDiTOv13)
・魔法ってどうやるの?
賢者のスキルによって魔法の存在を知った俺は、そこらへんに生えている木に向かって魔法の練習を始めていた。だが…
「…全然出来ない。」
ご覧の有様である。もともと俺の世界には魔法なんてものは存在していなかったのだ。そんなすぐにできるものではない。
「ねえ、なんかヒント頂戴よ!全く持って出来ないんですけど!」
《A.私は実際に魔法を使ったことがないのでお教えすることはできません。》
賢者さん使えない。
《が…魔力の動きをイメージすることで使いやすくなるとは聞いたことがあります。湖の水などで試してみては?》
え、なにそれ魔力の動き?そんなのあるの?試しに意識を集中させてみる。
…確かに体の周りに何か漂っている気がする。それを一点に集中させるイメージを持つ。
すると、俺の手の中に何やら白い光の塊ができていた。
「うわ!なんかできた!」
《A.それが魔力を集めたものです。それを何らかのイメージにそって変換すると魔法となります。》
えー!ほんとにできちゃったよ。前言撤回。賢者さんマジ有能。
試しに湖の水に意識を向けてみる。水…水のイメージ…
お!水が動いてる!しかも俺のイメージ通りに!
さすが俺。前から想像力だけはいいって言われてただけあるぜ!…想像力だけね。
するといきなり頭の中で声がした。
『スキル〈水流操作Lv.1〉を入手しました。』
え?今の賢者さんの声?
《A.違います。今の声は通称「創造主」と呼ばれるものの声だと思われます。》
創造主って何?
《A.分かりません。今のようなスキル獲得時などにしか発せられない声のため色々な形で憶測が飛び交っています。》
ふーん。賢者さんにもわからないことがあるのか。
まあ、それはいいとして水流操作っていまのだよな?もう一回やってみよう。
「お!さっきよりもやり易くなってる!」
これもスキルとして獲得したからなのか?
《A.そのようなスキルを持っていると魔法を発動し易くなります。》
なるほど早速やってみよう。まず、水流操作で水を持ち上げその水を弾の形にする。それを木に向かって発射する。
ドンッ
弾が木に当たって破裂する。ふむ、まあまあの威力だな。
『魔法〈水弾丸〉を習得しました。』
やった!初めての魔法を習得したぞ!
ガサッ
すると草むらの方から何かが動く物音がした。
「誰だ?」
俺が問いかけると物音が収まり急に静かになった。怪しく思ったので物音のした茂みをかき分けてみた。
「ひゃっ!」
そこには耳と尻尾がついた小さな少女が半ば涙目になりながら座り込んでいた。