複雑・ファジー小説

Re: 星ノ魔法使イ ( No.4 )
日時: 2016/12/11 22:24
名前: 綾原 ぬえ (ID: V.0hQJQJ)

(4)
 ——翌日——
「それじゃあ、行ってくるわ」
「行ってらっしゃいませ、お嬢様」
 学校のそばまで車で寄せてもらい、車から降りた楓。
 木々が生い茂っている“国立楸原魔法高校(こくりつひさぎはらまほうこうこう)”は、東京の郊外にある山の一部を切り開いてつくられた学校である。魔法実習用の土地から校舎、寮まであるためとんでもなく敷地の広い学校だ。
 そんな学校は、校門から校舎の昇降口までも離れている。生徒数に対して敷地が広いため、普段ならめったに混みあわない通りだが、今日は新学期——四月であり、みんなクラス分け表を見て一喜一憂していた。
 楓も少し駆け足で貼りだしてある場所までいそぐ。
「きゃー、大和様よ!!」
「あれが噂の1年……てか、もう2年生か」
「うわ、すっげー美人」
「あれで、頭もよくて魔法もできて、天才よね」
 早速頭が痛い。新学期早々目立ってしまった楓だが、知らぬふりをする。
 楓が表の前まで行くと、サァーと道が開く。
「ふーん、まあそっか、Sクラスか」

『2年生 クラス分け
  1位  大和 楓  1574点/1500点
  2位  菱形 湊  1497点/1500点
  3位  三ヶ瀬知広 1494点/1500点
         ・
         ・
         ・             』
 我ながら素晴らしい点数だと思う。1500点満点で1574点って、どうしてだろ?
 考え事をしていると後ろから、バンっ、と背中をたたかれた。
「あーら、朝から元気ね菱形」
「なんで1500オーバーなんだよ。常識的に考えろって」
 菱形 湊(ひしがた みなと)——去年から同じクラスで、魔法民ではない普通民のはずなのにめちゃくちゃ強い奴——が楓の背後にいた。
「普通に解答欄埋めたはずなのだけど……、世の中って不思議ね♪」
「はぁ……」
 ひとのコメントに対してため息とは失礼な、と思っていると
「はーいお二人さん、そこ邪魔だからいったん教室行きましょうねー」
 三ヶ瀬知広(みかせ ちひろ)が二人に声をかけてきた。
 人混みからは「2年のトップ3だぜ」という声がちらほら聞こえる。
「あたし達がこんなトコにいたらほかの人の邪魔でしょ? 二人とも頭いいんだから考えなって」
 やれやれと、腰と額に手を当てた。