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複雑・ファジー小説
- Re: 星ノ魔法使イ ( No.7 )
- 日時: 2017/06/04 00:09
- 名前: 綾原 ぬえ (ID: N2Ja7nM7)
(7)
講堂は校舎から少し離れたところにある。ステージを中心とした円を真っ二つにしたような形をしており、広さは2000人を収容できるほどらしい。ところどころにステンドグラスがはめ込まれてあったり、緻密なアイアンワークや彫刻など、とても美しい。
そんな講堂だが、一階と二階からなる座席はまばらにしか埋まっていない。
現在、この高校の生徒数は784人、明日新入生を迎えると984人となる。五年制で、4年生からは大学生のような生活を送っている。そのため、この始業式に参加しているのは2、3年生と物好きな一部の4、5年生だけだ。
壇上には長身で金髪碧眼の女性——校長、エリト=フルネミアが立っていた。
「本日から皆さんは、新しい学年に——」
長々と語り始めた。
「ふぁー、あぁ眠い。てか、だるい」
「だめですよ湊君! あくびなんてしたら」
楓の横の座席で大きくあくびをする湊。それを注意する夢華。
瞬間、校長の視線がピクリとわずかに動いた。
「——特に、2-Sは優秀ぞろいだと聞いております。皆さんも、彼らを目標とし——」
ビシッと背をただす湊。
「俺さ、最近気づいたんだけど、校長ってすごい人だよな……」
「あら、今頃? 最初からすごい人よ。誰もあの人の実年齢を知らない時点で」
楓の頬を氷の針が掠める。トスっ、と座席に突き刺さる。
5人が壇上にゆっくりと視線を戻すと
「わ、笑ってる?」
「いいや、あれは笑ってないだろ。目が、目が違う」
知広と日向が分析する。
「……この話はやめましょ。死にたい人がいれば別だけど」
その後、エリト=フルネミアの話は20分余り続いたのだった。
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