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複雑・ファジー小説
- Re: 十年後の大晦日 ( No.1 )
- 日時: 2016/12/31 15:32
- 名前: 星川 (ID: btNSvKir)
十年後の大晦日
1
大晦日に、ぼくは叔父と昼飯を食いに行く約束をしていた。母方の叔父である彼は、ぼく達の家の二つ隣の駅が最寄りだからよく会う仲なのだ。確か離婚をしたとかで、今は一人暮らしをしている。叔父はぼくが小さな頃からの良き相談相手で、誰と喧嘩したとかどうのといった小さなことから、進路や将来といったぼくにとってはすごく大きなことまで何でも聞いてくれる大きな器の持ち主だ。
叔父は、彼の最寄りの駅の徒歩5分圏内にある、騒がしすぎず、そして料理がめちゃくちゃ旨いイタリアンの店にぼくを連れて来てくれた。叔父と今年あった出来事を思い出しつつ、きのことブロッコリーのアヒージョを食べながら、ぼくはふと今日あった出来事のことを叔父に話した。
「そういえばさあ、今日の朝のことなんだけど」
「どうした」
「今日、やたらと早く目が覚めちゃって、暇だったから今日の夜食でも買おっかなあと思ってコンビニ行ったんだよ」
「そうか」
「そしたらさ、コンビニの目の前の駐車場に、たぶん今日ばあちゃんの家とかに帰省するっぽい家族連れがいたのね。両親と、小さい赤ん坊と、ぼくぐらいの年の女の子二人だったんだけど」
「到着する間までの飯でも買ったんだろうな」
「そうだと思う。で、なんかそういうの年末っぽくていいなあとか思って、なんとなくコンビニの中でも目に留めてたんだ」
叔父はそんなに多弁でもない分、ぼくの話をじっくりと聞いてくれた。ぼくは叔父が人の話を聞いているときの表情が好きだ。変に身を乗り出しはしないけど、でもちゃんとじっくりと聞いてるって分かるから。
「そしたらぼく、その人達のこと見てたら急に昔のこと思い出したんだ」
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