複雑・ファジー小説

第1.5階層 幻の扉 開かれん ( No.4 )
日時: 2017/02/06 10:00
名前: 姫凛 (ID: gV64xmvp)


ある日のこと。

『ご主人様!ご主人様!』

いつも通りに過ごしていると 突然 頭の中からパピコの声が聞こえてきたのだ。

『パピコ…さん? どうかしたの?』

『どうかしたの? じゃねーですよ!
 シルさまとご主人様の絆が深まったのでお知らせに来たのですよっ!』

『本当!? ちょっと待ってシルさんに話して来るから!!』

『ああんっ、ご主人様〜〜』

嬉しくなってすぐにシルさんに報告した。

そしてすぐに僕はシルさんのプリンセシナに向かうことにしたんだ。

昔の人の言葉で

善は急げって言うしねっ。




***

第1.5階層

『モゥ〜〜』

やっぱ幻の階層も牧場だった。

シルさんはこの広い牧場の何処かに居て、なにかがあって行方不明になるんだ。

早く探さないと!!

(これは過去の出来事を追体験しているにすぎない。
 ルシアに過去の出来事を変える権限はない)

牧場を走り回っていたら、小さいシルさんと最後に合ったあの赤い屋根の小屋のところで

『あ、お兄ちゃんたち!』

「…あ シルさんここにいたんだね」

馬たちに牧草をあげる小さいシルさんの姿あった。

良かった今はまだ何もないみたいだ。元気そうに笑いながら馬たちにご飯をあげてる。

『またあったね!』

「うん そうだね。あれ? もしかして少し大きくなった?」

『えへへ。そうかな〜?』

小さいシルさんは嬉しそうにくるりと回る。

「……ご主人様」

「わ!?どうしたのパピコさんっ!?」

肩のところにすごく怖い顔のパピコさんがいた。

近いっそして怖いよっ!

「(幼女でもいいだなんて…どんだけですか!)」

「…??」

なにかそっぽを向いてブツブツ言っているけど…あれは放って置いた方がいい…のかな?

『ヒィィィン!!』

「「!!?」」

馬の悲鳴のような鳴き声が聞こえてきた。

『シルビア!?』

「待ってシルさんっ!?」

止める間もなく小さいシルさんは何処かへ向かって走り出した。

前 バケツを運ぶのを手伝ったときも思ったけど シルさんはとても足が速い。

僕も自分じゃ 速い方だと思っていたんけど小さいシルさんの方がその何倍も速い。

僕たちは見失なってしまう前に小さいシルさんを追って走る。


***
 

『おぉう。はぐれ馬か!』

『ヒヒッ ヒヒン』

『白馬だぜ!?しかも毛並みも良いし こりゃ高値で売れるぜ親分』

『ぐへへっ、しばらくは遊んで暮らせるぜ』

(三人の山賊たちがシルビアを囲い、下品に笑い名が馬車に載せている檻の中へ入れ込もうとしている)

『シルビアー!!』

『『ああん?』』

『はなして! シルビア いたがってる! はなしてあげてよー!』

『なんじゃいっ、このガキはっ!!』

『きゃっ!?』

(愛馬 シルビアのピンチにシルは 勇敢にも山賊たちのリーダーの腕にしがみついたが
 いとも簡単に振りほどかれ
 地面に放り投げられてしまった)

『なぁ…このガキも連れてこうぜ 親分』

『そうでさぁー、売れるとこじゃ高値で売れると思いやすぜぇ〜きっと』

(男の一人がシルの顎をくいっと持ち上げ、下品な顔を近づける)

「シルさーん!!」

『たすけて……おにいちゃーん!!』

「ご主人様、シルさまがピンチでございますよっ」

「うんっわかってる。お前たちよくもシルさんとシルビアを!!」

腰に下げた剣に手をかける。

『おぃぃ、なんか変なのが出てきたぞ!
 お前らこいつらの相手は頼んだぞ! こっちに来いっ!』

『いやあぁぁ!! お兄ちゃーーん!! たすけてー!!』

「シルさ『おおっとそうはさせないぜ』

くっ。

シルさんを追いかけようとしたら、シルさんとシルビアを連れ去ったあいつの部下らしき男二人が行く手を阻んできた。

「貴方たちと遊んでる暇はないんです!どけてください!」

『『キヒヒヒ…』』

「待ってくださいまし、ご主人様!」

男たちを無理にでもどかそうとしたら、パピコさんがそれを止めた。

いったん離れて男たちを見てみる。

おかしい…。男たちの様子がおかしいんだ。

『『キヒヒヒィ』』

不気味に嗤い出して目の視点が合ってない。あれは…

『『キヒヒ…グルゥ……グアァァァ』』

「ひっ!?」

男たちは突然 口から黒い煙の様な物をだして

その煙は男たちを包み込み

気づけば男たちは魔がい物へとなり果てていた…。

「魔がい物ってこんな 突然なるもなの!?」

「知りませんよっ!? そもそもあの方たちはデスピル病患者というわけでもないようですし…!」

パピコさんにもなにがなんなのかわからないみたいだ…。

「「グシャァァァ!!」」

「今は考えている暇なんてないみたいだ」

僕は剣を抜き、魔がい物たちと戦う。

「ヤァァァ!」

二体一はキツイ。

片方を攻撃してる間にもう片方が攻撃して来るからだ。

でも二匹同時に攻撃できないし 二匹の動きを集中してみる事も出来ない。

「うわっ」

とか考えてたら攻撃をされる。

どうしたら——


[アハハッ 困ってる 困ってる アハハハハハッ!!]


「鬼さ〜んこちらですよ〜」

「パピコさん!?」


戦闘は出来ないから、戦いのときはいつも物陰に隠れているはずの

パピコさんなぜかでてきて、魔がい物注意を引いてくれている。

なんて危険なことを! でも

「ありがとう!!」

「オォォウ!!」

僕はパピコさんが作ってくれたスキを突いて魔がい物を斬った。

「ふぅ…なんとか勝った」

「さっすが、ご主人様♪ 惚れ惚れしますぅ」

「パピコさんが魔がい物の注意を引いてくれたからだよ。
 ありがとう。でも、もうあんな無茶しないでね?」

「きゃんっ♪ パピコ嬉しい!
 これが夫婦初めての共同作業とゆうものなのですねっ♪」


さて

正直今回は 厳しかった…。

今度また二体一の戦いになった時のために今日の事は反省して復習しておかないと…

「そうだっ! シルさんはっ!?」

当たりのどこを探しても、シルさんとシルビアを連れ去った山賊の馬車の姿はない。

「戦っている間にまんまと逃げられてしまったゆですね…」

「くそう!」

僕がここでなにかをしたところで すでに起こった過去が変わらないのは知ってる。

でも だからと言って女の子が連れ去られるのを黙って見逃すだなんて!!

「次の階層へ急ごう、パピコさん!」

「あ…はい」

僕たちは第三階層へと急ぐ。







[あ〜あ。
 いいとこまでイッタのにまた駄目だった…。
 それにしてもまさかここに来るとは…ね。
 驚いた。まさかアイツが誰かに心を開くだなんて。
 でもボクはそうはいかない。
 オマエ達なんて簡単に捻り殺してア・ゲ・ル・よ]