複雑・ファジー小説
- 第五階層 家族との再会 ( No.7 )
- 日時: 2017/02/04 13:43
- 名前: 姫凛 (ID: /JJVWoad)
第五階層もやっぱりあの嫌な屋敷だった。
バチンッ!! バチンッ!!
またあのムチの音が聞こえてくる…。
『…ぅ…くっ!!』
シルさんの小さな悲鳴が聞こえてくる…。
やめて…やめて…よ…。
『マリアント、メリアント。少しいいかな?』
『『は〜い』』
「あの人は…たしか…」
第三階層のオークション会場で僕の隣に座っていた人
シルさんを買っていって、こんな酷いことを平気な顔でさせている
この屋敷の主 パクホー伯爵…さん?
がトマトさんとパプリカさんを呼んで、外へ連れ出した。シルさんも後をついていく。
「僕たちも行ってみよう」
「はいっ」
ついてってみるとそこには、パクホー伯爵とその隣に一匹の白馬…
『…シルビア?』
シルさんが誰にも聞こえないくらいの小声で呟いた。
そこにいたのは重く冷たい鎖で繋がれたシルビアいた。シルビアは元気がなさそうに下を向いている。
その表情からは生気を感じらない。たぶんここに連れて来られる前にも、酷い環境で酷いことをされてきたんだと思う…。
『まぁあ。お父様その馬ハ?』
『いつも出来損ない(シル)の教育を頑張る君たちへのご褒美なのだよ』
パクホー伯爵は自慢げに自分の白いヒゲを触りながら言っている。
出来損ない? シルさんの教育を頑張っている? ご褒美?
「あんなのただの拷問じゃないか!? それでご褒美だって?」
狂ってる…。この屋敷の人たちは狂ってるよっ!!
『まぁ〜美しい毛並みの馬だかエ』
『嬉しいですワ』
『『ありがとうございますエ。お父様』』
『フォッ フォッ フォ』
狂っている家族は嗤っている。愉しそうですね…すごく…。
***
不意に目の前が歪む。グラングランと景色が歪む。
僕は頭を押さえて目をつむる。
「……治まった?」
グラグラする変な感覚が治まり、目を開けてみる。最初に視界に入ってきたのは
『ヒヒーーン!!』
『きゃあ!? もうなんですノ この馬!』
ビチンッ!
シルビアが背に乗ろうとするパプリカさんを振り落として、騎馬用のムチでお尻を叩かれている光景だった。
『ワタクシの言うことが訊けないとでもいいうノ!?』
ビチッ バチッ!
『……ヒヒッ』
何度も! 何度も! パプリカさんはムチでシルビアを叩く。
シルビアはそれを必死に耐えている。やめてよ…なんでこんな…酷いことが…出来るの?
『シルビア』
後ろから声が。 振り返ると、心配そうで/悔しそう なシルさんがまた廊下の掃除をさせられていた。
『よそ見してるのじゃないかエ!!』
バチンッ!!
『…っぅ。すみません』
また叩く。ムチで。
「見ていて気分のよろしくない 光景が続きますね」
不意にパピコさんがそう言った。
僕はパピコさんのその言葉に何も返さず。次の階層を目指す。
なにも言えるわけないじゃないか…。こんな…くっ!
[もう少しかな? アイツがコワレルのは。
それとも もうすでにコワレテしまっているのかな?
アハハ…アハハハハハハッ]