複雑・ファジー小説
- 第七階層 突然の夢の終わり ( No.9 )
- 日時: 2017/02/06 10:12
- 名前: 姫凛 (ID: gV64xmvp)
ゴウゴウッ パキ バキゴキッ
灰。燃え朽ちる臭い。建物が崩れ落ちる音。
「なんですかっこの地獄のような光景は!!?」
僕が言う前にパピコさんが言った。第七階層に着いた僕たちが最初に見た光景は、本当に地獄といものがあるのならこんな光景なんだろうなというものだった…。
『『あぁ…ああー!! 助けてくれー!!』』
人々の悲鳴/断末魔。崩れ落ちる音と炎。真っ赤に染まった景色。
今 屋敷ではなにが怒っているというの…?
***
マリアント&メリアント(ザンクside)
姉妹の部屋。豪華絢爛を尽くした、最上級の部屋…だった場所。…今は見るも無残な部屋だけどな。
カーテンの布は引き裂かれ、絨毯は火をあげ黒い煙が立ち上る。
回りは炎の海。それが一番適した言葉だろうな。今この光景と言うのは。
炎の円の中央にはジジイの二人の娘が身を寄せ合い震えている。良い目だ。恐怖に怯えたすごく良い目だ。
眼球をえぐり取りたくなるようなァ!!
『ギャハハハハッ!!!』
『『ヒィッ!!』』
『助かりたいか?』
オレが聞くと姉妹は勢いよく首を縦に振る。
『いいぜぇ。オレは優しいからなァ、特別に助けてやっても』
姉妹は嬉しそうな声をあげやがる。
『キヒャャャ!』
嗤いが止まらないぜ!! いいぜ、この姉妹!
『殺せ』
『『…エ?』』
『一人だけ助けてやる。姉妹、どちらが生き残るか選べ』
オレはただそお言っただけだ、なににあの姉妹ときたらなァ?
『ッ死ねーー!!死しなエ!』
『うぐっぅ』
姉が妹に馬乗りになって首を絞め始めやがったんだぜ? 嗤いが止まらない決まってるだろ、こんなのよォ!!
『だが一方的なのもつまらねェ』
コロンッと腰に下げていた剣を姉妹の方へ投げてみる。
『ッ!!』
もがき苦しむ妹はそれを手に取り、
『アァァァァァァ▽◇×!!!』
奇声をあげて姉を滅多刺しにする。
『シネ! シネーー!!』
『…あ…が…ぁぁぁ』
嗚呼……いい。 ホントにいいものだぜェ…醜い姉妹の殺し合いってもんはよォ!?
『アヒャヒャヒャ!!ギャハハハハッ!!』
***
パクホー夫人(ナナside)
妾は美しい。何年も何百年も。永遠に永久に美し存在。歳をとらない若いまま。
『な、なんですのカエ!? い、イキナリ奇襲攻撃などとト!!』
この女。美しい肌を持っとりますなぁ。
『羨ましいどす』
『…ナニを』
その瞳。サファイアのような瞳。
『羨ましいどすなぁ』
『…ヒッィ!!』
『妾よりも若く美しい女。嗚呼、本当にそなたは美しいのぉ』
女は恐怖に引きつった顔をしておる。足元がおぼつかず、妾から逃げようと後退りをしておったら転げてもうたわ。
妾はそっと、女の顎に指をそえる
『その肌、その瞳』
『…ぁ』
『妾におくれや?』
ズシャァァァァ!!
『………』
女の頭がが床に転がり落ちた。頭を失った首元からは、噴水のように/火山のように 血が吹きあがっておるわ。
嗚呼、いつ見ても/何度やっても この光景は
『綺麗やわぁ』
***
パクホー伯爵(エフォールside)
屋敷、金庫室。
この男にとっては家族よりも大事なモノ 己の命を同じ価値を持ったモノが閉まってある場所。
『…ぁ』
男の背には金銀財宝。
『殺殺殺』
くだらない。ワタシはそう思った。お金なんて死んだら意味をなさない。そんなものを命懸けでなんになるの?
ザンクは四つ(四歳)のワタシは分からないモノだと言った。
ユウはくだらないと言った。
叢は人にはそれぞれ大事なものが違う物。他人にはわかるまいと言った。
『殺』
どうでもいい。
『金か? 金が欲しいのだろお嬢さん…? だからあんな奴らと共に行動しておるのだろ?』
『殺。殺殺殺殺。殺殺殺殺殺』
『…? ほらぁっかっねをっ……!』
この男はワタシにコロされる。ただ、それだけのこと。
『………』
男から真っ赤な液体が流れ出ている。綺麗。
『殺殺殺』
叢の鎧みたい。
『殺』
爆弾を設置しよう。
『殺殺殺殺殺。殺殺殺殺殺殺』
この男の血が花火のように飛び散ればきっと、もっと綺麗。
『殺殺殺』
しょうこいんめつ。
『殺殺。殺殺殺殺殺。殺殺殺。殺殺殺殺』
いつも最後は全て爆破して無へ。だったらエフォールが先に爆破しても問題ない。
真っ赤な液体は綺麗。 液体が飛び散る光景はもっと綺麗。だから花火も綺麗なはず。
『殺殺殺殺殺殺殺』
***
シル&ユウ(ルシアside)
僕とパピコさんは第六階層でシルさんとユウがいたあの縦長で円形の建物へとやってきた。
「シルさんっ!…あ、ユウ」
シルさんとユウはまだここに居た。
外が地獄のような光景なんだ。シルさんは体を震わして怯えている。その傍にユウが居る。
二人は僕が知らない間にそんなに仲良く…?
「いやっ、今はそんなことどうでもよくて!!」
ここは危ない!シルさん…とユウをここから連れ出さないとっ!
『…そろそろか』
『…ぇ ユウ?』
扉が爆破された。ユウが「そろそろ」と言ったのを見計らったかのように。
『……』
「あいつ!!」
爆破された扉から現れたのは、般若の面を付けた紅き鎧の騎士!
ヨナを連れ去った張本人で僕の宿敵だ! あいつがなんでここに?
『遅かったね、叢』
『……』
ユウの言葉を無視して叢と呼ばれた紅き鎧の騎士は、左手に持つ強大な包丁(中華包丁のような)をシルさんへ向ける。
「あいつ、まさかシルさんをっ!?」
「ご主人様!!」
助けに入ろうとしたけど
『そいつは…殺さないでくれるかな?』
ユウがそれを止めた。僕もパピコさんに腕を引っ張られて止められたんだけど…。
- 第七階層 突然の夢の終わり ( No.10 )
- 日時: 2017/02/04 16:45
- 名前: 姫凛 (ID: /JJVWoad)
『そいつは…殺さないでくれるかな?』
ユウがそう言って叢がシルさんを殺そうとするのを止めた。…どういうこと?
止めたあとユウは叢に近づいて行き、ぼそぼそ何かを話している。話が終わると、シルさんの方を向いて
『じゃあ…ね』
と静かに かぼそく今にも消えそうな声で言うと
『ユ…ウ…!』
ドカ——ンッ!! と爆発音が聞こえる。またどこかが爆破されたみたいだ。
地面がグラグラと大きく揺れる。ここは危険だっ危ない。…でも
「気になる。なんであいつらが居るのか。追いかけよう! パピコさ…」
振り返るとそこには
「…ご主人様」
パピコさんの首元に和の国では刀と呼ばれる、剣を近づけあてている
「ユウ!?」
[フッ。やぁ、コロシアムの決勝戦以来だね ルシア?]
さっき叢と部屋を出て行ったはずのユウが…
いや違う。さっきまでいたユウよりも大きい。成長している、僕たちがコロシアムで戦ったあの ユウだ。
「どうして君がここ(シルのプリンセシナ)に!!? それにどうしてパピコさんをっ」
[五月蠅いな]
不満そうにユウは言う。パピコさんの首元に刀をあてたまま。
[そんなにボクのコトが気になるのかい?]
「それはもちろん」
[フフッアハッ そう]
人を小馬鹿にしたような笑い方。パピコさんから冷や汗が流れてる。
[ねぇ ボクが憎いかい?]
「なっ!?」
[君の大事な、オトモダチをコロシアムの景品にし
君の大事な、オトモダチに刀をあて君を脅す ボクが憎いかい?]
「そんなの…」
聞くまでもない…答え…なの?
僕はユウの事を
憎い! 殺す! 殺してやる!! -
憎い! でも…僕は… -
どちらを選ぶかは貴方(読者様)次第です
選択次第で物語は大きく変わり 結末も大きく変わります
さぁ 貴方ならどちらを選びますか——?