複雑・ファジー小説
- ???階層 嬉しい再会 そして別れ ( No.16 )
- 日時: 2017/02/05 21:44
- 名前: 姫凛 (ID: 6nOD4vjp)
アレは本当に偶然の 出会い/再会 だった—
***
コロシアムでいい感じに儲かっていた頃
ただの気まぐれで、山の国で行われたドルファ主催の草競馬大会を見にってみたんだ。
ただの暇つぶし。そんな気持ちで行ったはずだったのに
『あれは…シル?』
アイツと 出会った/再会 してしまった。
忘れてた/心の奥底に封じ込めていた はずなのに アイツはボクの目の前に現れた。
草競馬大会では パルスとか言うヘンナノのせいで汚されたらしい。…あと優勝者はルシアってガキらしい。
ボクにはカンケイのない事だけど……ん?
草競馬大会も見終わったしコロシアムがある和の国へ帰ろうとしたら、物陰から話声が聞こえてきた。
『ちくしょう! あのルシアっつうガキめ!! よくもオレの商売を邪魔してくれたな!!』
ああ なんてことない。 草競馬大会を汚した男が悔しがっているだけだった。
キョウミない。くだらない負け犬の遠吠えだった。
『ギヒヒ。でもまぁ、いいさっあの白馬を殺せたんだしな』
あ?
『オレさまの商売敵 シル! いつもオレさまが手に入れるはずの賞金を手にいれやがってぐぐぐっ!!』
…シル?
『でもそれもここまでだぜっ!! なんてってアイツの馬が足を取られたマキビシは猛毒付き。
少しでも触れれば、即死だぜ』
嗚呼 五月蠅い 本当に…
『ギヒヒッ…ヒィ?』
『負け犬が五月蠅いよ』
『ビギャァァァァァァァ!!?』
名前 なんていったけ? まぁいいか。 もうただの肉塊だし。
ただの肉塊が血を吹き出し 地面に転がってる。
嗚呼 五月蠅い 本当に…
***
『…ぅう』
町の近くにある森の奥深く 女の泣き声が聞こえる
嗚呼 五月蠅い
『…シルビア…ごめんね…シルビア…ごめんね』
泣きながら女は 白馬を地面に埋める
涙はぽたぽたと落ちて 土に吸い込まれていく
女は白馬を埋め終えると、へたっと地面に砕け落ちた。
『……ぁぁああああ!!!』
今度は大きな声で泣きだした 嗚呼 五月蠅い 本当に…
ガサガサ
『ッ! 誰?』
泣きわめいて五月蠅いからあえて音を立てて近づく
『やぁ、ひさしぶりだね シル』
『ユウ!?』
シルは目を丸くして驚いている。そりゃそうかな? 彼女の中ではボクは死んだことになってた だろうし。
『…ユウ…シルビアが…』
『そうだね…家族が殺されたんだ 悔しいよね』
シルは無言で下を向く。 嗚呼 本当に…
『ねぇ シルビアを殺したアイツが憎い?』
『それは…』
シルの顔がこわばる。シルはウソがつけないタイプらしい。体が震えてるもの。
固く握られた拳が震える。憎くて 憎くて 殺したいくらい憎くて
『じゃあコロシちゃえば?』
『…え?』
『そんなに憎いならさ。溜め込まないで サクッとヤッちゃえば?』
ラクになれるよ?
と ボクは/ボクが 言ってあげたのに アイツは!
『そんなことはできないよ…ユウ』
断った ボクの意見を断った ボクのコトを シルが 否定した…?
『五月蠅い 五月蠅い 五月蠅い!!』
『ユウ? どうした…キャッ』
ボクはシルを押し倒し 馬乗りになる
シルは抵抗するけど、痛くも痒くもない こんなのボクは日頃からやってる訓練/殺し合い よりもカンタンだ。
ボクはヤツから貰ってたコアをシルの胸へ押し付ける。
『やめてっユウ! どうしてこんな事! あっぁぁあああああああああああ!!!』
大きく悲鳴をあげるとシルはぐたりとして動かなくなった。
コアの埋め込みは 無事成功したみたいだ。…ってことはシルもヒトバシラだったってワケだ。
ヒトバシラ。
詳しい事は知らないけど、ヤツの計画を成し遂げるためには必要なコマらしい。
でもそんなこと ボクにはカンケイない。 キョウミない。
ボクに 必要なのは/ホシイモノは
『……シルだけだ』