複雑・ファジー小説
- ???階層 奪わせないッ 誰にも ( No.17 )
- 日時: 2017/02/05 22:41
- 名前: 姫凛 (ID: 6nOD4vjp)
和の国 首都近くにある アリーナコロシアム
このコロシアムには 毎日 血に飢えた猛者たちが訪れる
剣闘士たちの流す血を見たさに 沢山の人々が訪れる
***
『『オオオオオオォォォォォオオオオ!!!』』
『外は凄い熱気だね、シル』
『………』
後ろを振り返り 大型獣(猛獣)用の檻に入ったシルに話しかける。
シルからは返事はない。当然だよね、今彼女は夢の中。生死を彷徨っている最中なんだから。
ボクのせい。
『外にいる猛者達はキミ目当て、そのか細い首にかけられた三億目当てで』
政府はパクホー伯爵を殺した殺人犯としてまだ八歳だったシルに 三億と大金の 賞金をかけた。
シルは賞金首どもに狙われる人生をおくることなった。
ボクがそうなるように 仕向けたから。
『だってそうすればキミを……』
***
コロシアム決勝戦後
勝敗はついた?
ボクは負けた?
『そんなワケない。まだだ…ボクは…負けてなんか…イナイ…』
シル…
ボクだけの シル
嗚呼 シル
誰にも渡したりするものか—
アリーナコロシアム地下
コロシアム関係者のごく一部しかその場所を知らない、極秘の地下室。
この場所には大量の火薬や爆弾が隠されている。
ここにあるスベテの爆弾を爆発させれば、和の国ごと破壊するできる
『ハァ…ハァ…』
ルシア… ヒスイ… 叢…
ヤツらに負わされたキズが癒えない。血が止まらない。
ボクは止まるワケにはいかない
まだ
ボクはまだ死ぬワケにはいかない
ボクだけの シル
奪わせるものか 誰にも
わたすものか 誰にも
ヤツにわたせば シルはきっと
コロサレル この世から ケサレル
『…ボクが…ボクが…』
守らないと…シル…を……
『これだ…このスイッチを押せば……コロシアムごとあいつらを』
スベテを無に帰すコトができる。シルを守れる。
シルを入れた檻は 核ミサイルでも耐えられる仕様
他のヤツらを皆殺しに シルは生き残れる
ボクだけのシル シルを守れる
『……フフ…アハハ……ァァッ!』
ハラが熱い…。
『ゴフッ!』
口から血が溢れ出だ。下を見ると大剣がハラを貫通してた…。
この大剣…ボクは知ってる。
『む、むら……』
『敗者に用などない」』
『ぐぅ……あぁ…ァァァ!!』
ハラから大剣が抜き取られた きもい 気持ちが悪い
穴が開いたハラから ドクドクと血が流れ溢れる 気持ちが悪い
ボクを刺したのは 叢
ボクと同じ ドルファで雇われた殺し屋 叢は後始末担当
裏切り者の始末 口封じ 捨て駒(ゴミ)の処理
嗚呼 そうだよ サイショからわかってたコトだった
ボクは馬鹿にしてたゴミ(部下) 使い捨てのコマ
ヤツにとってはボクもヤツらと同じ 捨て駒なんだ
でもヤツの思い通りに死んでたまるものか!
『グウゥゥ、スイッチを…』
寝てる/死んでる 場合じゃない
ボクは…まだ死ねないんだ
シルを… シルを…
『嗚呼 シル… ボクだけの…』
シル
最初は純粋で綺麗で美しい 淡い恋心だったのかもしれない—
でもそれは いつしか いびつに歪み コワレてしまった—
純愛は憎愛へと変わってしまった—