複雑・ファジー小説
- Re: 俺の日常生活の中で突然美少女が現れたとしたら。 ( No.11 )
- 日時: 2017/02/27 20:56
- 名前: とある少女 ◆BaquC25tEw (ID: DcPYr5mR)
第三章 忘れられた過去
「不登校女子よ。同い年で、中学1年生から学校へ行ってないみたいなの。」
「はぁ!?5年間以上も学校へ行ってないじゃねぇかよ!」
そんなやつ、相手にしたってしょうがない。どうせ、俺らの力じゃ学校なんて…
「来るわよ。そんな子を救ってやりたい、助けてやりたい。
そんな気持ちはあんたに無いの?それで小説を書こうだなんて、おかしいわ!」
少し怒っているような、真剣な顔で愛乃は言う。優しいな、だから俺は愛乃のことが…
「…そうだよな!じゃあ、この件は俺が責任を持ってやる!絶対、その子を救ってやるよ!」
俺が自信満々にそう言うと、愛乃はまた笑顔になった。
「天王寺ならそう言ってくれると思ったわ。私は他にも気になる女の子がいるからそっちをあたるわね!あ!優しく接しなさいよ?」と、ギロッとこっちを見る。
「なんでだよ?そうするけどさ」
面倒くさいなと思っていたら
「何か‘過去‘があるんでしょ?私にだって人には言えない程の過去くらいあるでしょ?天王寺にも…」
俺に?そんな過去…。少し考えようと、目を閉じる。
「今日は、一緒に遊んでくれるよね?龍ちゃん!」
小学生位だろうか。小さな女の子が俺に話しかける。
見覚えのある公園。見覚えのある少女。
「ねぇ…遊ぼうよ!龍ちゃん!龍ちゃんしか…いないんだよ!」
俺を龍ちゃん、と呼ぶ少女。誰なんだ…?
「龍ちゃん…!」
少女は暗闇の中へ消えてしまった。
くそ、誰だろう…思い、出せねぇ…っ!
- Re: 俺の日常生活の中で突然美少女が現れたとしたら。 ( No.12 )
- 日時: 2017/03/03 18:26
- 名前: とある少女 ◆BaquC25tEw (ID: DcPYr5mR)
俺は、放課後愛乃に渡された麻倉 岬の住所を見ながら、家に行ってみることにした。
龍ちゃん!
あの少女の声がまだ頭の中に響く。そういえば、あの後の事はあまり覚えていなかった。愛乃が家まで送ってくれたらしい。あの少女は俺の過去に関係があるのだろうか…?
「…ここ、だ」
とある家に着いた。至って普通の家。ある程度の暮らしもしてそうだし、でも特別裕福そうにも見えない。何か問題があるのかと思うほど、綺麗な庭に二階建ての家。一体なにが…
俺はその好奇心でチャイムを鳴らした。
「はい?なんでしょうか?」と、お母さんぽい声がする。
「あ、麻倉岬さんのお友達なんですけど…」
怪しまれないように、友達というワードを出すと
「あら!お友達?今ドアを開けるわね」と、嬉しそうに言うとガチャ。
とドアが開く音がした。
「すいません、お、お邪魔します」
「あら!龍ちゃん…?」
俺の顔を覗いて驚いた様に龍ちゃんと言う名前をだす。その言葉を聞いた瞬間、俺の中の記憶が駆け巡る。だって、この人は…!あれ、一瞬思い出したのに…!
「え、あ…俺、帰ります」
あの人だ…。俺は今恐怖心しかない。知らない人の筈なのに、あの顔を見ると、逃げ出したくなる。急ぎ足で俺はドアを開けようとすると、
「…忘れちゃったのね。岬の顔、見たくない?」
手を掴まれて、ビクッとする俺に悲しそうに言った。
「…見たい、です。」
振り向くのは怖いけど、俺はまたあの人の顔を見る。
あの時と、同じ顔で、仕草で。
過去に向き合うのは、難しい。
俺は、あの人を…知っているから。
- Re: 俺の日常生活の中で突然美少女が現れたとしたら。 ( No.13 )
- 日時: 2017/03/04 20:57
- 名前: とある少女 ◆BaquC25tEw (ID: DcPYr5mR)
俺はどんな状況かもわからないまま、「岬の部屋」と可愛く書かれたプレートのドアにノックしている。正直、怖い。まだ記憶が浅いまま過去に踏み入れても、なにも変わらないというのに…
ノックしても返事がないこの部屋に、俺は足を踏み入れた。
「…入るぞ。」
案の定鍵もかかっていない。電気もついてない部屋にパソコンの光だけが目に入る。
「龍、ちゃん?
暗闇に包まれている中、そう声が聞こえた。
「え…?」
「やっぱり、忘れちゃったんだね」と、悲しそうな声が聞こえる。
「…暗いから、電気つけるぞ」
俺は、話を遮る様に電気をつけた。
「あっ!ダメ!」
明かりが灯された瞬間、真っ青な顔の少女の顔…?
ん…!?
「引いてる、よね?」 「ま、全く」
えーと、今の状況を説明すると、こいつはヲタクだ。…以上。
フィギアだの、アニメグッツがたくさん部屋一面にに飾ってある。
顔が赤くなっている少女…、いや美少女は麻倉 岬。
二つ縛りの髪に、緑色の綺麗な目。…可愛い!けど、残念美少女。
「ちょっとー!?あなたの心、見えてる!スッケスケ!」
「あ、あぁごめん」
ちょっと怒った顔で睨みつけてくる岬に一つ咳払いをし、話を切り出す。
「はじめまして。」
「…はじめまして」
ニコッと笑ったその表情には、悲しそうな感情が浮かび上がる。
「お前は、俺を知っているのか?」
知りたくない過去。
そんなのが、俺にもあるのだろうか。
- Re: 俺の日常生活の中で突然美少女が現れたとしたら。 ( No.14 )
- 日時: 2017/03/07 19:02
- 名前: とある少女 ◆BaquC25tEw (ID: DcPYr5mR)
「何いってるの!知ってるわけない。
はじめまして…だからっ」
そう言って、茶化す岬に俺は顔を歪ませる。
「…なんの、用なの?私に」
「お前を救いに来たんだ。麻倉岬!」
「は…?」
呆れた様な顔でこちらを見る。
今の俺には、何も出来ないかもしれない。だけど、やらないといけないんだ。
「なんで、学校に来ないんだよ?」
「それ、何回も先生に聞かれたよ。理由は簡単。
行きたくないの!!もういいでしょ…?」
泣き出しそうな声で岬は怒鳴る。
「行きたくないですまねぇんだよ!
行きたくないのは、俺も同じだ。だけど、行ってるんだよ!」
「…はぁ、テンプレートな言葉。同じなんだね、先生と。
その言葉、何度聞いたかな?」
あはは、と乾いた笑いをし、
「嫌なの、みんな。嫌いなの!」と、言う。
「んなの…気にすんなよ!行けよ!」
¨優しく接しなさいよ?¨愛乃の言葉がふと頭に過る。
あー、やっちまった。
「…帰ってください。龍ちゃんには、わかんないよ…!絶対!
私の気持ち。昔から、そうだったよね。」
岬は、暗い声でそうつぶやいた。