複雑・ファジー小説

Re: お暇な時にご覧ください ( No.3 )
日時: 2017/02/21 08:34
名前: めいりる (ID: XL6hbgia)

第2のおはなし

【ルミナ】

☆*☆*☆*☆*☆*☆*☆*☆*☆

(あーぁ。消えちゃった)

彼女は心にそれしかなかった。今消えたのは彼女にとっては所詮【もの】だ。

「ルミナに、綺麗だなんてまだ早かったね」

1人ぶりっ子をしながら彼女は心にもないことを言って、黒く微笑んだ。

あなたに持っていたメスを突きつけた。

「小さい物でやるから綺麗じゃないの。
これくらい大きいものじゃないと。」

☆*☆*☆*☆*☆*☆*☆*☆*☆

「恋だとか、愛だとか〜」

ルミナの歌唱力は並ではない。

加えてルミナはとても美しい。

クォーターだというルミナのスッと通った目鼻立ちに。
陶器のように白い肌に。
二つに結んだオレンジ色の髪に。
こちらを向いた、住んだ茶色の瞳に。

まず男子ならときめかずに居られないだろう。

「マイ、ルミナのことさっきからずっと見て、どうしたの?」

「ルミナちゃん、今日も可愛いな〜って」

ルミナに心情が悟られないように、茶化して言う。

ルミナに気付かれても、気付かれなくても、私は彼女のそばに居ると胸がドキドキする。

ルミナの香りに、仕草に、表情に惹かれていく。

こうやって茶化すことが出来るのは、ルミナと私が同性だから。

でも、だからと言って恋愛対象に見られないのは、ちょっと悲しいけど。

「マイの変なの」

どこが変か自分にもわかってないようで、ルミナは首をかしげた。

(そんな仕草も可愛いな)

席替えが昨日終わって、私はルミナの隣の席だ。

毎日、心臓が破裂する思いで授業を受けているので、先生がなんて言ってるかも、ルミナが寝ている間ぐらいしか聞いてない。

(同性愛って辛いんだ)

私は、そんなことしか考える余裕がなかった。

☆*☆*☆*☆*☆*☆*☆*☆*

ある男子に告られた。罰告かな。

「私じゃなくて、あなたが好きなのはルミナちゃんでしょ?」

「違うよ。僕はマイさんが好きなんだ。付き合ってくれませんか?」

私は渋々おkを出した。

(嫌だこの人。私にベタベタ触ってくるし。早くルミナちゃんに会いたい)

☆*☆*☆*☆*☆*☆*☆*☆*☆

ルミナの姿が見えなくなった。
あの男子と付き合って、5日ぐらいたった頃からだ。

(ルミナちゃんの家に行こう)

ルミナは、どうして学校にこないのだろう。

風邪だったら大変だ。ルミナ、病弱っぽいし。

ルミナの家は、ドーナツ屋さんをしていて、中に入ろうとすると、ルミナの声が聞こえた。

「来ないで」

私は弾かれたように道路に出た。
ルミナは扉の前に出てきた。

「マイ、ルミナね。罪を犯したの。だから、償わなくちゃ」

「大丈夫だよ、ルミナちゃん」

「マイは、ルミナのこと怖くない?」

「うん」

泣きながら言ってきたルミナを優しくあやした。頭を撫でる、ルミナにハグをする。

それは、不謹慎にも私の鼓動を上げた。

(嫌だな、こんな時にまで)

「何があったの?」

ルミナは黙って部屋を指さした。

☆*☆*☆*☆*☆*☆*☆*☆*☆

ルミナの部屋には異臭が漂っていた。
あちこちに肉片みたいなのがある。

(怖い)

本能で、危険と感じた。

思わず後ずさる。グシャ。何か踏んだ。

足元には誰かの手みたいなパーツが、ぐちゃぐちゃにされてそこにあった。

理解を拒んだ脳が、ぐちゃぐちゃの何かを、可愛いアクセサリーに置き換えた。

「ねぇ、マイ。ルミナのこと怖い?」

ルミナの問いかけに、首を振る。

部屋全体が、赤いビーズとピンク色のお花で埋め尽くされてる楽園だもの。

「いいや、この部屋全体がとっても綺麗」

私はありのままを答えた。

この部屋では、美しいルミナがさらに美しい。

「私、この部屋にルミナちゃと一緒にずっと居たい」

ルミナは安心しきったように微笑んで言った。

「良いよ」

___数分後、私とルミナは一緒に寝た。冷たいルミナは、暑がりな私をスーーっと冷やしてくれた。

ルミナは、赤いビーズを床全体に敷くようにして寝ていた。
寝息の音も聞こえやしない。

ルミナは、私の【物】になった。

ルミナにそっと呟いた。

「ルミナに似合う綺麗なもの、私がずっとずっと探してあげるね」