複雑・ファジー小説

The Ability World ( No.1 )
日時: 2017/04/09 14:55
名前: 東千聖 (ID: FbaZhPAX)

『プロローグ』
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 今から1000年以上前、「12の王族」によって建国された「エヴァングリモワール王国」。広大な自然と5つの巨大な都市から築き上げられたこの国は、人口のおよそ2割が「超能力者」である。

 超能力者とは、人間の常識を超える力「超能力」を持った者の総称であり、その力は種類様々。超能力を持つことは、誰もが憧れることだった。しかし、誰でも超能力者になれるわけではない。超能力者になる方法は二通りだけである。

 生まれながら超能力を持っている───これは「12の王族」の関係者に限る。エヴァングリモワール王国を建国した王族の長達は、超能力を宿した12の秘石「アビリティ・ストーン」をそれぞれ所有しており、それに触れることで超能力を使うことができていた。やがて長い年月を経て、秘石の影響によって触れずとも超能力を使えるようになってきた王族が誕生しはじめ、現在誕生する王族は生まれた時から超能力を持つようになってきた。

 国からの認可を受けて超能力を手に入れる───いつか必ず王族が超能力で国を支配すると思い恐怖を感じた国民は、国民も超能力を所有すべきだと国に抗議した。それに関して王族も理解を示したが、超能力を受け渡す術がなかった。12の王族が所有する12のアビリティ・ストーンは、それぞれの王族にしか効果が無く、ほかの王族、ましてや国民が触れれば触れた者は死んでしまうという呪いがあった。しかし時代が流れ、アビリティ・ストーンの研究が進み、今現在ではアビリティ・ストーンをもとに開発された超能力覚醒薬「アウェイカー」が誕生した。国は国民全員に配ることは超能力犯罪などの危険を生むと判断し、適切に超能力を扱うことができる者を調査するための試験「超能力者適性試験」を行うことで、常識のある超能力者を誕生させていた。


 始まりは、超能力者が存在することが当たり前になったホルテミウス歴100年のエヴァングリモワール王国。


 これは、超能力者になることを夢見た、少年少女たちの物語─────。