複雑・ファジー小説
- Re: 右腕へ転生、背負うは大罪 ( No.8 )
- 日時: 2017/03/27 12:53
- 名前: うたかた ◆wr23E0BYk6 (ID: .SNh9hb2)
えっちらー。おっちらー。
狐娘を担いで歩くこと早15分。
ようやく住処に着きました。
あぁ、重かっ、重くなかったです。
女性を重いと思うのは、絶対にダメなのです。
狐娘を下ろし、うーんと腰を伸ばす。あぁ、重かった。
息を整え、最初に最優先事項とした腕の紋様を隠すことに移る。材料は二人組から剥いだ服。それを適度な長さに切り、腕に巻いた。
中二時に幾度も巻いたからやり方は、身体が覚えている。
っう!俺の右腕に宿るヤツが…静まれ!
まぁ、実際は蛇に憑かれているんだがな。
一応、腕を伸び曲げ。支障ないな。
余った布を狐娘に掛けると俺は、枯れ木と落ち葉を集め、組んだ。
ようやく人間っぽいことは出来る。
今まで野性的過ぎただろ。何だよ石槍で狩りとか、生で肉喰ったり原始人かよ。
てか、火を使えない時点でそれより劣ってんだがな。
因みに、何度か火を起こそうとしたが無理だった。何て言うんだ?
阻害されたと言うかべきか、何と言えば良いのだか。
兎に角無理そうだったので諦めた。
まぁ、これで火を使えるんだから良いか。
右手に神経を集中させ、力を注ぐ。
あとは…何だ。詠唱とイメージか?
取り敢えず、さっき細身が使っていたのを想像し、詠唱する。
「ファイアボール」
・・・
不発だった。
しかし掌で魔力的なものが反応していたのは感じた。
発想としては間違っていないはず。
今度は、俺がもっとイメージし易いものに変換してみる。
「地獄の業火に焼かれて消えろ!」
ボゥ!
おぉ、付いっ。シュゥ。消えたぜ!
これ維持するの難しすぎないか!?それに毎度毎度この詠唱は辛い。
一応はやれたし、今度は詠唱無しでやってみるか。
俺は、先程よりもイメージを固め、心の中で詠唱する。
ボゥ!
今度は集中を切らさないように注意して、さっき組んだものに火を近付ける。
少ししてその火は、落ち葉に移る。
次第にそれは全体へと回り、確かなものに変わった。
付いたぜ。これで焼き肉が出来る!
それにしてもいざ実践で使うとなれば、難易度は格段と上がるよな。
何で細身はやれたんだ?
それなり強い魔法使いだったのか?
そうは見えなかったしなぁ…
悩んでも仕方ないか。解決出来る訳でもないし。
取り敢えず、今は肉だ!焼き肉だ!
・・・
で、どうやって焼こう。
網も鉄板も無ければ、肉も一狩りいける感じるで焼ける大きさでも無い。
いや、串焼きならいけそうだな。
そうと決まると、早速兎肉を一口大に切り分け、先日見つけた竹みたいなので串を作り、刺す。
そして火を囲うように地に立てると、次第に、火で炙られたことで芳ばしく、美味しそうな匂いが周囲に立ち込める。
もう焼けたんじゃね?
いやいやまだだろ。
と、手を伸ばしたり、引っ込めたりする事数分後。
焼き兎がいい感じになってきた頃具合に、狐娘はタイミング良く、目を覚ましたのであった。