複雑・ファジー小説
- Re: 右腕へ転生、背負うは大罪 ( No.10 )
- 日時: 2017/04/28 21:37
- 名前: うたかた ◆wr23E0BYk6 (ID: memccPfd)
- 参照: 閲覧100感謝です!
「おとぉ・・さん・・・」
これが狐娘が目覚めてからの第一声だった。
声にはとろんとした眠気が混じっており、表情にはまだ幼さが残っている。
しかしそれらが見れたのは一瞬だけ。
俺の姿を見て声も表情も恐怖しているものに変わる。
確かに、殺した筈なのに蘇ってたら何ハザードって感じだし、そもそも俺は怪物だしな。
うーん、警戒を解くにはどうするべきだろう。
まずは、優しく話し掛けるべきか。それとも下手に刺激せず、放って置くべきか。
あれ、何か焦げ臭い。
「やべっ!焼き兎が!?」
しかし気付いた時には、もう既に遅し。
殆どのものが炭と化していた。
「くそぅ・・・俺の飯・・・」
あぁ、テンション上がってただけに、なんか目から液体が・・・。
そんな風に落ち込んでいる俺の姿を笑って何処からか笑い声が聞こえる。
勿論それは、狐娘からなんだけどな。
笑った顔可愛いじゃん。
はぁ・・・なんか落ち込んでるのが馬鹿らしくなってきた。
まだ兎肉はあるしな。
「よし、二弾目やるとしますか!」
俺の声に驚いている狐娘がいるが、その顔にさっきまでと恐怖は浮かんでいない。
■ □ ■ □ ■
「はぁ、旨かった・・・」
焼き兎で膨れたさすりながら、ごちそうさまと生き物に感謝を唱える。
あぁ、なんかすげぇ眠い。
きっと満腹感とゴブリンになってから初の対人戦の所為だろうな。
こんまま眠れたら気持ちいいだろうが、そうする訳にはいかない。
俺は、小さく伸びをし眠気を払う。
「なぁ、狐娘」
そう呼び掛けると、狐娘は少しビクッとしながらも
「その・・・クロナです」と答えた。
一瞬、なに言ってるんだとなったが、「あぁ、こいつの名前のことか」と納得する。
気を取り直して
「じゃあ、クロナ。お前に幾つか聞きたいことがある」
と言い、取り敢えず俺は二つ質問した。
一つは、この世界のこと。もう一つは魔法についてだ。
一つ目の質問は、満足な答えを得る事が出来なかった。
分かったのは、ここが「プロムーグ魔森林」と、言う場所でかなり大きな森で強い魔物が多いとのこと。
そして魔法についてだが、案外簡単に使えるものらしい。
が、種族によって差違があり、そのなかでもゴブリンは使えない種族の筆頭だと言う。
マジかよ、これは選択を間違えたかもな。と落ち込んでいると『存在進化』を重ねることで使えるようになりますってクロナが慰めるようにそう言ってくれた。
これは、何が何でも進化せねば。
だけど、一番聞きたいのは最後なんだよな。
それと同時に一番聞きにくいものなんだが、後ろに回しても良いことないし、絶対ズルズル引き摺るだろうしな。
もうやるしかない。
「最後に、お前に何があった」