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複雑・ファジー小説
- Re: 紫陽花手帳 ( No.1 )
- 日時: 2017/07/16 16:45
- 名前: 小夜 鳴子 ◆1zvsspphqY (ID: KQb493NG)
- 参照: かたちないものに、幸福を
いらないから捨てた。何を、とかそういうのじゃなくて、「それ」だけ、を捨てたの。
美味しくない病院食だとか、塗りたくったシーブリーズだとか、体育祭の衣装だとか、2歳の頃のアルバムだとか。
きっとそれは多分必要なもので、本当は必要でないもの。だから捨てた。
私は、今も、あなたからもらったキーホルダーを覚えている。確か、どこかへ行ったときのお土産だったはず。だからどこかに捨てた。だけど、きちんと覚えているよ。あなたからもらったこと。あなたがキーホルダーというものをくれたこと。あなたが私のことを、キーホルダーをあげようとお金を支払ってくれるくらい、友達だって思っていたってこと。
きっとずっと、忘れないよ。
かたちのあるものに幸福は宿らない。というか、かたちを作っているのが幸福なんだ。そこに幸福があるから、かたちがある。思い出になるから、かたちになる。
はじめに、かたちが存在しているわけではなくって。
雨も雪も、月の光も。全部、幸福のかたち。かけら。
誰かが、誰かのことを想い想われ、大切なものを壊す。そうすれば、幸福は、思い出は、すべて自分のものになるね。そうだ、自分のものにしちゃおう。
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