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複雑・ファジー小説
- Re: 紫陽花手帳 ( No.2 )
- 日時: 2017/07/17 19:05
- 名前: 小夜 鳴子 ◆1zvsspphqY (ID: VC3X1bJz)
- 参照: 或るところに、花と夕陽が御座いました
花が咲く、という言葉に時々違和感を感じたりしない?
花って、咲くものだし。なら、「咲く」なんて言葉いらないよね。
ぽいっ。
夕陽はオレンジ、だよね。なら、オレンジなんて言葉無駄だよね。蜜柑もオレンジだし、人参だってオレンジだ。じゃあ今から、オレンジ=夕陽ってことにしてみようか。
あのコタツの上に君が置いておいた蜜柑は夕陽のようだ。
私が作ったカレーの中に入れた人参は夕陽みたいだ。
ね。なんだか日常の1コマに、風情とか趣きだとか、そんな豊かさが出るでしょう?
何事も遠回しに言うっていいよね。動詞をわざわざ使わないのも素敵。きっと会話は今よりも気恥ずかしくなって、しなくなってしまう。それも落ち着きがあって上品だよね。
多くを語らないって素敵だけれど、簡潔すぎるのもよくない。
花が咲いているのを見て、「あ、花」で終わらせてしまうなんて何事って感じだ。全然美しくない。
でも、さっき言った通り、花が咲くことなんて分かりきっているし。あ、そうしたらいずれ枯れるってことも分かりきっているのか。ということは、「花」っていう単語の中には色んな動詞が隠れているんだな。そういうの、辞書に書いておいてくれたらいいのにな。
花は「開く」「咲く」「萎む」「枯れる」「落ちる」「散る」。
私の、顕微鏡で覗かなきゃ見えないくらい小さな語彙力でも、花に纏わる動詞はこんなにある。何だか単語から連想される動詞をまとめた辞書、作りたいと思ったよ。
ということは、無駄なものでも必要ってことだ。人間は無駄が多いけれど、それは色気を生み出すために必要なものなんだね。
だったら、私たちは中間地点を探そうよ。
豊かさと、静けさの間。無駄なものが適度に溢れて、整頓された、そんな世界。
それは、あなたの中に。
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