複雑・ファジー小説

Re: 紫陽花手帖 ( No.13 )
日時: 2017/09/17 23:14
名前: 小夜 鳴子 ◆1zvsspphqY (ID: IYJ40KJQ)
参照: 抱きしめて今夜

 
 
 

 
「なんか……時々抱きしめられたくなる」

 もう10年来のつき合いとなる、ぶてぶてしい親友はそう言った。

「彼氏にでも抱きしめてもらえば?」

 彼氏いない歴=年齢の私は、苦々しげにそう返す。

「違う。女の子に抱きしめられたいの。女の子は柔らかいし、あったかいし、いい匂いするし、さ」

 結局、何だかんだ言って一番包容力があるのはこたつじゃね??って感じで、その話は終わったと思う。

 私は、抱きしめたい側だ、と彼女の呟きを聞きながら思った。
 女の子はかわいい。柔らかいし、あったかいし、いい匂いがする。私と違って、私以外の女の子は、みんなそんな感じがする。
 かわいい人、綺麗な人、美しい人を見ると、触れたくなる。そのかわいさ、綺麗さ、美しさを吸い上げて、自分のものにする。醜い自分は、もう嫌なんだ。
 女の子を抱きしめて、触れて、自分とは違うその体温を噛み締める。

 私は、小柄な女の子より、長い髪が口許にふわりと触れる、背の高い女の子を抱きしめたいです。