複雑・ファジー小説

むかし むかし あるところに長い金髪の少女がおりました ( No.8 )
日時: 2017/07/31 08:58
名前: 雪姫 (ID: u5JYbeHw)





「ええー!!」




今日からアタチが治めるりょーち




ってのにやって来たけど なにもないの




あるのは鬱蒼とした森 











その中心に建つ 大きな塔だけなの





つまらないの 





使徒の双子も





『怖いわ、ヘンゼル兄さま。この森 魔女が出そう』





『大丈夫だよ、グレーテル。僕が君を守ってあげるから』





お互いの事しか見えてないの





アタチがどんなに 悪戯をしても





無反応でつまらないの





「あーあ…つまらないの」













りょーちにある塔で暮らし始めてから 数日





ある日 ???お姉チャンが遊びに来たの





「???お姉チャン。悪戯する相手がいなくてつまらないの」





『なにイッてんだ、ラプンツェル。

 遊ぶ相手がいないのなら、自分でウめばいいんだよ』





「遊び相手を…生む?」





さすが???お姉チャンなの! そんな発想アタチにはなかったの!





さっそく塔の中に転がっていた 甲冑に悪い人の魂をあげるの!





甲冑は ガシャン ガシャン 音を立てながら動き出したの!




「ヤッター! 甲冑さん達に悪戯をするのー♪」












「あーあ……つまらないの」





だって





中身が空っぽの甲冑だから ガシャンガシャン うるさいの





中身がないから 悪戯しても無反応なの





「あーあ…つまらないの」





またある日 今度は???お姉チャンがやって来たの





さっそく相談するの





「肉の無い殿方なんてつまらなくて当然ですわ。

 やはり殿方には熱い棒と窮屈な穴がなくてわ」





おニク!





そうか おニクがなかったからダメだったの!





さっそく森に住んでいた 





動物達をコロしておニクを甲冑に詰めるの!





『ぐぎぎ……ガガ…』





ヤッタ! 今度こそヤッタの!





甲冑さんがコトバを話したの! 





???お姉チャン曰く ニンゲンだったころの記憶のせいだとかなんとか…





言ってたけど そんなのはどうでもいいの!





これで楽しいく悪戯できるの!





そうだ!





甲冑さんじゃ 可哀想だから名前をつけてあげるの!





「どうなの〜 アナタのお名前は……






"プレートアーマー”さんなの!」




むかし むかし あるところに長い金髪の少女がおりました ( No.9 )
日時: 2017/07/29 14:34
名前: 雪姫 (ID: sX8dkNn6)







「あーあ…つまらないの」





おニクを詰めた プレートアーマー達は





人間に様に 動き 喋り 意思





を持つようになってそれなりに楽しめたの






…楽しめた…の







でもそれだけじゃ つまらないの






すぐに飽きてしまうの






「あーあ…つまらないの」






またまた別のある日  






『………』






いつも黙って 何を考えてるのかわからない ???お姉チャンが遊びに来たの






『………』






来てからずっとこの調子なの







お外を見つめて だんまりなの つまらないの







『森』






「え? なーになの、???お姉チャン』






『………』






まただんまりなの








『この森は静かね』







喋りだしたの






『木も花も鳥も虫も』







「なにが言いたいの?」






『みんな静か』






静か—







それはそうなの







だって森に暮らしていた動物達の大半はプレートアーマー達にあげたもの







『命のない世界はつまらない』






「イノチ?」






「そう。生き物がいなければ、そこから生まれる悲劇もない』







ひげき? ???お姉チャンはひげきがダイスキ







でもそんなの どうでもいいの






イノチ






そっか イノチなの!








さっそくアタチは森の木や花






地面やお空の雲







暮らしている動物や虫







森の中にあるものすべてに悪い人の魂をあげたの









『ポッポッポ〜』








『生まれた〜』








『生まれたよ〜』







『新しい生命の誕生だ〜』







そうしたらなの そうしたらなの!







歌い 踊りだしたの!







???お姉チャンが元みゅーじかるのかんけいしゃの魂をどーのーこーの








…で歌って踊れる森ができたの♪







すっごく楽しいの♪







みんなで歌って







プレートアーマー達も踊って








こんな楽しい日がずぅ〜〜〜とつづけばいいの〜




















「あーあ…つまらないの」





むかし むかし あるところに長い金髪の少女がおりました  ( No.10 )
日時: 2017/07/31 08:54
名前: 雪姫 (ID: u5JYbeHw)







「あーあ…つまらないの」









森の住人達









プレートアーマー達








みんな みんな 










歌って 踊って








すっごく楽しい毎日だけど









でもたりないの これだけじゃダメなの











「あーあ…つまらないの」










いつもだったらこのぐらいの時期にお姉チャン達の誰からヒントをくれるのに 誰も来ないの











どうしようなの このままだと退屈すぎて死んでしまうの










『覚えていますか、ヘンゼル兄さま』









「…? あの双子の声なの」








アタチの相手をしてくれない双子になんて興味ないの









『もちろん覚えているよ、グレーテル』









『そうよね、私達の大事な大事な思い出ですものね。

 魔女に食べられそうになったのは怖かったです 兄さま』








魔女ってなんなの?










『ああ。本当に食べられてしまうのでないかと怖かった。


 でもあのお菓子の家は美味しかったね、グレーテル』







お菓子の家? 









おかしってなんなの?








おいしいってなんなの?








『えぇ…本当に美味しかった。出来る事ならまた兄さまと食べたいです』








『僕もだよ、グレーテル』








「ねぇなんの話をしてるの? お菓子ってなんなの?」







『グレーテル』『ヘンゼル兄さま』








双子はお互いの事しか見てないの









「聞いてなの! お菓子ってなんなの!!」








ドンッと軽く突き飛ばすと









ドザッ








『…………』








双子の片割れが塔から落っこちちゃったの









『兄さま…? ヘンゼル兄さま? 何処へ行かれたの?』








でもいいの。もう片方がいるの。









あとでプレートアーマー達に双子の片割れの魂を回収させるの










魂が持つ前世の記憶を取り出して お菓子の家を作るの♪











「おかし〜♪ おいしい〜♪ おかし〜♪」






むかし むかし あるところに長い金髪の少女がおりました  ( No.11 )
日時: 2017/08/01 13:37
名前: 雪姫 (ID: ZpTcs73J)







「おかし〜♪ おいしい〜♪ おかし〜♪」








玉砕に座ってルンル〜ンなの♪








今コック長のプレートアーマー達がお菓子を作っているの♪









美味しい 美味しい お菓子








材料はもちろん 森にあるもの








「おかし〜♪ おいしい〜♪ おかし〜♪」









『ラプンツェル様……ケーキが焼き上がりました』








「けーき!」









目の前に置かれた 真っシロ まんマル アカ三角〜♪










「これが"けーき”おいしそなの〜♪」










パクリと一口










「!!?!!!?」










ビビビッてキタの!










体の中をビビッビってデンキが走ったの!








もう一口 パクリ










「!!?!!!?」









ビビビッてクルの!










体の中をビビッビってデンキが走るの!








「ハグハグハグッ



 

 あ。もうないの」








"けーき”一二分で無くなってしまったの つまらないの










もっと…










もっと…










「もっと食べたいの…」










「…ラプンツェル様?」









「もっとちょうだいなの! けーき! おかし食べたいのーーー!!



 わあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!」








「わ、わかりました! すぐにでも用意させますので、あ、暴れ」








「はやく! ちょうだいなのーー!! けーき! けーき! 

 おかし食べたいのぉぉぉぉぉ!!」









『お、お待たせしました! プリンアラモードです!』








『こちらはラスクです!』









『紅葉饅頭です!』









「あむ、ハグハグハグッ! ハグハグハグッハグハグハグッハグハグハグッハグハグハグッハグハグハグッハグハグハグッハグハグハグッハグハグハグッハグハグハグッハグハグハグッハグハグハグッハグハグハグッハグハグハグッハグハグハグッハグハグハグッハグハグハグッ!!」











たりないの









食べても食べても たりないの









いくら食べても満たされないの









「もっと……」








「申し訳ありません、ラプンツェル様。



 材料が…お菓子を作る材料が底をつきました…」






「ハ?」






「材料がなくてはお菓子が作れません!!」











「お菓子が……ない?





 アア……アアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!





 ふざけないでなの! お菓子を持ってこいなの! 今すぐに!!」









「し、しかし…我々は森から外には出られません…ので…その…」







「……そう…だなの」






「…へ?」












不意に???お姉チャンが言っていたことを思い出したの






『なにイッてんだ、ラプンツェル。

 遊ぶ相手がいないのなら、自分でウめばいいんだよ』







そうなの… 材料がないのなら お菓子がないのなら









アタチ 








「自分で作ればいいの」










「ラ、ラプンツェル様…?」








「おこってワルかったの…、ちょっと一人にしなの」









「は…はい了解でございます」











アタチはアタチの部屋にこもって準備するの










美味しい 美味しい お菓子を 永遠に食べ続けられる









アタチだけの国を作るためになの












「キャハ♪ キャハハ♪ キャハハハハハハハハハハハハハハハハハ 
ハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ♪」






むかし むかし あるところに長い金髪の少女がおりました ( No.12 )
日時: 2017/08/01 14:02
名前: 雪姫 (ID: ZpTcs73J)








「できた〜できたの〜♪」









『お早いお目覚めでラプンツェル様』










プレートアーマー発見なの♪












「これアゲルの♪」









『この……正方形で手のひらサイズの箱は…?』










「アナタにプレゼンとなの。

 森でひなたぼっこでもしながら楽しむといいの」









『ッ!! ありがたき幸せ!』










シアワセ… そうなの シアワセなの











ミンナ みんな シアワセなの
















『森の…ここらへんでいいか。さぁラプンツェル様はナニを…



 カチ カチ カチ





 言っているこれは…デジタル時計…?』














ドカアーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン!!












「キャハハハハハッ 大っセイコウなの♪ キャハハハハハッ♪」









[プレートアーマーが持たされた





        "爆弾”




 に連鎖し森に隠された爆弾が次々と起動し大爆発。





 森は一変にして炎の海と化した。










『アツイ! 熱い!!』









『シヌ! 死んでしまう!!』










『ダレカ! 誰か助けてくれ!!』









『お願いだ! ダレカァァァァァァアアアアアア!!!』











ゴウゴウと音を立て黒煙の柱を作り上げ炎は勢いよく燃え上がる。










「キャハハ♪ 材料がないなんてウソなの♪



 材料ならココにい〜〜〜〜っぱいあるの」







ラプンツェルは燃え盛る炎 を見ながら 無邪気/狂気 に笑う。








「森にあるものぜ〜〜ん使って作るの! アタチの国を!





 アタチのためだけの国! お菓子の国




 "ホールケーキアイランド”を——」













お菓子の国を作るには材料がない







今あるものが邪魔








なら全てを無に帰し 再利用 リサイクルしましょう











世界に優しく エコロジーは大切












燃え盛る炎











森の住人達の断末魔








「キャハ♪ キャハハ♪ キャハハハハハハハハハハハハハハハハハ 
ハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ♪」










狂ったラプンツェルの無邪気な笑い声













これは <暴食>に囚われ狂ってしまった ラプンツェルのお話]









                        <暴食END>