複雑・ファジー小説

Re: 昔話を旅するお話〜其ノ壱〜 ( No.3 )
日時: 2017/08/22 07:58
名前: 狐音 (ID: .1MHnYLr)

〜2話目〜
「旅の始まり」


「と・に・か・く!!貴方にこの本を元通りにしてほしいのです!!」

「いや、僕そんな勇者〜とか、戦士〜とか、そういうのないんで」

どうやらこの子は僕にこの何も書いてない真っ白な本を元通りに戻して
欲しいそうで。
何度も何度も『お願いします!』とせがってきた。
そしてふとひとつの疑問が湧き本好きの僕にはどうしてもその本の元の姿が
気になってしまった。

「その本って。元はどんな本だったの?」

「これですか?元は昔話や童話のお話がギュッと詰まってる本なのです!ですが、、ある事がきっかけで中身が全部なくなってしまったのです!」

な、なんだこのマンガみたいな話。
そんなこと有り得るの?いや、まず僕の目の前に妖精がいる時点でもう現実を超えてるよ。
てか、そもそもなんで僕?体力もないのに無理だよそんな。
でも、本の中の人たちに会えると思うとちょっとやってみたいかな〜なんていう好奇心もあったり無かったり。と、青年の心はやりたいけどやりたくないの二択で心が揺らいでいた。

「も、もしかしたらですよ!本の中の人と仲良くなれちゃうかも.........!」

その台詞を聞いた途端、僕の心はやりたい一択になった。

「やる!」

「そうこなくっちゃ!」

『じゃぁ、この本を持って!』と先程の真っ白なページしかない本を渡され何に使うんだろうと首をかしげていたら。

「あ、私の名前はエルル!宜しくね!」

「僕の名前は本話 絵夢。絵本とかの絵に、夢って書いて絵夢」

「絵夢ね!いい名前じゃない!じゃあ、目を瞑ってね!」

相手はニコッと元気な笑顔を見せれば『さて!そろそろ行きますか!』と背伸びをしてゆっくりと目を閉じれば僕が持っている真っ白な本に手をかざし呪文を唱え始めた。
その姿を見たあと、僕もゆっくりと目を閉じ相手の声だけに集中した。
妖精本来の言葉なのか、それとも古代の言葉なのか、僕にはさっぱり分からなかった。
だけど、呪文ということだけはわかっていて......「もういいよ!」
あの、まだ台詞言ってたんだけど.........

はぁ、と思い溜息を付きながら目を開ければそこは

「え、、ここ、どこ?」