複雑・ファジー小説

Re: 表裏一体(オリキャラ募集中) ( No.10 )
日時: 2017/12/08 18:34
名前: 麗楓(のんたん) (ID: 9hX401bZ)



チョコレート柄のパンツ


 「生徒会担当、板野ショコラです。これから皆さんと1年間生徒会活動で関わらせていただきます。よろしくお願いします」
 斜め45度のお辞儀、微笑むことのない若手教師は真面目に、そして丁寧に挨拶をした。
 「よろしくお願いします、副会長の赤木です」
 握手をしようとしたが、顔を反らされた。やんわりと断られた。何か彼女と我々生徒会一同には薄い壁が出来ているようだ。彼女は明らかに紫野と城宮を睨んでいる。
 「赤木くんは挨拶をしたのに、あなた達は挨拶をしないのかしら?」
 「......紫野巨峰です......ぶふっ」
 「城宮で〜す......ぶふっ」
 そしてこいつらは何故か笑いを堪えている。必死に堪えているが、俺と彼女にはバレバレである。

 「あなた達、何が可笑しいの?」
 彼女は笑われたことが頭にきたのか、説教をするかのように、こいつらに問いかける。きりっと細くつり上がった目はまるで鷹が獲物を捕らえるかのような鋭い目付きで俺はびくっと体を震わせる。
 「いいですか、生徒会の乱れは学校の乱れになります! 絶対に不祥事を起こさないように!」
 ツカツカとヒールの高い靴を履き鳴らして生徒会室を出ていった。まるで俺たちは鷹に狙われたウサギのようだ。
こんなプライドの高そうな女教師にビクビクしながら生徒会活動するのか......。

 「板野ショコラって......あひゃひゃひゃっ」
 「名前と言動が一致しない......あひゃひゃひゃっ」
 二人ともの笑い方がおかしい。何だあひゃひゃひゃって。
 「お前ら、板野先生にそれ言ったら絶対首絞められるぞ?」
 「でも赤木、こんなに真面目な女教師がショコラって可愛い名前だったらちょっと驚かない?」
 「......まぁ」
 「リンも笑えばいいのに......」
 「誰が笑うか。そして憐れみの目で見るな!」


 次の日呼び出された俺たちは大量の紙の束に目をしぱしぱとつむる。机の上に今にも落ちそうなほどの紙の束はまるで彼女の手下のように見えた。
 「今日は予算案の作成です。会計中心に話し合いを進め、まとまったら私に計画書を出してください」
 そう言われて俺たちはそれぞれ顔を見合わせる。不審に思った彼女が問いかけてきた。
 「ところで会計はどこかしら?」
 その言葉に誰もが焦る。さすがの紫野と城宮も彼女から目を大きくそらし、残る俺はたじたじと下を向き、何も呟くことが出来なかった。
 「まさか、居ないの?」
 「......はい。というより会長と副会長以外まだ誰もここに集まっていないです......」
 「......は?」
 瞬間、彼女の声は炎に包まれたかのように怒りを灯しているのが分かる。一つ一つの言動が既に怖い上、そんな声を出されると生徒会の空気が重くなる。
 「まだ全員"集まったことすら"ないよね?」
 「書記とか庶務とかもっと居るだろうけど、顔も名前も知らないよね〜」
 こんなにユルユルな生徒会には先生も敵わないだろう。ぽかーんと口を開けて突っ立っている彼女はへろへろと腰が抜けたかのように床に座り込む。頭に手を抱える。どうやら負けたようだ。
 「我が校の生徒会はこういう感じなのね......」

 「今日はもう時間も無いので、生徒会室の整理にしませんか?」
 助け船を出しておくと彼女や城宮、紫野もすぐに賛成し、今日の仕事は生徒会室の掃除と整理になった。
 ......ん、何か忘れているような......?
 「私は戸棚を整理するから、あなた達は掃除を......」
 「あっそれ触っちゃダ......」
 紫野が何かを言いかけたが、先生は気にせず戸棚を整理しようとした。戸棚の本に手をかける。
 バサッ、エロ本。
 生徒会室に不穏な空気が漂う。しばらく沈黙が続いた。誰もかける言葉がなく、みんな顔をひきつって苦笑いするしかなかった。
 「不祥事起こすなっつったよな......?」
 「ごめんごめん先生! 窓開けるな!」
 急に言葉使いが悪くなったような......。城宮は勢いよく窓を全開にした。今日はやけに風が強く吹き荒れているのか、生徒会室内もカーテンが大きく揺れ、ドアがガタガタと大きく音をたてる。
 「わああぁぁっ紫野お前スカート押さえろ!」
 「スカート? あら、リンにパンツ見られちゃった」
 「いいから早く押さえろ!!!」
 強風で紫野のスカートがめくれている。それに対し紫野は無反応。後ろに居る俺には紫野の下着が丸見えである。鮮やかな花柄の下着は俺も城宮も目を離さずにはいられなかった。
 「いやあああぁぁぁぁっ」
 「先生、スカート前押さえても後ろめくれてる!」
 「見るなあああぁぁぁぁっ」
 先生はスカートの前側を必死に押さえていたが、後ろの城宮には後ろ側が丸見えのようだ。よく見るとパンツの柄はチョコレートのようだった。
 「先生チョコレート好きなの、俺も大好きだから後で一緒に語ろうよ!」
 「城宮黙れっ丁寧に解説しなくていいから早く窓を閉めろぉぉぉっ」
 てかこれどんなシチュエーションだよ!?


 ※その後3人はショコラ先生に説教を受けました。