複雑・ファジー小説
- Re: 表裏一体〜100degrees〜 ( No.12 )
- 日時: 2017/11/20 18:23
- 名前: 麗楓(のんたん) (ID: 3i0ekQB5)
やっと小説家になろうで空白の開け方、線の使い方をマスターしました。
ますます皆さんに小説らしい小説(って何だ?)を見てもらうことが出来ますね!
テストの数学? 死んだ死んだ(´・ω・`)
何も難しいことはない
「お前、友達居るのか?」
「え?」
疑問文を疑問形で返してしまった。鋭い彼の質問は私の心を惑わせる。私が返事にあたふたしていると「やっぱりな」と言って私の真っ正面の席に座った。
「リンとクロキが友達かな?」
「それはどーも......って肝心の女友達が居ねぇじゃん」
「リンこそ、自分の心配すれば?」
「あのなぁ、お前同性の友達一人ぐらい作れよ。いざって時頼りになるし、それにお前一人で帰ってるだろう?」
「......それが何」
「帰る時の後ろ姿、すげぇ寂しそうだったぞ?」
「あっそ」
「だから———」
そう言い残して彼は生徒会室を去った。私はしばらく居残って考えた。
私の後ろ姿はそんなに寂しそうだったのだろうか?
確かに同性の友達は居ない。異性の友達をあげるとしても、よく喋るメンツはリンとクロキだけ。別に寂しいなんて思ったことなどない。入学当初からこんな感じだ。
リンにちょっかいをかけたり、クロキとゲームやテレビの話をしているだけで十分だと思っていた。
同性の友達など、いつから居なかったのだろう?
なんて考えているうちに放課後を告げるチャイムが鳴った。掃除をテキパキと終わらせて、私は帰る支度を整える。リンがあんなことを言うものだから、正直足が重い。
「あの、紫野さん」
「はい」
「これ落としてたよ?」
「ありがとう」
会話終了。他に話すこと無くない?
だってこれ以上続けても相手の迷惑だし、それに部活あるかもしれないし。
"帰る時の後ろ姿、すげぇ寂しそうだったぞ?"
うん、リンの言う通り、本当はちょっと寂しかったのかもしれない。
だって放課後にリンみたく友達と一緒に塾に行くこともないし、クロキみたく一緒に誰かと部活に全てを捧げる身でもない。
そうやって誰かと笑いあえる関係が欲しかった。そんな密接な関係を。
————— 私は ——————
「紫野さんっ」
再び相手が話しかけてきた。二回目。
"だから、自分から行けばいいじゃん。何も難しいことねぇよ"
「あのさぁっもし、もしよろしければなんだけど......」
「うん、一緒に帰ろ紫野さん」
「え?」
「うん、だから一緒に帰ろう?」
あれ、案外簡単、なんて思える自分が居た。弾かれたように顔を上げる。相手はきょとん、とした顔で私を見て笑った。黒髪を靡かせて彼女は走った。
「早くっ人気のたこ焼き売り切れちゃうからっ」
「わわっ待って、七瀬さん」
「ストップ、クラスメートなんだから名前で呼んでよ。ね、巨峰ちゃん」
「うん......マリ......?」
走っていると後ろにニヤっと笑うリンが居た。どうだ、簡単だっただろう?と言わんばかりのニヤニヤ具合。
「......ありがとう」
小さくお礼を呟いて私は走った。リンはふっと笑ってどういたしまして、とこちらも小さく呟いた。
彼の本心は分からない。いつも会ったらバカにしてツッコミを入れられる、そんな関係だった。でも、でも————
「あり、もしかして彼のこと好きなの?」
こちらもニヤニヤと笑っている。どうやらこういう関係が好きなようだ。私もにまっと笑って言い返す。
「ええ、もちろん、愛しているわ」