複雑・ファジー小説
- Re: AnotherBarcode -アナザーバーコード- ( No.17 )
- 日時: 2020/12/07 15:53
- 名前: ヨモツカミ (ID: 6fVwNjiI)
- 参照: http://www.kakiko.info/upload_bbs/index.php?mode=article&id=6214&page=1
【舞台裏】No.01 必殺技考えてみようのコーナー
ジン「はい。楽屋裏へようこそ。今回は本編とは関係ないし、台本書きで会話が進んでいくから苦手なヒトはごめんね。さて、今回はクラウスとトゥール、そして僕という通称“つぎばトリオ”に集まってもらったわけだけど……」
クラウス「そうだよ、正月早々お前の顔なんか見たくねーんだけど? あ、あけおめ、トゥール! あけおめ、読者!」
トゥール「ああ、あけましておめでとう」
ジン「なんで僕にだけ挨拶してくれないのか気になったけど、あけましておめでとうね! さて、本日集まって貰ったのはズバリ、この議題のためだよ!」
クラウスを軽く睨みつけた後、ホワイトボードに油性ペンで“戦闘中に技名叫びながら戦うのってカッコよくない?”と書き込んでいくジン。
ジン「はい! 君たち、本編で戦いながら何度か思ったと思うけど、僕らには〈シュナイダー〉とか〈チェシャー〉って能力名はあるけど、技名は無い! そして、そのたびに思うでしょ!『あ、ここんとこ描写し辛いなー』て!」
トゥール「最後のは作者の声だろう……描写し辛いのは作者の力量の問題だから、俺達には関係ないが。だが、確かに技名が無いのは地味かもしれないな」
クラウス「あー、技名がねえのはダサいよなあ」
ジン「そうでしょ? というわけで、今回はそれぞれ技名を考えてきて貰おうという企画だよ。……そしてこちらが実際に考えてきてもらった技名になるわけだね」
クラウス「ヤラセ企画だから、事前にこういう会議やるよって知らされてて、全員技名考えて来てたんだよな〜」
トゥール「ヤラセとかそういうこメタいことを言うな」
>>>ヤラセです<<<
ジン「まあ、みんなちゃんと考えてきたよね?」
ジンの声にふたりがコクコクと頷く。
ジン「じゃあ……期待値の低い順から発表しようか? はい、トゥールから」
トゥール「おい、なぜ俺の期待値が低めなんだ? 別に構わないが」
クラウス「だってトゥール陰キャだから、こういうの適当にやって、さっさと帰ろうとするタイプっぽいじゃん?」
トゥール「正直クソ面倒とは思ったが、今回だけはちゃんと考えてきたぞ、10分かけて。しかも2つもな」
クラウス「短え」
そう言ってトゥールはホワイトボードに油性ペンで書き込んでいく。ちなみにトゥールは『爬虫類の腕なので、細かい作業は苦手(ペンを上手く握ることができない)』とか言う裏設定があるが、割と普通に書きます。
“鉤爪殴打”と、“横薙尻尾”……。
トゥール「俺の〈サウルス〉は所謂獣化の能力で、けものフレンズが流行った時期には、楽屋の廊下ですれ違うたびに『君は爬虫類のフレンズなんだね! すごーい!』と話しかけられる嫌がらせを受けたこともあった」
クラウス「あんときはごめん(笑)」
トゥール「そんな〈サウルス〉だが、戦い方はこの鋭利な爪で殴るか、尻尾で薙ぎ払うかなどの、肉弾戦になる。というわけで技名は“鉤爪殴打”(クローパンチ)と“横薙尻尾(サイドテール)”だ」
楽屋内にしん、と静寂と微妙な空気が流れた。
クラウス「……うーん、予想通りダサくて安心したんだけど」
ジン「サイドテールに至ってはただの髪型だもんね」
トゥール「なんだと。シンプルイズベストを狙った名前なのだが」
ジン「漢字表記の時点で『あ、察し』て感じだったのが、読み方ついた途端、『( ^ω^;)おっ』て感じで、うわーって思ったよ」
トゥール「そんなに駄目か?」
クラウス「だってトゥールさあ、“鉤爪殴打”(クローパンチ)とか!“横薙尻尾(サイドテール)”! て叫びながら戦いたい?」
トゥール「戦いたいわけ無いだろ、そんなダサい技」
クラウス「自分で言うんかーい」
トゥール「そもそも、そんなに喋りながら戦ったら舌を噛むぞ」
ジン「そういうこと言わないの! 二次元世界の戦闘描写において、僕らがあまりにも無言だったら、見てる側もつまんないでしょ!」
トゥール「お前、メタ発言多いな……」
クラウス「まっ、トゥールのネーミングセンスはクソダサってことだな! このオレが各の違いを見してやる必要がありそーだ!」
そう言ってクラウスは油性ペンでトゥールの書き込みの下にミミズが這ったような文字を書き込んでいく。(クラウスは文字が書けない・読めないという設定があるが、ここでは割と普通に書きます)
クラウス「透明化して絶対に戦線から離脱する技“ファントムエスケープ”と透明化した状態でナイフアタックする“スニークキル”!」
割と普通な技名に、いまいち反応に困るトゥールとジン。
トゥール「まあ、お前は逃げるのが一番得意だしな」
ジン「スニキルは普通にある言葉だからアウトでしょ」
クラウス「なんだよ! 俺が20秒で考えた技名にケチつけんのかよ!」
ジン「トゥールより短くてビックリだよ」
クラウス「実はつぎば連載当初から技名ってモノに憧れてたから、多少ビジョンがしっかりしてたんだ。カッコよくね? “スニークキル”! つって見えないところから攻撃してくんの!」
トゥール「声で位置がバレて回避されるだけだぞ」
クラウス「そこは空気を読んで分かんないふりして貰うから」
ジン「戦闘は遊びじゃないんだよ? 小説でもそこんとこハッキリ描写して、ガッツリ探知してもらうから」
クラウス「ケチ」
ジン「ケチも何もないでしょ」
ジンはため息を付きながら、ホワイトボードの前に立つ。
ジン「しょうがないね。僕が格の差を見せてあげるよ」
そう言ってジンは油性ペンで四字熟語をサラサラと書いていく。
ジン「“†黒迅無葬†”-コクジンムソウ-」
トゥール「うわ……。その†は……なんだ」
クラウス「†とか付けんなよ! カッコイイじゃねーかよ!」
トゥール(え……)
ジン「ふふん! そうでしょ? さらにもう一つ、今考えたよ」
クラウス「おっ!」
ジン「死に惑え……†黒迅舞踏†-狂イ裂キ-」
クラウス「かっ……カッケェ!」
ジン「そうでしょー!」
きゃっきゃと楽しそうに言い合う2人と、それを少し距離を取って眺めるトゥール。
トゥール(は? こくじんぶとう、くるいざき?? 恥ずかしくて死にたくならないのか? 俺は死にたいぞ。こんなキメ顔で言うようなことじゃないぞ? わかっているのか、この100歳……キモ。聞いてるこっちが死に惑いそうなんだが?? ヤバ)
確かにジンは14歳くらいで体の成長が止まっているのだから、そう考えたら年相応なネーミングセンスなのかもしれない。だが、実年齢は約100歳。おじいちゃんが考えたら技だとすると、なんて言うか、やばい。
ジン「だからこう……バッとナイフを沢山出すじゃん? それをいい感じに回転させるでしょ? そしてそこで言うんだよ、死に惑え……†黒迅舞踏†-狂イ裂キ-」
トゥール「キモ」
ジン「あ?」
トゥール「おっと、口が滑ってしまった。すまない」
ジンは無言でトゥールを睨みつけるが、トゥールは目を合わせようとしない。
ジン「まあいいや。折角技を考えたはいいけど、試す相手がいないとつまんないよね。と、いうわけで、手合わせするための相手をお呼びしたよ。本編No.01〜02にて登場し、僕を瀕死に追いやり、トゥールとの激しい戦闘の末、頭部を粉砕され、命乞いも虚しく絶命した紅蓮バーコードのベラでーす! お入り下さい」
そう言われて室内に入ってきたのは、濃い紫色の髪を頭の左側で結った女性。名前あったのかよ、嫌な紹介の仕方するな、などとざわつかれる中、彼女は部屋を見回す。
ベラ「正月からなに馬鹿なことやってんのよ」
ジン「うるさいな、君に本編での出番があまりにも少なかったから、こうして呼んであげたんじゃないか!」
言いながらジンはカンペをめくり、更に彼女の説明を続ける。
ジン「ちなみにベラは、戦闘中にトゥールに肩をかじるなどの猥褻行為を受けた被害者でもあり、」
トゥール「いや待て、あれは台本通りにやったことなんだから俺は悪くないぞ。しかも、相手から襲ってきたんだから正当防衛じゃないか」
ジン「出た出た。セクハラを肯定する男、いるよねぇ。そんな露出の多い服を着るのが悪いだの、夜道を歩くのが悪いだの言って、被害者が悪いみたいな言い方する奴。最ッ低だよね」
クラウス「トゥールサイテー」
トゥール「……」
ベラ「てか、来てやったけど、これギャラ発生すんの?」
ジン「何言ってんの。本編じゃないんだからするわけないでしょ?」
ベラ「はあー? じゃ、ワタシ帰るわよ。おせち食べながら録画したガキ使見たり、格付け見たり、下らないバラエティ番組見てダラダラ過ごすって決めてんのよ此方は。アンタらみたいに暇じゃないんだから」
ジン「えっ……!? 今の話聞く感じ超絶暇そうだったよね!?」
クラウス「チョマテヨ!! マジで帰んのかよ! ……ってもう帰ってるし!」
ジン「ちょっ……本当に帰ったよあのヒト! 嘘じゃん、どうせ暇なくせに、もー! ……仕方ない。今回は解散だね」
トゥール「解散か。お疲れ様」
クラウス「マジか、あっさり解散するじゃん……。オレも帰って初詣とかしにいこ。トゥール一緒に行く?」
トゥール「いや、寒いから外出はしたくない」
ジン「なにふたりだけで楽しそうな話ししてるのさ! ……てゆーか、ホワイトボードの文字消えないんだけど? え、もしかしてコレ……」
ようやく自分たちが油性ペンでホワイトボードに技名を書き込んでいたことに気付くジン。
まあいいか、と恥ずかしい技名まみれのホワイトボードを置いて、3人はそれぞれ帰宅し、思い思いの正月を過ごすのであった。
fin
***
なんとかく思いついたので書いてみたとてもくだらない話です。